ナオ:
そんで、釜飯うまいな! なんかかっこよく映ろうとすることによって余計に美味しい気がする。
カンナ:
本当に美味しいですねー!
パリ:
そもそも、カンナさんはともかく、我々がモデル風のクールさに挑戦することに無理がありましたね。
ナオ:
ね。ぜんぶおかしな写真になる。
パリ:
まぁとにかく釜飯も美味しいし、鳥貴族は最高! が、今回の結論でいいですかね?
ナオ:
ですね!
雑誌や広告を見ると、ハイブランドのファッションモデルであるほど、笑顔ではなく、クールな無表情をしていることが多い。
あれにあこがれる。一度やってみたい。
そうだ、ファッションモデル風のクールな表情なら、居酒屋で飲んでいてもファッショナブルに見えるんじゃないだろうか?
酒の穴のふたりプラス、ゲストのサトーカンナさんで挑戦します。
パリ:
なんですか? 今日は。
ナオ:
パリッコさん、ちょっとこれを見てくださいよ。
ナオ:
あくまで一例ですが、こういうかっこいいファッション雑誌のモデルさんって、みんな基本的に笑ってないじゃないですか。
パリ:
あ〜、確かに。「ディノス」や「ニッセン」のカタログとは正反対というか。
ナオ:
そうそう。どこか不満げですらあるでしょう。
パリ:
ハイブランドになればなるほど、そういう傾向があるイメージですね。パリコレのランウェイとかも、モデルさんがちょっと怒ってたり、ふてくされてるように見えることすらある。
ナオ:
ね。そこで思ったのですが、ああいうファッションモデル風の無表情ならば、居酒屋で飲んでてもかっこいいんじゃないの? という。
パリ:
わはは! それで今、我々は「鳥貴族」にいるわけですね。
ナオ:
そうなんです。
パリ:
ぜひチャレンジしてみたいです! また各所から「ふざけるな」と怒られそうではあるけれど。
ナオ:
はは。あくまで、我々が素人なりにまねしてみて、さてどうかという検証なので。
パリ:
ですね! やりましょう。
ナオ:
そして今日は、ふたりだけではふたり一緒の写真を撮りづらいので、私の友人で、ライターや、バンド「グッド・ライフ・フェロウズ」のボーカルとしても活躍する、サトーカンナさんに助っ人に来てもらいました。
パリ:
初めまして! っていうか、初めましてがよりによってこんな変な場で……。
カンナ:
ははは。いえいえ、楽しみにしてました!
パリ:
ありがとうございます!
ナオ:
じゃあ、さっそくやってみましょうか。
パリ:
最初のドリンクが来ましたね。じゃあナオさん、まずはいつもどおりの自然体で飲んでみてもらえます?
ナオ:
なるほど。はい。
パリ:
いつものナオさんだな〜。じゃあいよいよ、クールにいきましょうか。
ナオ:
はい! たとえば……こんな感じですかね。
パリ:
わはは! ただの疲れたおじさんっていう感じです
ナオ:
はは。どうしたらいいんだろう。ポージングとかですかね? 肩を入れる? 肩をあえて入れて、飲みそうで、飲まなそうっていう?
パリ:
「飲めよ!」っていうね。おもしろい。
カンナ:
目をちょっと手で隠す感じとかはありかもしれないです。
パリ:
これは眼精疲労ですね。
ナオ:
ははは。疲れが出ちゃうんだな、どうしても。パリッコさんもやってみてくださいよ。
パリ:
はい! まずはいつもどおりに飲んでみますね。
ナオ:
ああこれだこれだ。いろんな記事で見たことがある。
カンナ:
美味しそうですね。
パリ:
よし、どうしよう。じゃあ僕は、壁を使ってみようかな。
ナオ:
ははは! 本当に単純に、パリッコさんが酔っぱらってグダッとなっただけですね
パリ:
やっぱり、肩入れが必要なのかな。たとえば、
ナオ:
あ、いいですね。ちょっとよくなりました。もっといける気がする。もっと大胆に肩を入れて。
ナオ:
普段ならありえない角度とかで、顔を隠してみて。
カンナ:
はは。どうしても笑顔が入ってきちゃいますね。
パリ:
気を張ってないと笑っちゃう。
ナオ:
難しいなー。パリッコさんとのふたりバージョンも撮ってみたいですよね
パリ:
乾杯してるんだけど、お互いに興味がないみたいな。
カンナ:
うーん、難しいな。不思議な写真になります。
ナオ:
ははは。どうしても疲れたふたりっていう。
パリ:
でも、なにかコンセプチュアルにいけそうな予感もありますよ。どっち向けばいいんだろう。乾杯してるのにカメラ目線とか?
カンナ:
あ、いい感じですよ。どうですか?
ナオ:
ははは。服がほとんど一緒っていうのがまたね。もうちょっと大胆なポージングの方がいいのかな。ちょっとそっちに移動してみます。
パリ:
たとえばですけど、こうとか?
カンナ:
はは。なんか双子みたい、どうですか?
パリ:
あ、いいかも。そっぽ乾杯おもしろいですね。
ナオ:
そっぽ乾杯写真、流行る可能性ありますね。私とカンナさんでも撮ってみていいですか?
パリ:
これ、いいかも、かっこいいよ! というか、カンナさんが上手ですね。
カンナ:
そうですか?
パリ:
ちょっとそのレモンサワーを、美味しくなさそうに飲んでみてもらってもいいですか? あ、ほら!
ナオ:
確かにクールというか、おしゃれな雰囲気が出ますね。色合いもいいし
パリ:
これ、僕とナオさんが素材としてダメなだけかもしれない!
パリ:
おつまみも使っていきましょうか。
ナオ:
なにか頼みましょう。というかこの注文のシーンから撮影したいな。
パリ:
だからこうですよね。
ナオ:
ははは。タッチパネルを手にしてるのに見ないんだ。見てよ!
パリ:
ちょっと待って。笑いをこらえるのがつらい。
パリ:
とにかく頼みましょう。鳥貴族といえば焼鳥の「貴族焼」と「とり釜飯」と「ふんわり山芋の鉄板焼き」と。
ナオ:
そこらへんは絶対食べたいですよね。貴族焼ってスパイスもあるんですね? 食べたい。
パリ:
あと「つくねチーズ焼」も好きっす。
カンナ:
いいですね。かわいい感じの写真になりそう。
パリ:
普通になんか野菜も食べません? 「塩だれキューリ」とか。
ナオ:
いいですね。あくまで普通に鳥貴族で美味しく飲みつつ、かっこいい写真も撮りたいので。
パリ:
よし、これでいったん注文しますね。
カンナ:
食べる前ならお皿も使えますね。
ナオ:
なるほど、こうかな。
パリ:
あ、いい、いい!
ナオ:
この届いたきゅうりとかを使ってもおしゃれな気がする。
ナオ:
このきゅうり、すっごい美味しいのに、美味しくなさそうに食べるというね。
パリ:
もう、くわえてみようかな。
カンナ:
いい感じです。
ナオ:
いい感じですか!? 本当に。
パリ:
おつまみが届きはじめました。もうさ、これらをいかにかっこよく使うかに挑戦してみましょうよ。
ナオ:
そうですね。つくね串だとこうかな?
カンナ:
悲しそう!
ナオ:
悲しいほうになってしまう。
パリ:
つくね、本当に美味しいのでひと口かじってみてもらってもいいですか?
パリ:
ははは。全然美味しくなさそうだな。嫌なもの食べさせられてるみたいな。
ナオ:
これ、めっちゃうまい……。こんな美味しいんですね!
パリ:
僕はパーカーのフードを使ってみようかな。まぶかにかぶって焼鳥食べてみていいですかね。
パリ:
はは。ちょっと違いますね。やっぱりあれか、串に興味がなさそうな感じのほうがいいのかな。
カンナ:
あ、いいですよこれ! 意味がわからないけど。
ナオ:
はは。いいな、かなりクールではある。
パリ:
っていうか、貴族焼のスパイス味、めっちゃうまい! これを無表情で食べるのは無理ですよ。
ナオ:
私も1本もらっていいですか。本当だ。うっめえー!
カンナ:
美味しいですね。つくねも!
ナオ:
山芋でも撮っておきますか。難しいけど。
パリ:
どうすればいいんだろう。
ナオ:
一緒に持っておいてそっぽ向くとか?
パリ:
まず、普通バージョンはこうですよ。
ナオ:
これがいつものね。
パリ:
続いてそっぽを向いてみると。
カンナ:
うーん……どうなんでしょう。
ナオ:
はは。どうなんでしょうっていうことは、ダメか。
カンナ:
かっこよくは、ないですね。
ナオ:
ただ疲れた飲み会みたいな写真になってきてる。ファッション誌って焼鳥屋さんでどう撮ってるんだろう。この号の「装苑」にはなかったな。食べるって生きるに直結してるから、生々しくなってしまうんですよね
カンナ:
つくねはポップな感じでいいかもしれないですけどね。
パリ:
試しに、持ってみてくれません?
パリ:
あ、やっぱりカンナさんはなんでも決まるんですよね。けっきょく絵になる。
カンナ:
なんかいい食べかたありますかね。
パリ:
串の最初じゃなくて、最後の一個から食べてるのどうですかね
ナオ:
はは。そっちからね! 誰か教えてあげて! っていう。
パリ:
よし、ちょっともう1杯頼んでもいいですか?
ナオ:
選んでるところを撮ってみますね。はは、だめだ、ここにはなんのファッション性もないわ。
パリ:
選んでるときは、頼まれなくても真顔ですからね。「メガ金麦」にしよう。
ナオ:
はは! これもまたファッションから遠いけど最高ですね。
パリ:
メガはどうしよう。こんな風に持ってみるとか。
ナオ:
はは。重たいから気をつけてくださいよ。そしてクールに撮るの難しい。いや、よく考えたら、こんな大量の酒を飲んでる人をかっこよく撮れますか!? 無理ですよ!
パリ:
ははは。欲望丸出しでね。
ナオ:
しかも、ちょうど届いた釜飯も映っちゃってるし、もうおしゃれゼロ地帯! たとえば、持ってるのがこの消毒液だったらどうでしょうか?
ナオ:
うん。メガジョッキよりはクールですよ。
パリ:
釜飯、あったかいうちに開けましょう。
ナオ:
かっこよく撮れるかな。釜飯の蓋をあけながらクールでいるっていうのが、人間としていちばん無理なことじゃないか?
パリ:
はは。どれ。
パリ:
無理ー! だってうまそうだもん! いいにおいだし。かまぼこがいっぱい入ってる!
ナオ:
絶対美味しそうな顔になってしまいますよね。じゃあ私も開けてみますね。
パリ:
あれ? いいかも! かっこいいぞこれ。もうちょっと、左手にも表情ほしいですね。
パリ:
ナオさん、釜飯うまいですね! もう、思いきって大胆なポージングいっちゃいます?
パリ:
ははは。一瞬、いい! って思ったけど、冷静に見るとこれ、フタは開けてるくせに釜飯嫌いなやつでしかない!
ナオ:
はは! じゃあもう、釜飯のフタをあけながら枝豆を頼もうとしてるやつ、はどうだろう?
パリ:
記事の主旨がわかんなくなってきました。こんなときは、カンナさんお願いします
カンナ:
どうしよう。難しいですね。
パリ:
あー! やっぱり絵になりますね。
ナオ:
本当だ! これちょっと「装苑」の感じがある! カンナさんに手伝ってもらってよかった。
カンナ:
装苑に怒られますよ……。
パリ:
はは。じゃあ、食べよう!
ナオ:
盛りショットも撮りながら。ははは。でもやっぱり釜飯は無理! どんなファッション誌の撮影でも、横に釜飯があったらもう無理ですよ。
ナオ:
そんで、釜飯うまいな! なんかかっこよく映ろうとすることによって余計に美味しい気がする。
カンナ:
本当に美味しいですねー!
パリ:
そもそも、カンナさんはともかく、我々がモデル風のクールさに挑戦することに無理がありましたね。
ナオ:
ね。ぜんぶおかしな写真になる。
パリ:
まぁとにかく釜飯も美味しいし、鳥貴族は最高! が、今回の結論でいいですかね?
ナオ:
ですね!
▽デイリーポータルZトップへ | ||
▲デイリーポータルZトップへ | バックナンバーいちらんへ |