アップルストアがあるのも参道らしい
参道の浮かれた感じに似合ってる。
そう思って写真を見たら凧と竜が貼ってあってあった。ぴったりじゃないか。
「表参道」はひとかたまりの地名のように思っているが、表の参道である。
明治神宮という神社への参道だ。
表参道に並ぶお店は言ってみれば参道に並んでいる出店である。
ハイブランドやおしゃれな店も、甘酒、今川焼き、くじ、フランクフルトと同じなのだ。
表参道という街をいったん忘れて、あの道を参道として歩いてみよう。
明治神宮の南にある入り口につながる参道が表参道だ。お店や道路・鉄道をなくした地図で見るといよいよ参道である。
ちなみに裏参道は明治神宮の北側から外苑につながる道、西側には西参道もある。
さて、今回は3つの参道のうち、表参道を使って明治神宮に向かいたい。青山通りから明治神宮まで、参道としてこの道を歩く。
ではここから表参道という街を忘れます。
忘れた!
参道らしさがないが、よく見ると左右に灯籠がある。
落語では神社の参道がにぎやかな場所として登場する。子どもが団子をねだったり、若い男女が逢引きしている。
ということで僕の口調も落語っぽくなる。
落語の口調も忘れるほど美味い。そして身体があたたまる。
当然、ここは甘酒屋ではなくリンツである。しかしこの雰囲気は紛うことなき参道の出店だ。
目的地に向かってはいるが、珍しいものを売ってる店が多いのでついふらふらと店を覗いてしまう。本当に参道じゃん。
参道といえばおもちゃが当たるくじだ。プレステがあたるくじはキディランドになさそうだけど、参道らしいおもちゃを探してみよう。
キディランドは人気のキャラクターグッズばかりだったが、これぞ参道の屋台で買うおもちゃ、というものがあった。こういうのが欲しかった。
しかもこれ、箱を開けるまで何が出るかわからないという射幸性も屋台っぽくて良い。 気に入った。
明治通りを越えるとまた灯籠があるが、またもこれが全然目立たない。
もう300mほどで明治神宮だが、ここからもまた参道らしさが加速してゆく。加速しているのかどうかは分からないが、僕の「参道に見たてる力」がすっかり仕上がっている。
テキ屋はガマの油とか健康食品を売るので、健康もまた屋台の大きなテーマである。これも参道度高し!参道!
地元では売ってない珍しいものを売っている店だ。しかも石鹸だなんてしゃれてるじゃねえか。
暇をもらったまじめな丁稚が、病気がちなおっかさんのために買うだろう。ラッシュのバスボム。
団子を食べているうしろにもう明治神宮の鳥居が見える。
………ここで表参道の街を忘れる時間は終了。
表参道を参道として歩くことは十分可能だった。むしろ表参道に非日常な店が多いことにも腑に落ちた。なぜならここは参道だからだ!
参道の浮かれた感じに似合ってる。
そう思って写真を見たら凧と竜が貼ってあってあった。ぴったりじゃないか。
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