どれもおいしかったまぐろラーメン。取材前はネーミングにもビジュアルにも無理を感じなくはなかったのだが、トリッキーな感じよりも素直においしさを感じた。
今回は回れませんでしたが、他にもまぐろラーメンを出すお店はあるので、三浦を訪れた際には楽しんでみるのもいいかもしれません。
ここ数年だろうか、日本各地で土地ならではの食材を生かした町おこしというのをよく耳にするようになった。
今回たまたま知ったのは、神奈川県の三浦半島の南端、三崎で「まぐろラーメン」なるものを押してきているという情報だ。まぐろラーメン…。どんなもんだろう、それは。
確かに三崎港はマグロの水揚げで有名だと思う。ただ、自分の中では組み合わされることのなかった食べ方だ。
「まぐろラーメン」という響きのインパクトがある割には、まだあまり知られていないような気がする。実体を確かめるため、行ってきました。
※2008年8月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
そういうわけでやってきた、三浦半島の南端・三崎港。写真では静かな漁港のように見えるが、観光客も多く、とても活気のある町だった。
マグロの町ということで、マグロ料理を出す店も多い。歩いているだけでぐいぐい押されて、マグロマグロとどんどんテンションがあがる。マグロ食べないとまずいぜ、というような気持ちにもなってくる。
旅で高まっている気持ちに応えるかのようなマグロラッシュ。そのスピード感は観光客向けの店内でも同様で、一年中マグロ祭りであるかのようだ。
◆三浦半島ミニディスカバリー(1) ~マグロの売り方がすごい~ |
とりあえずノーマルマグロはスルーして、目的としていた中華料理屋さんにやってきた。港近くにある「港楽亭」だ。昼時ということもあってか、店内はお客さんでにぎわっている。
早速入って、まぐろラーメンを注文。この店では2種類のまぐろラーメンを出していたので、両方とも頼んでみた。ラーメンが出てくるまで待っていると、「まぐろラーメンのルール」なるものが書かれている紙があった。
なるほど、こうした基本的な部分をおさえてまぐろラーメンは作られているらしい。ダシにマグロ、具にもマグロ。
そして「各店舗個性を持つ」というルールにも注目。同じまぐろラーメンを名乗っていても、店ごとに異なる個性のものを出しているようなのだ。
そうこうしているうちに、ラーメンが来た。おお、うまそうなにおいだ。
「三崎ラーメン2号」と名付けられたこのラーメン。まぐろラーメンはそれぞれの店で改良を重ねているようで、バージョンアップする度に名前に反映させていくようになっているらしい。それゆえ「2号」とついているようだ。
ラーメンの上に乗っているハンバーグのようなものは、地元で「さんが」と呼ばれる料理。魚肉をミンチにして薬味と混ぜ、焼いたものだ。さんがにするのはマグロと限っているわけではないようだが、このさんがはもちろんマグロ製だ。
さて、もう一つのラーメンも来たので合わせて紹介しよう。
こちらは「冷たいまぐろラーメン」。8月31日まで、1日15食限定とのこと。その名の通り、冷たいスープのラーメンだ。上に乗っているマグロの身もボリュームがあってうまそうだ。
……両方とも素直においしい。
ともすれば生臭いかと、やや不安に思っていた部分もあったのだが、マグロの味はあくまで味わいとして感じられ、嫌味なようには感じなかった。
いっぺんに2つ頼んだこともあって、温かいのと冷たいのとのコントラストもおもしろかった。温かい方が梅宮辰夫なら、冷たい方は松方弘樹といったところだろうか。この味わいは、解釈の多様性をもって伝えたいところだ。
冷たい方には、ゆずこしょうとマグロの節粉も添えられていた。特に節粉はマグロの味が凝縮されていて、投入するとかなりマグロ感アップがした。
両方ともおいしくいただきました。ごちそうさまでした。
◆三浦半島ミニディスカバリー(2) |
続いてやってきたのは、「宗よし」というお店。中華料理店やラーメン屋ではなく、割烹料理屋というのが的確だろう。店構えからしてもそうした雰囲気を漂わせている。
割烹料理屋ということもあって、メニューのバリエーションがすごい。マグロの心臓のバター焼き、マグロ胃袋の酢味噌和えなど、かなり気になるメニューが並んでいる。
どれも食べてみたいが、今回はあくまでラーメン調べ。注文してしばらくするとやってきた。
ぱっと見だとマグロの姿が見えないだろう。これは「鮪かき揚げラーメン」。大葉の下にあるかき揚げに、ふんだんにマグロが使われているのだ。生麩やあられなど見た目にもきれいで、さすが割烹が出す一品といった感じだ。
味の方も上品。マグロのダシが臭みなく使われていておいしい。スープが淡泊かもしれないが、かき揚げのコクと合わせてちょうどいい感じだ。
実はこのラーメン、標準で白いご飯がセットになってついてくる。お店の方曰く、「スープに入れて食べてもおいしいです」とのこと。ラーメン茶漬けという趣向か。
麺を食べた後、ご飯を投入。あられが入っているのはお茶漬けの雰囲気を出すためでもあったのかと気がついた。スープを無駄なく平らげることにもつながってうれしい。
◆三浦半島ミニディスカバリー(3) ~なんだか違うコンビニの看板~ |
最後にやってきたのは、三崎港からしばらく北上した三浦海岸駅の近くにある「福の家」というお店。
店の前には「三崎まぐろ拉麺」と書かれたのぼりもたなびいており、積極的にアピールする様子が見られた。
実は今回の取材でわかったのだが、三崎まぐろラーメンは、どうもまだ町をあげてという規模ではないようだ。組織的に広げようしたのも2007年からで、そういう意味ではまだ始まったばかりの動きらしい。
注文したのは「鮪しゃぶらーめん」。マグロは生だが、スープは温かいタイプ。スープに浸かっている部分の色が変わっていることからも、これが「しゃぶらーめん」と名付けられていることがわかるだろう。
マグロを一切れ口に入れる。刺身の状態と、火の通った状態とがいっぺんに味わえるのが新鮮な感覚だ。
このお店ではもう一種類まぐろラーメンを出していて、それがこの「まぐろの冷し中華」。冷たいスープのラーメンは先にも登場したが、これは見た目からもあくまで冷し中華。
ハムや蒸し鶏の代わりに、マグロのお刺身が乗っているわけだ。これは普通に想像してもおいしい感じがする。
右奥に見えるのは別の店のラーメンにもついてきたマグロの節粉。食べながら混ぜて、マグロ度をアップさせることができておいしかった。
取材時は上記2つのラーメンを出していたが、普段はまた別のまぐろラーメンを出しているらしい。どちらもおいしかったので、こちらの方も味わってみたい気持ちになった。
どれもおいしかったまぐろラーメン。取材前はネーミングにもビジュアルにも無理を感じなくはなかったのだが、トリッキーな感じよりも素直においしさを感じた。
今回は回れませんでしたが、他にもまぐろラーメンを出すお店はあるので、三浦を訪れた際には楽しんでみるのもいいかもしれません。
◆三浦半島ミニディスカバリー(4) ~なんだか違和感~ |
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