船で行きたかったぞコルケアサーリ
コルケアサーリ動物園へ行くには大きく2つの方法がある。
ひとつはヘルシンキ中心街の港からフェリーに乗る行き方。
船で行ったほうが”島へ行くぞ!”という気持ちが強く乗るので、できればこのルートで行きたかったのだけど、9月のこの時期はもう船は出ていなかったようなので泣く泣く諦める。
代わりの方法はトラム(路面電車)とバスを乗り継いで行くという行き方。このルートにもメリットはあって、トラムもバスも事前に購入している”デイチケット”が使えるため、交通費が浮くのだ。
首都・ヘルシンキの近辺は縦横無尽にトラムが行き交っており、この乗り物を使いこなせばあらゆる場所へ行くことができる。方向音痴の筆者でも、1週間もいればなんとなくどの番号のトラムに乗ればどの方面へ向かえるかが分かってくる。
そうやっていくつかのトラムで移動したのち、バスを捕まえる。
フィンランドのバスは「おれは乗るぞ!!!」という意思表示をしっかりする必要がある。バス停に立っているだけでは不十分で、「おれは!」「乗る!」という視線と身振りで運転手にアピールすることによってようやく止まってくれるのだ。多分。
島とはいえ橋で本土とつながっているため、20分強も走れば動物園の手前まで我々を届けてくれる。ほぼ開園と同時に到着したためか、入口にお客さんはほとんどいない。
ロシアから独立するよりも前、1889年に開園したということで、かなり深い歴史のある動物園である。日本最古の上野動物園が開園したのが1882年だそうなので、ほとんど同じくらい。
22haの敷地に動物が150種、植物が1,000 種ほど生息しているのだそうだ。
さて、ここからはこの動物園で感じたことをまとまりなく綴っていきたい。
1.島の景色がきれい
良かったところとしてまず挙げたいのが園内の風景だ。
順路には北国特有の針葉樹林が立ち並び、それだけで異国にいるのだなぁと思わせてくれる。平日は人も少なく、長袖に薄手のアウターを羽織れば十分過ごせるくらいのこの時期は散歩にもちょうど良い。
もし近くに住んでいたら、年間パスポートを取ってここを散歩コースにするのに。
ガイドブックにも載っていないからか、街中のそこかしこですれ違った日本人の姿もここでは見かけなかった。
というか多分、その気になればここから上陸だってできる。そんな動物園はじめて来た。
トナカイのエリアは他の動物達と比べても広く取られていた。
フィンランドの土産物屋は右も左もトナカイだらけ。彼らはフィンランドの人々にとって移動手段でもあり、貴重なタンパク源でもあり、文化を代表するアイコンでもあるのだ。
別日にトナカイ料理もいただいたけれど、のしのし歩くトナカイの写真の直後に載せるのも気が引けるのでここでは割愛します。イメージしてください、なんとなく羊肉を思わせる風味、マッシュポテト、酸味のあるリンゴンベリーを添えたソテーです。
2.人も動物も見当たらない
先ほど園内に人がいないと書いたが、動物も見当たらない。実際はいるけど奥に隠れているのか、それとも表には出ていない時間なのか、特に注意書きが表示されている訳でもないので本当のところは何もわからない。
肌感覚としては、半分くらいの動物の姿は見ることができなかった感じだ。時期的なものもあるのだろうか。
コルケアサーリ動物園のケージは日本の多くの動物園のそれより広い。なので、多くの動物は人の視線に入らない奥まった場所にいるのかもしれない。それはそれで動物たちにとって恐らくストレスも少なく、良い環境なのだろうと思う。
まあ動物があまり見られない可能性があることは、事前にこの動物園について記したレポートをいくつか読んでなんとなく把握はしていたので、そういうものだよね、という感じである。
それも含めて、今まで体験してきた日本の動物園とは異なる空気が新鮮で楽しいのだ。これは強がりではなく!