さんざん食べたばかりですが、すでにまた食べたくなってます
取材中は「4皿も食べるんだから、もうしばらくカレーはいいかな…」なんて思っていたのだが、いまこの原稿を書いてて猛烈にカレーが食べたくなり、思わずコンビニ行ってカレーパン買ってきた。カレーには魔力があると思う。
しかしその魔力、これまでは「カレー食べたいな…」で済んでたものが、これからは「カツカレー食べたいな…」にレベルアップしそうです。
そして最後に訪れたのが、カレーのチャンピオン。実はここが、金沢カレーの元祖と呼ばれているお店だ。
これまで紹介してきたとおり、金沢カレーは東京や他の地方でもけっこう食べられる。にもかかわらず、本場の金沢までカレーを食べにきたのだ。せっかくなのでここでしか得られない情報を掴みたいと思い、インタビューをお願いした。
取材に応じてくれたのは、カレーのチャンピオン本店・店長の松本さん。
なぜ金沢にだけこんな独自のカレーが広まったのか、きいてみた。
松本さん「うちの創業者の田中が、自分の店で出していたカツカレーが発端なんです。」
そう、いま市内のいろいろな店で出されている金沢カレー、もともとひとつの洋食屋で出されていたカツカレーが源流であった。
松本「当時人気メニューだったカレーとトンカツを、どうにかしてお客さんに安く両方楽しんでもらうことはできないだろうか。そう考えて生まれたのが、カレーの上にカツを載せる、あの盛り方なんです」
金沢カレーの特徴であるキャベツ、あれは、トンカツの付け合わせのキャベツの名残なのだそうだ。そしてスプーンでなくフォークを使うのも、トンカツを刺して食べやすいためだ(当時の肉は固くて、スプーンではなかなか切れなかった)。
当時の店の名前は、「洋食タナカ」。そして次第にカツカレーの認知が広まるにつれて、「ターバンカレー」と店名を変え、カレー専門店として新装オープン。これがいまのカレーのチャンピオンにつながるのだ。
ちょっとまって、ターバンカレー?きいたことのある名前が出てきたぞ。この記事の最初に行った店、あそこと同じ名前だ。
松本「当時のターバンカレーは、うちの田中といまのターバンカレーさんの創業者の、共同経営だったんですよ」
なんと、そういうことだったのか。しかしよくよくきいてみると、横のつながりはそれだけではなかった。ゴーゴーカレーも、カレーの市民アルバも、どちらかのお店の弟子やらなんやらで、そもそものレシピは田中氏のターバンカレーから受け継がれた。僕が訪れたすべての店は、実は源流ですべてつながっていたのだ。
ちなみにステンレスの皿を使うのは割れにくくて長持ちするからだそうだ。それ自体はなんということもない理由。にもかかわらず、どの店もそろってステンレスの食器を使っているところを見ると、ルーツはひとつだったんだな、と実感できる。
魅力4:いろんなひみつが隠れていた |
そしていよいよ元祖のカレーを食べさせてもらうことに。バックグラウンドを知ってからだと、これまでも食べてきた金沢カレーだが、また違った存在感で目の前に現れてくる。
こちらも庶民的ながら、まろやかな味。これが金沢カレーの源流なのか。たくさん食べてきて正直そろそろ味比べもよくわからなくなってきたところだったのだが、元祖といわれるととてもおいしく思える。いやほんとにおいしいんだけど。金沢カレー、万歳!
ちなみにこの金沢カレー、もしやスーパーで売ってるカレールーも金沢仕様なのか!?と思って探してみたものの、置いてあったのは見慣れたのカレーたちだった。
それでは、と思い、チャンピオンカレーの松本さんに「家庭で金沢カレーの味を再現することはできますか?」と聞いてみた。しかし、「うーん、難しいですね。弊社で通信販売もやっていますので、こちらで買っていただければ…」と宣伝で返される結果に。
そういえば本文中にも書いたが、今日ご紹介したお店の何軒かは、首都圏をはじめとして全国に出店している。金沢カレーを食べてみたくなった方は、実は近所で食べられるかもしれないので、ぜひ調べてみてほしい。
取材中は「4皿も食べるんだから、もうしばらくカレーはいいかな…」なんて思っていたのだが、いまこの原稿を書いてて猛烈にカレーが食べたくなり、思わずコンビニ行ってカレーパン買ってきた。カレーには魔力があると思う。
しかしその魔力、これまでは「カレー食べたいな…」で済んでたものが、これからは「カツカレー食べたいな…」にレベルアップしそうです。
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