デジタルリマスター 2023年2月24日

油まみれな地蔵たち(デジタルリマスター)

さぁみんなで油かけ

油をかけることでご利益が得られる地蔵があるという。

えぇ?!お地蔵様に油をかける?!そんなバチ当たりなことをしていいものなのか?

どうやらそれが、いいらしい。主に関西地方に多く存在するそのお地蔵様は、油掛地蔵(油懸地蔵)と呼ばれ昔から人々に親しまれてきたのだそうだ。

先日、京都に行く機会があった。京都には油掛地蔵が3体あるということなので、 私はそれら、油まみれな地蔵たちを巡ってみることにした。

2007年10月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

1981年神奈川生まれ。テケテケな文化財ライター。古いモノを漁るべく、各地を奔走中。常になんとかなるさと思いながら生きてるが、実際なんとかなってしまっているのがタチ悪い。2011年には30歳の節目として歩き遍路をやりました。2012年には31歳の節目としてサンティアゴ巡礼をやりました。(動画インタビュー)

前の記事:商店街、万国旗ノスタルジー(デジタルリマスター)

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京都は嵯峨へ

というワケで、やってきたのは京都市西部に位置する嵯峨嵐山。 一件目の油掛地蔵は、ここ嵯峨にある。

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嵯峨はこんなカンジの素敵なところ

嵯峨といえば、名勝嵐山や見事な庭園を持つ天龍寺などで有名な観光地であるが、 油掛地蔵はそれらとは一線を画し、住宅地の中にひっそりと存在している。

場所はJR嵯峨駅北口から東へ少しいったところ。 住宅街の中を歩いていくと、なんでもないような一角に 交通安全ののぼりが立っているのが見えた。 それが油掛地蔵の目印だ。

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のぼりが立っていなければ多分気が付かない
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建物の影にひっそりとお堂がある

お堂に近づいていくと、たちまちギトっとした油の臭いが鼻に付いた。 これはアレだ。何度も繰り返し使用したてんぷら油を何日も放置した後の匂いだ。 物凄い強烈な油の匂いが辺りには立ち込めている。

ここを訪れたのは朝早く。胃には何も入っていなかったので良かったが、 もし満腹だったりしたら大変なことになっていただろう。 そうで無くとも胸が焼けてきたというのに。

まぁ、何はともあれ、まずは油掛地蔵とご対面。

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うわぁ……なんと言うか、想像以上の油っぷりだ。 長年油をかけられ続けてきたそのお地蔵様は、 たっぷりと油を吸い込みデロデロのギトギト。 油が層になって堆積し、石像を真っ黒く変色させてしまっている。

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油の層に覆われ顔の彫刻が消えてしまっている

よ、よし。とりあえずお参りだ。

地蔵の前に置かれている油壺からひしゃくで油をすくい取り、それを地蔵に掛ける。 油をかけるのは肩より下。顔にはかけてはいけないそうだ (その割には顔も油まみれだが)。

なお、ひしゃくの柄も油まみれなので、手を拭くものがなければちょっと辛い。

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このひしゃくで油をかける
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傍らには消火器も完備

それにしても、なぜお地蔵様に油を掛けるようになったのだろう。 それについては、お堂の上部に備え付けられている説明板に書かれていた。

それによると、この地蔵はなんと約670年前、鎌倉時代後期に作られたものだという。 油かけの風習はその当時より始まったらしい。 ここを通る油商人は、必ずこの地蔵に油をかけて祈願したそうだ。

油かけにも歴史あり、といったところだろうか。

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