京都は嵯峨へ
というワケで、やってきたのは京都市西部に位置する嵯峨嵐山。 一件目の油掛地蔵は、ここ嵯峨にある。
嵯峨といえば、名勝嵐山や見事な庭園を持つ天龍寺などで有名な観光地であるが、 油掛地蔵はそれらとは一線を画し、住宅地の中にひっそりと存在している。
場所はJR嵯峨駅北口から東へ少しいったところ。 住宅街の中を歩いていくと、なんでもないような一角に 交通安全ののぼりが立っているのが見えた。 それが油掛地蔵の目印だ。
お堂に近づいていくと、たちまちギトっとした油の臭いが鼻に付いた。 これはアレだ。何度も繰り返し使用したてんぷら油を何日も放置した後の匂いだ。 物凄い強烈な油の匂いが辺りには立ち込めている。
ここを訪れたのは朝早く。胃には何も入っていなかったので良かったが、 もし満腹だったりしたら大変なことになっていただろう。 そうで無くとも胸が焼けてきたというのに。
まぁ、何はともあれ、まずは油掛地蔵とご対面。
うわぁ……なんと言うか、想像以上の油っぷりだ。 長年油をかけられ続けてきたそのお地蔵様は、 たっぷりと油を吸い込みデロデロのギトギト。 油が層になって堆積し、石像を真っ黒く変色させてしまっている。
よ、よし。とりあえずお参りだ。
地蔵の前に置かれている油壺からひしゃくで油をすくい取り、それを地蔵に掛ける。 油をかけるのは肩より下。顔にはかけてはいけないそうだ (その割には顔も油まみれだが)。
なお、ひしゃくの柄も油まみれなので、手を拭くものがなければちょっと辛い。
それにしても、なぜお地蔵様に油を掛けるようになったのだろう。 それについては、お堂の上部に備え付けられている説明板に書かれていた。
それによると、この地蔵はなんと約670年前、鎌倉時代後期に作られたものだという。 油かけの風習はその当時より始まったらしい。 ここを通る油商人は、必ずこの地蔵に油をかけて祈願したそうだ。
油かけにも歴史あり、といったところだろうか。