特集 2020年7月6日

ハッカーになる

「…ビンゴ。」

親譲りの機械オンチで小供の時から損ばかりしている。つい最近は新しいプリンターがうまくパソコンと接続できずにひどく混乱して更にもう1台プリンターを買ってしまい、一週間ほどへこんだ。

とにもかくにも機械に強いひとに対する憧れが人一倍あるのだ。いわんやハッカーをや、である。

埼玉生まれ、神奈川育ち、東京在住。会社員。好きなキリンはアミメキリンです。右足ばかり靴のかかとがすり減ります。(インタビュー動画)

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形からハッカーになるために

というわけで、ハッカーになりたいのである。
どうにか手軽にハッカーになりたい、まずは見た目から入ろう…と思い画像検索をしてハッと気づく。

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ハッカー、みんなパーカー着てる!

どうしたんだこの統一されたイメージは。

ハッカーの起源は一説によると1903年まで遡るとも言われている。無線機を発明したイタリアの物理学者グリエルモ・マルコーニに危機感を覚えたイギリスの通信会社が、その無線機の通信をハックすることで対抗したそうだ。

やがてパソコンが発明され、その進化の過程で様々な情報をめぐる技術者たちの攻防が生まれ、そしてハッカーたちはパーカーを着たのである。

パーカーを着よう

というわけで、見た目だけでもハッカーになれるよう進めていこう。みんなでハッカーになろう。

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暗い色のパーカーが良かろう

ハッカーといえばパーカー、というイメージが植わっているのはなぜだろう。調べてみたけれど、特に「この作品のハッカーの身なりが起源」など明確な出典はないようだった。自然発生的にみんな心の中のハッカーたちがパーカーを着はじめたのだとしたらとても興味深い。

そしてお気付きのとおりハッカーは暗い部屋にいる。もうこれは譲れない絶対条件である。パーカーを着て暗い場所にいるだけでそれはもうハッカーなのでは?とりあえず1枚撮ってみよう。

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あれ、違うな、これは夜間勤務をしている作業員だ

全然違った。これじゃただの暗い場所で作業をしている人である、遅くまでお疲れさまだ。

やはり一筋縄でいくものではないのだ。どうにかこうにか試行錯誤していくなかで見えてきたものがあるので共有したい。

ハッカーへの道その1:夜の会議室を借りろ

さて、ハッカーになるにはまず撮影場所を確保することである。ある程度の広さがあればわりとどこでも大丈夫だと思う。今回は新宿の会議室を借りた。

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登録時に訊かれた利用目的が「会議」「その他」の2択だったので「その他」を選ぶ。ハッカーになるから

なぜある程度の広さが必要かというと、暗くした時に背景の壁が見えてしまうと雰囲気が出にくいためである。

そして大切なのは撮影ができる人を連れてくることだ。こういうのはもう詳しい人に任せるのが一番だ。

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機材をいろいろ持ってきてくれた。この中のどれかを使って撮影をしました

とはいえ様々な撮影業務をこなした友人でもハッカーの撮影はしたことがないという。手探りの中で進めていこう。

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たぶんストロボ。人物の少し斜め後ろから当てよう

というわけでああでもないこうでもないと光の具合や角度を調整していった結果が、こちら。

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ハッカーか!?

なってきた、なってきた!ハッカーが見えてきた。背景のブラインドも偶然いい味を出しているぞ。

光の当て方のポイントとしては”部屋をなるべく暗くして斜め後ろから照明を当てること。PCのディスプレイの輝度を最大にすることで照明として活用させること”だそうだ。暗闇でPCをすると眩しいこともわかった、PCをするときは部屋の電気をつけたほうがいい。

ハッカーへの道その2:顔は黒画用紙で隠せ!

さて、ハッカーの尻尾が少しずつ見えてきたところで王道の正面カットを収めよう。

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あー、これはもう半分くらいハックしてますね

いろんなハッカーの写真を参考にした結果、限りなく両手を外側に出して正面からでも手が見えるようにしたほうが”らしく”なることがわかった。これはいい気づきだった。
お手元のキーボードを見ていただくとわかるが、この手の位置じゃまともなキーは叩けないことがわかる。このハッカー、もしかしてパソコン知らないぞ。

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そして黒画用紙である

ハッカーは往々にして顔が影になり、表情が見えないのだ。気軽に表情を隠したい、そんなときはこの画用紙1枚さえあれば…

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匿名性の高いハッカーの完成である。ありがたい
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画用紙を着脱する様子も「正義と悪の狭間で苦悩するハッカー」みたいになった

撮影者いわく”コントラストを高めに調整して、暗いところをしっかり暗く。シャドウ(暗いとこ)を青とか緑っぽくすると急にそれっぽくなる”とのこと。

全体を青、緑色にすると写真がのっぺりしてしまう。肌の色などは残しつつ暗い部分で調整を行うといいみたいだ。これもう普通に知見だ。すごいな。

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数字を背負わすのも鉄板でいいですね

ハッカーへの道その3:眼鏡を反射させろ!

続けて見ていただきたいのがこの写真。

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眼鏡に反射した「CAUTION」の文字。これは…そうだ、ハッカーだ!

ハッカーはここぞとばかりに眼鏡にモニター画面を反射させる。なんだか賢く見えるからだ。作り方は簡単。

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必要なのは自宅プリンターでも印刷できる透明のラベルシール
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これにもっともらしいPC画面を用意して…
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レンズに貼り付けたらハッカー専用メガネの完成だ

上の写真は世界地図をレンズに貼り付けているが、撮影してみたら目の周りがうるさすぎたため、「CAUTION」に落ち着いた。

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ハッカーへの道その4:ディスプレイをたくさん用意する

ハッカーたるもの複数のディスプレイを使いこなす。そんなわけで今回は3つ画面を用意した。

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おおお、最上級のハッカーだ

その昔小学生の間でヨーヨーが流行ったとき、両手でヨーヨーを手前に回す”ダブル・ループ”という技(トリック)が最高レベルとして指定されていた。
多分ハッカーの世界も同じだ、複数ディスプレイがあるとむずかしくて格好いいのだ。

モニター画面はそれらしく作ればどうにかなるものだ。

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今回は、我らがデイリーポータルZのHTMLソースに「CAUTION」と警告が出ているものと(デイリーポータルZは安全安心なwebサイトです)、
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なんだかウィンドウがたくさん重なっているストーリーの佳境っぽいやつ、
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そしてドムドムハンバーガーの店舗一覧を用意した(2020年6月末現在)

ハッカーはPC画面に地図を表示させたがる。本当のハッカーなら公共のインフラを遮断させたりするのだろうけど、そんなこと筆者にはできないので、特に意味はないけどドムドムハンバーガーの店舗一覧を地図にまとめてみた。

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で、これである。勝手に字幕をつけたっていい
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興奮して「3つあればどんな画面でもいけるんじゃ?」と思って急遽ソリティアをした。もうわからなくなってる

ハッカーへの道その5:犯罪集団であれ

複数人のハッカーグループも格好いい。個性豊かな頭脳集団が何かしら大きなことをするのだ。なろう。

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なった

奥は撮影担当の友人である。真剣な顔をしているが、隠れた右手でリモートの撮影ボタンをタップしているからだ。筆者はコカ・コーラを飲む。ハッカーにはコーラがよく似合う。

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ハッカー、外に出る。

だいぶ満足したのでハッカーは外に出ようと思う。

そう、蛇足だ。

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ハッカー、自販機をハックする
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ハッカー、進入禁止の駐車場をハックする
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7月のハッカーは暑い
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ハッカー、送水口をハックする

満足しました。


改めてハッカーになるコツをまとめる

・暗い色のパーカーを着る
・ある程度広い夜の会議室で撮影する
・部屋を暗くし、パソコンのディスプレイを照明代わりに
・画像にはコントラストをつけ、シャドウ部分を青、緑色に寄せる
・それらしいディスプレイ画面、反射するメガネなど小物もあれば

自分で撮るのが不安なハッカーの方は撮影手伝いますのでよろしくお願いします。

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映画『ドラゴンタトゥーの女』で天才的なハッカーが指なし手袋をしていたのでそれも採用した。Tポイントカードの利用方法を調べるハッカーの図
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