これは人類というシステムのバグだ
「シズル感」という言葉は広告業界で広まっている概念で、肉がジュージュー焼ける音(シズル)のような「購買意欲を高める感覚」のことだ。
おそらくだれかがハンバーガーを弾ませたのだろう。こっちのほうがおいしく見えるよね、と。そして日本にも伝わってきて、あれ? 牛丼も弾ませたほうがおいしそうに見えないか? となったのだろう。だって高野豆腐までおいしそうに見えたのだから。
いや、「おいしそう」とまでは言えない。煮物丼やメガネ丼というありもしないものでよく見えたのだから。これは「おいしそう」ではなく「なんかよさそう」「商品としてよさそう」「買いたくなる」ということだろう。
弾ませること、躍動させ生き生きとさせること、牛丼に生命を宿すことがどうして購買意欲を高めるのかはわからない(動いてるものだけ捕食するカマキリのようなことだろうか)。
ただ、我々は弾む牛丼を買いたくなっているおかしな事実だけがある。人類というシステムのバグ。それが弾む牛丼だ。