富士吉田に訪れた際には、ぜひブックオフ富士吉田店に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。これも立派な観光でしょう。
ちなみにこの記事は、富士吉田店で購入した本を参考にして書いています。
山梨県にある「ブックオフ富士吉田店」は、富士山に関係する本が充実しています。そんな富士吉田店の魅力をお伝えします。
新宿からバスで二時間ほど。山梨県富士吉田市の河口湖インターチェンジが近づきます。
この場所の観光スポットといえば、なんといっても富士山でしょう。
富士山五合目に通ずる「富士スバルライン」の起点でもあり、富士山世界遺産センターもこの場所にあります。登山シーズンには多くの人でにぎわいを見せています。
また、富士急ハイランドも見逃せません。
絶叫マシンの多さでは日本有数で、無骨な鉄骨群が富士山麓に独特の景観を生み出しています。
しかし、もうひとつ、この場所には隠れた観光スポットがあります。
ブックオフ富士吉田店です。
富士吉田店のなにがすごいのか。それを二つのポイントで説明します。
①立地がすばらしい
一つ目は、立地の面白さです。
ここは、日本で一番標高が高く、日本で一番富士山に最も近いブックオフなのです。
天気のいい日には、富士山とブックオフのツーショットを拝めます。赤・青・黄の照りつくような原色の看板に、水墨画のような白と黒の富士山。この対比だけでも、来た甲斐があるというものです。運がよければ、この絶景が見られるかもしれません。
②日本で有数の富士山書籍
二つ目は、蔵書の面白さです。富士山関連の本が豊富に取り揃えられており、その数は日本随一。これについては、次の節で詳しく説明します。
実際に店内を見てみましょう。店舗は二階建てで、一階はホビーやマンガ、CD、DVDのフロア、二階は書籍全般が売られています。興味深いのは二階。ここでは、新書から文庫、大型本まで書籍全般が売られています。この書棚に、富士山関連の本(通称、富士山本)が多いのです。
たとえば、「自然」のコーナーでは、『富士山測候所物語』『富士山噴火の歴史』『よみがえる富士山測候所』が連続して三冊並んでいます。そもそも、他の店舗には富士山本そのものがあまりありません。三冊並んでいるのは、貴重でしょう。
ちなみに「富士山測候所」とは、富士山頂の剣ヶ峰にあった観測所で、1932年から2004年まで有人で観測が続けられていました。測候所に置かれていたレーダーは、富士吉田市の道の駅「富士山レーダードーム館」に移設され、当時を伝えています。
富士吉田店で富士山測候所の本を買ってから、かつてのレーダーを見に行くのも、富士吉田観光の良いルートでしょう。
「自然」のコーナーには、『富士山噴火のXデー』『富士山噴火が迫っている!』など、富士山の本が多く取り揃えられています。
富士山は2013年に世界遺産に制定されました。正式名称は「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」で、富士山だけでなく、それを取り巻く文化芸術も含んで登録されたのです。文化のゆりかごとしても受容されてきた富士山の歴史が分かるでしょう。
それを表すかのように、富士吉田店の芸術棚にも多くの富士山本があります。
例えば、写真集のコーナーを見ると、富士山の写真集がさまざまに置いてあります。
他のブックオフでは、まず見られないような品揃えです。これ以外にも、『カメラが撮らえた富士山の明治・大正・昭和』や『富士山絶景撮影ガイド』など、写真コーナーは富士山本の穴場です。
それ以外にも、『世界の「富士山」』『富士山が世界遺産になる日』など、文化的な側面から富士山を解説する本も書棚に潜んでいます。
なぜ、富士吉田店には富士山の本が多いのでしょうか。理由は、ブックオフが採用する古本買取りのシステムにあります。
それが「出し切り」というシステム。
これは「買い取った商品は、必ずその日のうちに加工して棚に並べるという鉄の掟」です(「ブックオフをたちよみ ブックオフ創業30周年記念! スペシャル座談会 〜8人の社員たちが語る、創業から未来まで〜」)。
そのため、ブックオフの棚は、周辺住民が売ったものがそのままそのラインナップになり、ご当地感あふれるブックオフが生まれるのです。
私が富士吉田店を訪れたときも、古い本を大量に売りに出している人がいました。そこで売られた本を横目で見ると、富士山の郷土史のような、とても古い本でした。周辺住民がこうした富士山本を売りに来ているのです。かなり古い本でしたが、もしかすると現在、富士吉田店の店頭には私が見たこの本が並んでいるかもしれません。
これもまた、「出し切り」がなせる業(わざ)なのです。
富士吉田に訪れた際には、ぜひブックオフ富士吉田店に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。これも立派な観光でしょう。
ちなみにこの記事は、富士吉田店で購入した本を参考にして書いています。
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