パラパラチャーハンのコツは「ご飯とマヨネーズを先に混ぜる」
1ヶ月チャーハンを作った思い出話しをしたいところではあるが、いきなり結論から話していこう。
パラパラなチャーハンを作るコツは「炒める前にご飯とマヨネーズを混ぜておく」ことだ。
「ご飯とマヨネーズを先に混ぜる」ということさえ守れば、ほぼ誰でも失敗せずにパラパラチャーハンが作れる。これを発見したときは二代目 周富徳を名乗ろうか迷ったくらいに自分が天才だと思った。
※ ちなみにこの答えにたどりついたときに「大発見だ!!!!」と息巻いていたのだが、検索してみたらやっている人がすでにいた。それでもこの記事では「僕が発見した」という体の温かい目で見守って欲しい。
今回、1ヶ月の中で「家で誰でも簡単に作れるパラパラチャーハン」を目指して作り続けていた。
ネットだと「中華鍋が必要」や「火力がないと無理」のような夢も希望もない情報がでてくる。
そりゃお金をだして道具を揃えて強い火力があれば誰だってある程度は美味いチャーハンが作れるだろう。
しかし、そんなことではないのだ。俺たちはフライパンとコンロで美味いチャーハンが作りたいんだ!!初心者でも簡単に作れるチャーハンが知りたいんだ!!!
チャーハンは簡単、早い、美味いの走攻守が揃ってこそだと思っている。家で作るチャーハンはトリプルスリーでなくてはならないのだ。
ということで、まずは1ヶ月で僕がたどりついた誰でも美味いチャーハンを作れる方法を紹介していきたい。
俺流チャーハンの作り方
【材料】
※ ご飯は1合の半分(お茶碗一杯分)くらいを想定
■必須
・マヨネーズ
・ラード(or 油)
・ネギ
・卵…2つ
・ごま油
■味付け(ここは好みで)
・醤油 …大さじ1/2
・塩…少々
・こしょう…3〜4ふりほど
・味の素(or 鶏ガラの素 + 砂糖)…大さじ1/2
・ニンニク(or ガーリックチップ)
【手順】(詳しい作り方は後ほど)
①熱したフライパンにラードを入れてネギとニンニクを入れる(かなり弱火で)※
②ネギを取り出して、ラードを再び入れて強火にする。
③ご飯を炊飯器から取り出してマヨネーズを混ぜる。かなりかき混ぜる。しっかりかき混ぜる。
④フライパンから煙があがり始めたらご飯を入れる。そして卵を入れる。
⑤かき混ぜる(このときフライパンをあまり振らない方がいい)
⑥最後にちょろっとごま油をかける
※ ①は味付けなのでパラパラにする方法とは関係がない。やらなくてもいい。
火が強いとネギが焦げてしまうので弱火でじっくり炒める。
ネギを炒めると油がでてくるので、チャーハンの香りが格段によくなる。スーパー行けばネギ油が売っているからそれで代用してもいいかもしれない。
ちなみにこの工程がめんどくさい人はやらなくても大丈夫。味付けのための作業なのでパラパラには関係ない。
ネギを炒めたときの油が残っているから、ラードは少なくても大丈夫。ここは好みで。
油はなんでもいいんだけど圧倒的にラードを使った方が美味しい。中華料理屋のチャーハンの味に一気に近づく。
ここが超大事。というかパラパラチャーハンを作るためにはこの作業が命である。
米一粒一粒にマヨネーズが行き渡るようにひたすら混ぜる。もうひたすら。ここを妥協すると失敗する。
一粒一粒にマヨネーズが行き渡ったらもう勝ち。優勝。パラパラ大王。
ちなみにマヨネーズが苦手な人も安心してほしい。火にかけると酸味が飛ぶため、ほぼマヨネーズの味はしなくなる。
注意点としては混ぜるタイミングに気をつけることだ。炊飯器からは炒める直前に取り出すようにする。混ぜて時間を置いてしまうとお米同士がくっついてしまうからだ。
一つテクニックとして紹介したいのが、卵を入れる順番だ。料理が上手くない人はご飯→卵の順番の方が失敗しにくい。米に卵が絡むからパラパラになりやすいのだ。
ただし、具としての卵の存在が弱くなってしまうため、料理に慣れている人は通常通りの卵→ご飯の順番の方がおすすめ。
フライパンを勢いよく振る=パラパラになる
というイメージがあるかもしれない。しかしあれはあくまで火力が強い場合だ。中華料理屋などは強い火力で焦がさないために鍋を振る意味もあるらしい。
家庭のコンロだと火力が弱いからフライパンを火から離さないようにする。揺らしながらかき混ぜるようにした方が火がとおりやすいのだ。
ある程度炒めたら調味料を入れて具材を投入。
醤油は入れすぎないように気をつける。色合いも悪くなるし、しょっぱくなるだけ。あくまで香り付け程度に少しだけ。茶碗一杯分なら大さじ1/2とかでも充分。
あと調味料の中で塩系のものは完成間近に入れるようにする。塩を入れると浸透圧で米から水分がでてしまってベチャッとしてしまう。よくわからないが浸透圧らしい。
この最後のゴマ油は大事。風味がよくなるし、パラパラ度も増し増しになる。
ゴマ油ってかければなんでも中華風になるから、アホが作ったみたいな調味料で大好きだ。
浸透圧がどうとかじゃなくて「ゴマ油かければ中華!!!!」みたいなわかりやすい世の中であってほしい。
完成!!!!
ちなみに「マヨネーズとラードを使ってるからカロリーやばくない?」と思った人は話にならない。
チャーハンは油とカロリーの想いを米に凝縮して食べるものだ。油を全身で感じてこそチャーハンだ。カロリーを気にするなら寒天でも食べてればいい。
ご飯にマヨネーズを混ぜるという方法を思いついたのは「卵と油を使うならマヨネーズで代替できるんじゃないか?」と思ったからだ。
実際にキューピーの公式ホームページでも「油の代わりにマヨネーズを使って炒める」というレシピが公開されている。方法としては間違っていないはず。
そもそも炊きたての米は表面がでんぷん質で糊状になっていてくっついてしまう。そのためベチャッとした食感になってしまう。そのため米を油でコーティングする必要があるのだ。
ただし、本来であればお米の水分と油は混ざり合うことがない。そこで卵の登場。卵黄にはレシチンという成分が入っていて、油と水を結ぶ乳化作用があるのだ。
つまり卵と油の効果によってパラパラなチャーハンができるのだ。いわば油と卵を兼ね備えたマヨネーズは最強なのである!!
ゴチャゴチャと説明してきたが、浸透圧とかレシチンとかそんな理屈どうでもいいのである。そもそも今書いている科学的な知識はネットで調べた情報なので間違っているかもしれない。
しかし、そんな小難しい理屈はどうでもいい。僕は家で美味いチャーハンが作りたいだけなのだ。科学的な知識など美味いチャーハンの前では無味無臭なのである。美味いチャーハンを作れる人が正義なのだ。
(ちなみに上記の図の意味がわからない人は今すぐ「すごいよマサルさん」を読もう。ウォンチュウ!)
チャーハンを上手く作れる男はかっこいい
以前、僕は2週間手料理だけで生活をするということをやっていたことがある。そのときに料理の基礎中の基礎は学ぶことができたが、得意料理と呼べるものができるまでには至らなかった。
「さらっと作れる得意料理が欲しいな…!」
そう考えたときに真っ先に頭に浮かんだのがチャーハンだった。
チャーハンを上手く作れる男はかっこいい。「得意料理がチャーハン」というのは竹野内豊のような無骨で男臭いかっこよさがある。
大雨の日に家にいると少女が「助けてください!」といきなり家にきた。何か事件に巻き込まれているのかもしれない、そう思ったので僕は少女を家に招きいれた。しかし彼女は何も話してくれず、震えて家の隅っこにいるだけだった。
僕は何も言わずにチャーハンを作りそっと差し出した。始めは怪訝な表情を見せていた少女だが、ぎこちなくチャーハンを口に運んだ。しばらくすると涙を流し始め、ここに来た理由は話しすだすのだった…
ほら!!!!
こんな感じで無骨にさすだすチャーハンってかっこよくない?ここがパスタだとなんか違う。チャーハンなのだ。大きい皿に持ったチャーハンをかきこむ少女!ドラマチック!!
そんな思いもあって得意料理をチャーハンにするために、1ヶ月毎日チャーハンを作る日々が始まった。1ヶ月チャーハンを作れば竹野内豊になれるかもしれない。
本来なら1日目から最終日までドキュメンタリー風に書いていきたいところだが「てめーの思い出話しなんてどうでもいいんだよ」という人もいるかもしれない。
ということで1ヶ月で気づいたことを9つにわけて紹介していきたい。
1ヶ月の出来事を最初から見たい人は僕のTwitterを見てほしい。ちなみに毎日ではなくなったがチャーハン作りは今も続けている。
1. チャーハンの作り方は無限にある
チャーハンの作り方はネットで検索すれば山程でてくる。しかし、どれが正統派なのかわからないくらい作り方が多い。手軽に作れるからこそ、各々のこだわりが出てくるのかもしれない。
1ヶ月の間にネットで調べたパラパラチャーハンの作り方は色々と試してみたのでまとめてみた。(☆5が満点)
■冷凍ご飯を使う
パラパラにするにはコツがいる。レンジで温めすぎるとねばついてしまう。意外に加減が難しい。あといつでも冷凍米があるとは限らないので、作りやすさという点においてはイマイチ。
作りやすさ:☆☆
パラパラ度:☆☆☆
■ご飯をよそってから少し冷ましておく
米から水分を飛ばすために放置しておく。でもこれをやったからといって「絶対にパラパラになる!!」という感じではない。「少しパラパラになりやすい」くらい。料理初心者はそれほど効果を感じないかも。
作りやすさ:☆☆☆
パラパラ度:☆☆☆
■卵かけご飯を作ってから炒める
最も簡単にできる。ほぼ100%失敗しない。ただ米が少しボソボソする感じがするのと、具としての卵がなくなってしまうのがマイナス。
作りやすさ:☆☆☆☆☆
パラパラ度:☆☆☆☆
■油を大量に使う
パラパラにはたしかになるが硬い感触になる。米を揚げてる感じに近い。好みによってはこれが一番好きな人もいるかもしれない。油っぽいのが苦手な人はだめかも。
作りやすさ:☆☆☆☆
パラパラ度:☆☆☆☆
■油の変わりにマヨネーズを使う
キューピーの公式サイトでも紹介されている方法。僕が最初に提案した方法はこれを応用したもの。油の変わりにマヨネーズを使っているだけなので特筆することがない。可もなく不可もなく。
作りやすさ:☆☆☆☆
パラパラ度:☆☆☆☆
■科学的チャーハン ※
美味い。パラパラだし米のしっとり感も残っている。ただし、練習しないと失敗して水でベチャベチャになることがある。あと調理時間がかかってめんどくさい。
作りやすさ:☆☆☆
パラパラ度:☆☆☆☆☆
※ 科学的な根拠でチャーハンを作る方法。テレビで紹介されて広まった作り方。
「米を水で洗って油をかけて、弱火でじっくり炒める」という従来のチャーハンとはまったく違う作り方をする。
評価を見てもらうとわかるけどどのやり方をしてもパラパラにはなる。やり方に関しては結局は好みの問題だ。どれにしたって美味い。それがチャーハン。
ただ、「一番失敗しにくい」かつ「美味しい」という観点においては僕が最初に紹介した「ご飯とマヨネーズを先に混ぜる」という方法だと思う。
あとやっぱり「米を柔らかく炊いてしまった」などになるとパラパラチャーハンを作るのはどうしたって難しい。
ベチャベチャな米でパラパラなチャーハンが作れる方法も模索していきたい。
2. 結局は「味の素」が最強
調味料は鶏ガラスープ、オイスターソース、ラーメンのスープの素、ミソ、砂糖と色々と試してみた。
そして基本である塩、こしょう、しょうゆだけにして、それの量を少しづつ変えて試行錯誤もした。しかしどれも何か物足りなさを感じていた。
試行錯誤したものの結局は味の素が最強だった。中華料理屋の味に一番近いチャーハンになる。
さすが「味の素」と名乗っているだけはある。「味」の「素」なのだ。起源にして、頂点。
さらに味の素は商品としては「うま味調味料」として登録されている。「この商品はうま味ですよ」と自ら宣言しているのだ。絶対強者。
簡単に美味くなりすぎて料理のプロが味の素を使うと「ずるいぞ!」と叩かれることがあるらしい。料理界のドーピング。
3. 味付けは塩、しょうゆ、こしょうだけでも美味い
チャーハンは簡単に作れるがゆえに様々な調味料を試してみたくなる。
しかし基本的には塩、こしょう、醤油のシンプルな構成で充分。この調味料だけでも美味いというのがチャーハンの魅力だ。
調味料を色々と使って味を濃くしても美味いけど、シンプルな方が最後まで飽きずに食べられる。
チャーハンはやっぱりガッツリかきこんでいっぱい食べたい。「いくらでも食べられるチャーハン」を作るなら塩、こしょう、醤油のシンプル三銃士で。
4. チャーシューがすべて
チャーシューを入れると「今までのチャーハンはなんだったんだ…」というくらい美味くなる。米と肉の組み合わせなんだから美味いに決まっている。
肉の力は偉大だ。早くベーシックインカムでチャーシューを支給してほしい。
5. 料理初心者は顆粒の調味料を使った方がいい
味覇などのペースト状の調味料はお湯などで溶かして使用するため、水分を含んでしまう。
パラパラチャーハンを作るときには失敗しやすい。料理に慣れてない人は顆粒の調味料を使うのをおすすめしたい。
というか味覇ってお湯で溶かすのが正しい使い方なのか未だにわかってない。謎の粉。
6. 中華料理には砂糖を使う
中華料理屋だと砂糖をいろんなメニューに使っているところも多いらしい。
なんで美味くなるのかよくわからない…味覚って不思議。
7. ラードとネギは必須
色々試したけど米や卵以外だとラードとネギは自分の中では必須。味が全然変わってくる。
具材はいくつか試したけどナルトが好きだ。あとウインナー入れると実家を思い出す。ノスタルジーチャーハン。
8. お店のチャーハンはレベルが違う
お店のチャーハンは「パラパラなのに米がしっとり」という相反する2つが共存している。最強の矛も最強の盾もこの世にはあるのかもしれない。どうやったら作れるのか本当に謎。黒魔術。
中華徳大のチャーハンの味付けはシンプル。一口目を食べたときは「あれ?味薄いのかな?」と思ったくらいだった。
ただ、食べ終わったあとに「もうないの?もっとちょうだい!」という感情が湧いてきたのだ。最後まで飽きないどころか終わってからも食べたくなっていた。
ファストフードの「一口目が美味い」とは違ったベクトルの美味さだ。
有名店がどうとかの話しでなくチェーン店で食べるチャーハンもやっぱり美味い。あと冷凍食品のチャーハンも美味い。
いや、チャーハンはなんでも美味いのだ。それこそがチャーハンだ。
9. みんなチャーハンが好き
今回、1ヶ月チャーハンを作るということを宣言したらいろんな人からアドバイスをもらった。
■こしょうを大量に
やべえってくらい入れてください。塩コショウだとしょっぱくなりすぎるのでただただコショウです。
しめじ /
@shimeji_pz
■こだわり派
ラードがポイント。ラードにごま油を混ぜ、ネギとニンニクを低温でじっくり炒めます。ご飯は卵をあらかじめ混ぜておき、強火にしてからラードに入れます。
味付けは、味覇、紹興酒、塩、砂糖、胡椒、醤油。少量の砂糖が効きます。
くにぱぐ /
@kunisu89
■ごま油を先に
火をかける前にご飯を入れて、ごま油をひとまわしかけて、ある程度混ぜてほぐしてから強火で作ってみてください…しっとりパラ、くらいの香り良い炒飯が出来ますよ
にこ /
@nico_taberu
■アボカドチャーハン
①ご飯に卵黄とマヨネーズと塩胡椒と鶏ガラ(粉末)ネギやソーセージなどを入れて混ぜる
②フライパンに油を入れて熱し粒マスタードを入れる
③①を入れてパラパラになるまで炒める
④アボカド追加して軽く炒める
だてあずみ /
@date_co_pzg
みんなチャーハンが好きなのだ。
僕は今まで嫌いな人がいない料理ナンバーワンはカレーだと思っていたのだが、チャーハンなのかもしれない。
チャーハンを嫌いな人を探す方が難しいのではないかと思っている。むしろ嫌いな人がいたら理由が知りたい。
チャーハンのアドバイスをしてくれる人はたくさんいたのだが、その中で一つ変なメッセージもきた。
ザ・ぷー(@the_puh_)というアーティストから連絡が急にきたのだ。デイリーポータルZ編集部の安藤さんと僕は何度かライブに行ったことがあるアーティストだ。
ザ・ぷーというグループは4人組(1人は猿)なのだけれど、連絡してきたのはその中で僕が唯一会ったことがない街角マチオという人だった。その初対面の人が急に家にチャーハンを食べにくると言ってきた。怖い。
街角マチオ
「美味いですね。お店で出てきてもべつにおかしくないくらいには美味しいですよ。パラパラ具合もいいですね。
……でも僕のチャーハンはもっとすごいですよ。食べたら記憶なくなりますから。食べてくれた人はみんな『チャーハンがなくなっている!!』と驚くくらいですから。あとシャウエッセンが入っていますから」
やっぱりみんなチャーハンが好きなのだ。会ったこともない人の家にくるくらいチャーハンが食べたくなるのだ。チャーハンは人を狂わせるのかもしれない。
1ヶ月ものごとを続けてみると何が起こるかわからないものだ。僕は竹野内豊にはなれなかったが、その代わりにチャーハンを食べに変なアーティストが家にきた。
あと1年チャーハンを作り続けたらジャスティン・ビーバーが家にくるかもしれない。俺のチャーハン道はまだまだこれからだぜ!!!!
なんなんだ、このオチは。
チャーハンは奥が深い
同じことをしていると発見が多い。繰り返しの中に毎回ちいさな気づきがある。
ネットの情報は簡単に手に入るが、自分の身にはならないというのがよくわかる。インターネットは便利だが不便だ。お店のチャーハンがパラパラかつしっとりしているように矛盾が同居している。
「毎日チャーハンを作る」という企画は終わったが、今でもチャーハンは作り続けている。馬場さんのアドバイスの通り、今は調味料を少しずつ変えて検証している。PDCAチャーハン。
もしチャーハン作りに関してなにか有益な情報がある人がいたらぜひ教えてほしい。ただし、情報だけくれればいい。絶対に家にチャーハンは食べにこないで欲しい。