寒さには実家
なぜ自転車をあったかくしようとすると実家っぽくなるのか。よく考えると実家はあたたかい。それは物理的なものもあるし、精神的なポカポカもある。そういうことなのだ。あったかさを求めると実家っぽくなるのは必然なのだ。実家っぽい自転車になったということは、間違いなくあったかい自転車という証拠なのだ。
自転車というものがある。徒歩よりも速く、バイクや自転車とは違い免許もいらず、手軽の乗ることのできる便利な乗り物だ。駅に行けば大きな駐輪場にズラリと自転車が並び、多くの人が自転車を利用していることがわかる。
ただ自転車は冬場寒い。車と違い風を遮るものがなく、ダイレクトに風を受け、密閉空間でもないので外気にずっと触れることになる。つまり寒いのだ。そこで自転車の冬対策をしようと思う。
徒歩では20分かかるところが自転車だと10分もかからずに到着するなど、自転車は便利だ。最近でもないが、クロスバイクのような本格的な自転車に乗っている人も増えている。子供から大人まで自転車に乗っている人は多い。
もちろん私も自転車を所有し、自宅から最寄り駅まで自転車を利用している。クロスバイクなどのスタイリッシュな自転車に憧れているけれど、乗っているのはいわゆるママチャリだ。もう5年くらいこの自転車に乗っている。
ただ問題がある。冬は寒いのだ。自転車だから当たり前だけど寒いのだ。便利な乗り物だからこそ、さらに便利にしたい。つまり、寒くない自転車にしたいのだ。そこでこのママチャリを冬仕様に改造したいと思う。
まずはハンドルだ。風を受ける場所でもあるし、冬はハンドル自体も冷たく、一番問題な点だと考えている。手袋をすれば解決する気もするけれど、手袋は落としやすく、なくす心配もある。しかし、寒いのは嫌なのだ。
自転車のハンドルに装着できるカバーを買った。外側は風を通しにくい素材で作られており、内側はモフモフな素材でできている。つまりあったかいのだ。自転車に装着するので落とすこともない。
ハンドルとブレーキをすっぽりと包むように装着できるので、自転車に乗っている最中はここから手を出す必要はない。手を入れてみるとあたたかい。とてもあたたかい。これで手が冷たい問題は解決だ。
寒さで問題があるのは自転車を漕ぐ自分だけではない。手前のカゴに入れる荷物も冷えてしまうのだ。それはやはり冷たい風により冷えるからだ。コンビニでせっかく温めてもらったものが、家に帰るまで冷えてしまう。それを解決したい。
自転車のカゴに取り付けられるカバーのようなものを買った。自転車のカゴは隙間だらけなので、寒風が吹きすさぶ。それを回避するためのカバーだ。これがあるとないでは、カゴに入れた荷物の冷え具合が変わる。風を遮ることがポイントなのだ。
ハンドルのカバーは茶色に白の水玉。カゴのカバーは白に茶色の水玉。合わせてみました。スタイリッシュな自転車に憧れているので、デザインにも気をつけつつ、冬仕様の自転車にしている。なかなかにオシャレなのではないだろうか。
冬仕様の自転車はあったかいだけではダメだ。安全面も気をつけなければならない。冬場は体が寒さによりこわばっているので、動きが鈍く、後方の安全確認などがおろそかになりがちだ。その対策をしなければ、冬仕様の自転車とは言えない。
自動車のサイドミラーのようなミラーを買った。これをハンドル部分に取り付けることで、視線だけで後方を確認することができる。これで安全だ。あったかくて安全。冬仕様の自転車にはそれが求められる。
特に工具などは必要なく、取り付けることができた。冬仕様にするための工程は決して難しくないのだ。簡単にできる。簡単だが、ちょっと手を掛けるだけで、あったかく安全な冬仕様の自転車になる。なんて素晴らしいのだろうか。
夏と冬を比べると冬の方が荷物は多い。旅行に行く時の荷物で考えるとよくわかる。夏の旅行は半袖を持って行けばいいだけだけど、冬はベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウターレイヤーなど必要なもの多数。冬は何かと荷物が多いのだ。
伸びる素材の紐だ。自転車の荷台にもカゴをつければいいのでは、とも思うけれど、カゴに入るサイズの荷物とは限らない。冬は荷物が多いので、あらゆるサイズの荷物のことを考えなければならない。そこでこの伸びる素材の紐なのだ。
偶然この日も荷物が多かった。それは冬だからだろう。夏は段ボール箱サイズの荷物なんてないから。ないからね。冬だからなのね。それも伸びる素材の紐ならば荷台にがっちりと固定することができる。冬仕様の自転車に伸びる素材の紐は外せない。
冬はサドルに霜が降りたり、雪が積もったりしてしまう。サドルが濡れてしまうのだ。それはよくない。その上に座るとお尻が濡れてしまう。お尻が濡れると体が冷える。つまり寒いのだ。その対策をしなければ冬仕様の自転車とは言えない。
サドルをビニール袋で包むのだ。方法としては2つあって、自転車に乗る時にビニール袋で包む方法と、自転車を乗り終わってビニール袋で包み乗る時に外す方法だ。今回は自転車の乗る時に包む方法を採用することにした。
私はスタイリッシュな自転車を求めている。そのために「カルディ」のビニール袋を採用した。カルディはオシャレなのだ。私の住む「狛江」にカルディができた時は嬉しくてオープン日に行ったほどだ。オシャレを示すためにも、乗る時にサドルをビニール袋で包む方を採用している。
最後は自転車ではなく、乗る側への施策を行う。基本的には着込んでいれば寒さはある程度防げる。自転車の冬仕様もハンドルのカバーとサドルのビニール袋以外は、乗り手の直接的な寒さを防いだものではない。冬仕様にもいろいろあるのだ。
最後は直接的な冬仕様。自転車は風を切って進むので、やはり肌が露出しているところが寒い。ハンドルカバーで手が寒い問題は解決したけれど、顔も露出しているので寒い問題がある。そこで準備したのが上記のサンバイザーのようなものだ。
顔を覆うことで寒風を防ぐことができるのだ。しかも、UVカットだ。個人的にはUVはどうでもいい。寒風さえ防げればいい。顔が黒くなっているけれど、キチンとクリアに前は見えているので問題ない。
これで冬仕様の自転車の完成だ。ハンドルカバー、前カゴカバー、サイドミラー、伸びる素材の紐、サドルのビニール袋、サンバイザーみたいなやつと完璧な装備が整った。これで冬の自転車も怖くない。冬に勝つ自転車となったのだ。
隙がない。冬が入り込む隙間がない。完璧なる守り。あったかさも、運搬力も、安全も備えた完璧なる布陣だ。我々は冬に怯えて生きてきた。冬の自転車に震えながら生きてきたのだ。それからいま解放されたのだ。
問題があるとすれば、どことなく実家っぽい自転車になったことだ。スタイリッシュな自転車にしたくて、カルディのビニール袋を採用したりしたけれど、なんだか実家っぽい。何が原因かわからないけれど、実家っぽい。親が乗っていそうな自転車なのだ。
おそらく自転車を冬仕様にすると、実家っぽい自転車になるということだ。実家っぽくしたくなくても、冬仕様にすると自然と実家っぽくなる。その真実がいま浮かび上がったのだ。ただあったかいからよしとしよう。懐かしさもあるしね。
なぜ自転車をあったかくしようとすると実家っぽくなるのか。よく考えると実家はあたたかい。それは物理的なものもあるし、精神的なポカポカもある。そういうことなのだ。あったかさを求めると実家っぽくなるのは必然なのだ。実家っぽい自転車になったということは、間違いなくあったかい自転車という証拠なのだ。
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