特集 2020年12月6日

800円と15分でできる自動掃除ロボット(デジタルリマスター版)

ルンバはページ中盤から!

自動掃除ロボットといえば、iRobot社のルンバである。2002年の発売以来、長らくイロモノ扱いされてた感のある製品だが、ここ最近になって急に実用家電としての頭角を現してきた。

今回は、あのルンバを、金額で800円、作業時間も15分という超低コストで自作しようという記事だ。

…なんだけど、その前におもしろい話があるのでちょっときいてほしい。ハブラシに命を与える方法だ。

2010年9月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載しました。

インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(共著)がオライリーから出ました!

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> 個人サイト nomoonwalk

ハブラシ3分クッキング

作業時間は3分。部品を2つ、テープで貼りつけるだけで、ハブラシがまるで生きてるみたいに動き出す。

「生きてるみたいに」なんて表現はありがちだけど、ほんとに生きてるみたいなんだからしかたがない。

ちなみにこれは僕の考案ではなくて、オリジナルは海外のサイトで見つけた。でもリンク先は英語ですし、改めてこちらでもご紹介します。

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用意するもの。ハブラシ、コイン型電池、振動モーター。
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歯ブラシは100均で8本組くらいで売ってるやっすいやつがいいです。まず首元でポッキリと切る
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電池にモーターをつなぎます。裏と表に1本ずつモーターの線をセロテープで留める

 

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この時点でブンブン振動しはじめますがお気になさらず
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あとはさっきのハブラシに両面テープで電池を貼って
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モーター本体も電池にくっつける

いきなり振動モーターとか聞き慣れないものが出てきましたが、電子部品屋で1個50円~で売ってます。お近くにない場合は通販で。要らなくなった携帯とか分解しても出てくるみたいですよ。

入手だけちょっと面倒だけど、それで命の創造ができると思えばかんたん、かんたん。

で、これだけで完成なのである。

自走式ハブラシのできあがり

勝手にフワフワと動くし、指で弾くと逃げていく。ダンゴムシを虫かごに入れて撮影し、ちょっと早回しにしたみたいな動き。

ちなみにハブラシの毛が傾いているほうがよく走るので、机に斜めに押しつけて癖をつけておくか、ブラシの毛を斜めにカットすると元気よくはね回ります。

 

神は生き物に掃除を与えた

最近こうやってブラシを走らすのにはまっていて、二足歩行(風)ロボットを作ったりして遊んでいる。

記事とあんまり関係ないし、ほぼ「自慢したかっただけ」みたいな動画ですが

 

それで色々試しているうちに、ひとつの発見をした。これで遊んだあとは、ブラシでこすられた床がきれいになっているのだ。

これは、まるで、自動掃除ロボット。

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はい、やっと本題でました

ようやくルンバ君の登場。彼はスイッチを入れるだけでウィーンと進みながら掃除機をかけてくれて、壁に当たったらちゃんと方向転換もする。

さっきのハブラシも、小さいながらも自走して、壁に当たったら跳ね返る。そのうえ床もきれいになるとなれば、まさにルンバそのものではないか。

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そこで、おもむろにモーターを取り出します

そうとわかれば僕がやるべきことはひとつ、ルンバの自作である。

 

乾電池で動くルンバ

動きは似ていても、小さなハブラシでは一部屋掃除するのに何日かかることか。自作ルンバは、もう少し大きなブラシでブンブン走らせることを目標にしたい。

それには小さい振動モーターではパワー不足。普通のマブチモーターで自作の振動モーターを作ることにした。

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作り方は簡単、モーターの軸におもりを貼り付けるだけ
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おもりは何でもいいんですが、家に余ってたちょうつがいを使いました。電池につなぐと

 

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「バリバリバリバリバリ!!」

 

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ヒッ

予想をはるかに超える暴力的な振動に、顔が引きつった。こういうとき、とっさに「怒られた!」と思ってしまうのはなんででしょうね。

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電池ボックスをとめました。ついでにスイッチも。
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ハブラシと全く同じやり方で作っております。ここまでノー工夫

ちなみにブラシは家にあったスニーカー洗うブラシを使った。汚れたら洗おうと思って買ってきたのだが、外取材が多いためか、たいていその前に履き潰してしまう。

おかげでブラシは未使用のまま、靴業界からロボ業界への華麗なる転身を遂げた。

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大抜擢ですよ

そう簡単にはいきませんよね

10分足らずで、ちょっと大きめの自走ブラシができた。

ところで、うちには本物のルンバもある。今年から妻が就職して忙しくなったので家事を圧縮しようと思って買ったのだ。でもたまにルンバが入り込めない狭いスペースがあったりして、そういうところをコンパクトな自作ルンバに任せられたらと思っている。

彼に共働き家庭の家事を任せても大丈夫だろうか。

電池ボックスをとめる

陸に揚げられた魚のようにピチピチと跳ねながら移動、さいごは横転。あきらかにモーターが暴れすぎだ。むしろ横転してからの方がスムーズに動いているのが皮肉である。

そして、さらにすごい欠点が。

 

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がんばった証拠

抜け毛。身を削ってがんばってくれてる気がして、そういうアピールは作り手としては嬉しいけど、掃除との両立はちょっとできそうにない。

これがうまく行けばあとで亀の子たわしに交換しようと思っていたのだが、こりゃちょっと向いてなさそうだ。毛の抜けないブラシを調達せねば。

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お風呂用ブラシ


 

いったん広告です

2号機

新しいブラシを買ってきた。これなら毛が抜けることもないし、丸いので横転もしなさそう。

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「取っ手がついてて持ちやすい」がウリの製品でしたが、いらないので切断。個性を殺して長所を縮める教育方針です
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そもそもモーターがはしゃぎすぎなので、おもりを軽いものに変更
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2号機、完成。当社比で3倍くらい頭でっかちになった

2号機の制作費は、モーター150円、電池ボックス200円、ブラシ300円。 あとは銅線とかの細かい部品を入れても合計800円あればおつりのくる低コスト。今回みたいに試行錯誤するのでなければ、15分もあれば組み立てられる。

そんな低コストにもかかわらず、これが実によく動いてくれた。

カメラが追いつかないほど部屋中を走り回り、そして…

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デレレレレー(ゲームオーバー)

よりルンバらしく

さいご思いっきり転んでますが…。まあ、しょうがないよね。敷居はね。段差あるし。使うときはドア閉めとけってことでいいんじゃないですかね。

それをのぞけばすばらしい動き回りぶり。たまにその場で回転したり、そうかと思うと急に走り出したり。AI搭載で汚れの多いところは念入りに磨くし、少ないところはスピーディーに掃除してくれるのだ。(という設定)

あとはビジュアル的ちょっと本家ルンバからはほど遠いので、もうちょっとそれっぽくしていきたい。

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原料に再生紙を使用しております(ロボットなのに)
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ル、ルンバ…
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左の方が作ったやつです(いわなくてもわかると思うけど)
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横から見るとこう。傘か

上の写真は「上から見るとこんなにルンバ」「でも横から見ると…」みたいなオチの写真だったのだが、上から見ても全然ルンバじゃなかったのであんまりオチなかった。

 

実力のほどは

さて、これでビジュアル的にもルンバそのものである。

はたしてその掃除力たるやどれほどのものか。

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あらたいへん、ベランダに土をこぼしちゃったわ

さあ、心おきなくお掃除していだこう!

…という動画が下の動画なのだが、静止画像ですでに結果見えてますね。

この画像、アップした動画からYoutubeが自動で作ってくれるんですよ。掃除は自動にならなくてもネタバレは自動の時代、到来。


相変わらずの、全く先が読めない動きぶり。そして、まもなく、…死んだ。

さいご、倒れたままなおも動き続けようとするルンバ。ついにモーターの先のおもりが外れ、コロンところがる。この瞬間の、「息絶えた…」みたいな感じが本当に切ない。

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丸で囲った部分がちょっときれいになりましたね。やった!

 


これが俺なりのルンバ

またも段差にやられてしまったが、あとで修理して平らなところで動かしてみたところ、段差さえなければそんなに倒れないし、ちゃんと障害物からも素早く跳ね返って、それなりにいい動きをすることがわかった。

ただホコリを吸い込むわけじゃなくて回転するブラシが通るだけなので、広い床では余計に散らかる方向ですけどね。狭いところからホコリをかき出す、なんて用途には使えるかも。などと実用化を模索しています。

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土はあとで自分で掃除しました

 

 

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