自由ポータルZ 2022年5月20日

謎のことば「人文字のぐるぐる」の正体を追う~自由ポータルZ

こんにちは、編集部 石川です。

無糖ピーナッツバターを大瓶でもらって使い道に困っていたのですが、JUNERAYさんに使い方をきいたら1週間で半分まで減りました。やはり持つべきものは専門分野のある仕事仲間…!

ちなみに使い道はピーナッツコーヒーと、めんつゆ+ピーナッツバターのディップです。

では今週の自由ポータルです。

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【入選】謎のことば「人文字のぐるぐる」の正体を追う

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[投稿者]窪田鳳花さん (もがき続けて100年生き抜くブログ
[コメント]たまたま拾ったレシートに「人文字のぐるぐる」という文字が。なんだそれは。調査のために熊本に向かったら紆余曲折ありました。

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古賀及子のコメント

おもしろかったです! テーマが強いですね。冒頭で出てくるレシートの意味不明さに引き込まれます。

いきなり現地へ乗り込むのではなく、美容院をはさんで聞き込みからヒントを得たのが展開として上手でした。一気に謎にリーチしてしまうのではなく、じりじりせまることで面白みを増幅させる、これは「わざと」やる「演出」ですが、結果面白いのでぜんぜん自信持ってもらって大丈夫です。

改善点として、上記にも書いたのですが、もっと自信もって記事を書くといいんじゃないかなと思いました。
ネットで調べずにわざわざゆっくり謎を解いたことを最後までちょっとわだかまっていますよね。いいんですよ、ぜんぜん! 楽しませてくれてますから、演出には自信をもって大丈夫です。

自信という意味では、「記事を書くこと」に文中で2回自信を無くしているのもちょっと気になりました。

>記事をどう書き上げようかという不安とともに。
>みなの反応で記事をシメようと思っていたのだが、さて、これからどうしようか…。

記事をどう書くかって読者には関係がないんですよね。共感しづらいことなんじゃないかなーと思います。

たまたま九州の形をしている苔を拾うところ、めちゃくちゃ良いですね。こんな地図の見せ方があったのか…と奮えました。

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林雄司のコメント

おもしろいですね。

役に立つ←→立たない
工作がうまくいってる←→いってない

面白さってこういう分かりやすい軸とは関係ないところに発生するんですよね。

この記事は分かりやすい軸で言えば役に立たないし、早く調べろよってことになるんですが、おもしろい。

人文字のぐるぐるって一六タルトみたいなものかなと思って読んでいたので、種がでてきたときに「???」と思いました。

ささいなことでも興奮できればおもしろいものが書けるってことが分かる佳作でした。

うける記事のためには何かを成し遂げなければならない、と考える人がいますがそういうことではないですから。

 

【もう一息】多種族の同い年に会いに行ったら元気が出た話

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[投稿者]庭氏さん (帳尻を合わせるまで死ねない
[コメント]動物の成熟度を表すときに人間で言うと〇〇歳という表現をしますが、自分と同い年の動物って今どんな感じで過ごしているのだろうと思い会いに行ってみた話です。たくさん可愛い動物が出てきます。

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古賀及子のコメント

こちらもおもしろかったです~!

そういえばあるなという概念「人間でいうと〇歳」を対象にしつつ、そこにもうひと味、自分の年齢と近い生き物を見に行く、そして

>どの生き物が1番元気なのかを確かめてみよう。

と、おもしろい企画の目的が「誰がいちばん元気か」と牧歌的なのにはガッツポーズしました。

28歳で一番元気な生き物、めちゃ知りたい、うまいです。

犬、猫ときて動物園、それから植物園まで行くのも意外でした。動物にしぼってぜんぜん良いと思うんですが、植物園でも面白い話が聞けているのでここは足を使って取れ得たパターンですね!

私が編集についたら、せっかくポップなネタなので、タイトルはもう少しストレートにしませんか、と相談すると思います。「多種族の同い年」よりも「人間でいうと28歳くらいの生き物」みたいに分かりやすくするイメージです。

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林雄司のコメント

なるほど!企画としてはいい気がするんですが、驚いたりすることなく読み終えてしまいました。
なんでだろう。不思議ですね。

うーん、全体に感じるのは楽しさが伝わってこないということかな。

この試みは新しくて、世の中の人にいいものとして共有されているわけではないんですよね。だからこそ、読む人に「わ、楽しそう」って思わせないといけない。

ひゃっほーい!とかわざとらしくテンション上げる必要はないんですが、これをする理由、魅力を伝える言葉があると良かったと思います。 

 

【もう一息】走り込みの掛け声はブルガリア民謡に似ている

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[投稿者]ヒルさん (ひるろぐ
[コメント]長年共感を得られませんでしたが、似ていることが証明されました。

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石川大樹のコメント

素朴な疑問をしっかりインタビューで解決していて、しかも仮説検証の流れもしっかりしており、また仮説になかった「口の形」の要素までしっかり持ち帰っていて…ということで力作だなと思いました。聞き込みのあと実践に戻ってくるのも◎です。ヒトデの走り込みはブルガリア民謡になるかも、っていう結論も面白いですね!

記事の作りも取材もしっかりしているのですが、見せ方のところで改善点がいくつかあるなと思ったのでお伝えします。

・民謡のサンプル動画が3つもあって、「これと似ている」っていうのが伝わりにくいように思います。1本に絞って「この動画の○○分○○秒のところがかなり近い」ってピンポイントでいった方がいいかも

・いくつか出てくる、自分で録音した音声の録音状態が良くなく、何をしているかよくわからなかったので、しっかり録るといいと思います

・シンコペーションなど専門用語は(言葉での解説はありますが限界があるので)図示するなどして説明する工夫があっても良かったかも?

・対談は名前部分だけでも色や文字の太さを変えると読みやすくなります

・インタビューごとに箇条書きのまとめをつけると情報が整理されて良さそう。

ちなみにひとこと言わせていただくと、本当に走り込みに似ている伝統音楽は中央アフリカのピグミーのコーラスです。

 

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林雄司のコメント

おもしろそう、なんですがちょっと構成がわかりにくいかな。

最初に何をするかを説明しておきたいですね。そうすると読み手も展開の心構えができるので。共通点が4つあるという仮説は分かりやすいです。それらひとつひとつに二人の専門家にマルバツつけてもらう、という流れにするのはどうでしょう。

だから最初に「私が見つけた共通点が正しいかどうかをふたりにジャッジしてもらいます。まずひとりめ!」という全体像を見せる。

二人目で新たな共通点が見つかったところでは5点目として登場させる。

ミリタリーケイデンスの部分は本文に関係ないので削除。アイディアと行動力はすばらしいので、ちょっと読みやすくするといいんじゃないでしょうか。

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最初に展開を示して読みやすくするというのはこの本のパクリです。
「論理が伝わる 世界標準の『書く技術』」

 

Tips:初手で検索しない

今日の窪田さんの記事は、検索しないことで謎を解く楽しみを手に入れました。

検索しない縛りってけっこう有効なんですよ。もう世の中として結論が出ているものでも、ネットに結論だけ書かれているのを見るより、自分で調べた方が濃い情報が得られるんですよ。仮説立てて検証したり、街中で足で探したり、メーカーに直接聞いたりとかすると。ピンポイントで結論にたどり着かないぶん、周辺のいろんな情報がついてくるんです。それが記事に深みを情報量を与えてくれます。

……といってもケースバイケースで、最初から調べちゃった方がいい場合もありますが、一つの手法として「初手で検索しない」は意識しておいていいかもと思います。

ではまた来週!

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