自由ポータルZ 2021年6月25日

NYで銃撃されかけた私の、ピンチ回避の逆転術~自由ポータルZ

こんにちは、編集部 石川です。噂のワクチンをいち早く打ちました。大規模接種センターで打ったのですが、流れ作業の完成度がすごいんですよ。案内に従ってスーッと歩いていくだけで、いつの間にか接種が終わっているどころか次回の予約まで取り終えています。

なんですが、最後の最後で「アナフィラキシーショックが起きても対応できるように15分様子を見る場所」があるんですよね。そこでは大の大人が15分ボーっとすることを強いられており、今まですごいスピード感で流れてきたオペレーションから急に時間の流れが変わるんです。あそこに流れていた無の時間、忘れられません。2回目も楽しみです。

では今週の自由ポータルZです。

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【入選】NYで銃撃されかけた私がシェアする、ピンチ回避の逆転術

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[投稿者]つじさん (つじ
[コメント]人は銃を向けられると、自然と両手を上げます。

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石川大樹のコメント

おもしろかったです!窓を玄関にするルームメイトのアバウトさから、緊迫の現場、そして謝りに行く時のルームメイトの描写、そして後日談の「Welcome to the United States」……。一つのエピソードの中にいろんな要素が詰まった体験談でした。

僕が特に好きなのが謝りに行くシーンで、
「私に向かって片目でウィンクしたルームメイトは、借金の取り立てみたいな音量でドアをノックした。」
「ルームメイトが肩を大きくすくめる。」
「ルームメイトが窓を開けるジェスチャーをして笑っていた」

ルームメイトの動作のひとつひとつから、感情やエピソードとしてのおかしみ、たくさんの情報量を受け取って文章に盛り込んでいるのが印象的でした。他人を描写するとき、発言だけでなく動作や表情までしっかり解釈されているのがうまい文章の条件だと思うんですよね。その点、うまいなーと思いました。

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林雄司のコメント

おもしろいエッセイでした。

窓が玄関になった時点で事件が起こる雰囲気がびんびんにしますが、期待を裏切らない展開で楽しめました。

Welcome to the United States とか鏡の前で髪の毛に櫛を入れるポーズなどのディテールもいいです。こういうのを逃さないところに書き手の力を感じます。

この事件から得た解決策がソーリーを繰り返すというのがリアルですね。本物の危機にあった人の言葉には迫力があります。読み物として楽しかったので、「ピンチ回避の逆転術」「圧迫面接に立ち向かう就活生は(中略)ぜひ参考にしてほしい。」とビジネス書的な言葉は要らないかなと思いました。銃を突きつけられていることと面接は違うと思うので(笑)。

最後に、銃を突きつけられることに比べたら圧迫面接なんて!と冗談っぽくたとえるとかですかね。このアドバイスは媒体のテイストによるところが大きいと思います。 

 

【もう一息】タイの寺院で貰える寺院ステッカーに思いを馳せる

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[投稿者]さとみこんこんさん (素人の研究社
[コメント]三年前に訪れたタイの寺院でステッカーを貰いましたが、よく覚えていなかったので色々調べてみました。タイのステッカーのこと、なぜ大切な旅の思い出を覚えていないのかを自分なりに振り返りながら考察しています。

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古賀及子のコメント

情報として貴重なうえ、イキり味のない文章がすごく読みやすかったです!

書き手の態度ってとても(というか一番?)大事で、嫌なやつが書いた記事は読みたくないっすもんね。satomiconconさんの気の良さ、付き合いやすさみたいなものが冒頭から現れてて、あ! これは読もう~♪ という気持ちにさせます。

例えば

>これは片桐はいりが言っていた言葉なのだが

自分で編み出したんじゃない、芸能人が言ってたことだと素直に書く感じ、こういうところですね。あとはとにかく途中唐突に出るここ!

>我ながら頭を使って観光していないということが顔に表れた1枚

笑いました。自分の写真に笑わすキャプションを付けられる人が一番強いと思います。

タイの寺院事情への説明が少なかったので、もう少しタイについて詳しくない人が読むことを前提として書くとぐっとよくなると思います。調子よく読んでいてここでつまづく感じがありました。

>鬼の正体はラーフ神といい、入手元はワットクンチャンである。

固有名詞が出てこないと説明出来ない箇所だとは思うので、ステッカーの出自は要素でまとめるようにするとわかりやすかったかもしれません。

ステッカーのモチーフ:ラーフ神
もらった場所:ワットクンチャン
由来:アムリタという~

みたいな感じです。

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石川大樹のコメント

チェンマイを1週間ほど一人旅したことがあってとても思い出に残っているので、どうしてもちょっと贔屓目になってしまうのですが……、面白かったです。

ステッカーがもらえるなんてことはもちろん全く知らずに寺を回っておりました。日本でいう御朱印みたいなものでしょうか。いいなー。

文章の良さについては古賀が書いてくれていますが、個人的に驚いたのはその調査力で、ステッカーの絵柄だけでこれだけの寺院を推測するというのはけっこうなリサーチ力ではないでしょうか。すごい。

これはサイトのカラーとの兼ね合いもあると思いますが、僕だったらタイトルは「タイの寺院で住職にいうとステッカーがもらえる」みたいな、情報(裏技感?)を押し出したものにするかなと思いました。情報っぽさで人をおびき寄せて、あとは自分の好きな文を読ませる作戦です。実際貴重な情報ですし。

完全に余談ですが、旅行時に自転車でぶらぶらしていたらペットの露店が並ぶペット市場を見つけたんですよ。それが帰国後にどの地図やガイドブックを見ても載っていなくて「あれは夢だったのか…」と思っていたのですが、この記事をきっかけに久しぶりにGoogle Mapで調べたところ、地図が更新されていていて実在を確認できました。どうもありがとうございました。

興奮して長くなりました。失礼しました。

 

【もう一息】エレベーターと友だちになろう!

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[投稿者]いそのさん (埋物の庭
[コメント]LINEで呼び出せるエレベーターがあるのを発見しました。エレベーターと友だちになれるじゃん!と興奮しましたが、まだ課題もあってそれも含めておもしろいです。

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石川大樹のコメント

短編ではありますが、「エレベーターと友達になる」ことの違和感というか、ちょっとしたおかしみがのびのび描かれた、良い記事だなと思いました。こういう小さい心の動きをさっと捕まえて記事にしていくのはすごく大事だし、意義のある営みだと思います。自分であとから読み返しても楽しいんですよね。こういう記事。

もうちょっと長い記事にするとすれば……末尾にあるように友だち100基を実際に目指してみるとか、あとはメーカーにインタビューするとか、あとは友達として一緒に自撮りするとか……色々考えられますが、この記事は新鮮な感動が詰まっているので、そこまでやるのは蛇足かも。しいて言えば、この記事に続く第2弾としてそういう展開があってもいいのかもしれません。

 

Tips:文字起こし前にコンプをかける

インタビューはもちろん、数人で感想を言い合うような企画などでも、よくレコーダーで録音して文字起こししますよね。テーブルを囲んで話したようなケースではそのまま文字起こしすればいいのですが、胸ポケットにレコーダーを入れて歩きながら話した場合など、自分の声だけ大きく録れていたりして、ほかの人の声が聞き取りにくい場合が多いです。

そんなときは、音声編集ソフトを使って、コンプレッサーのエフェクトをかけましょう。小さい声と大きい声の音量がそろって、かなり聞き取りやすくなります。

このとき、レシオ(圧縮率)を10:1とか高めにするとよいです。スレッショルド(閾値)は小さい声の音量によりますが、-25dBくらいから始めて調整していくといいかも。
僕はAudacityというソフトをよく使っています。

ではまた来週!

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