リアルひとり地獄めぐり～自由ポータルZ

石川大樹のコメント

平熱の朝さんの旅ものが好きなのですが、今回も良かったです。

「別料金の地獄があって危なかった」「それよりも自分はバスガイドと交流したという満足を得た」「彼らとはこの先全ての地獄で出くわすことに」。はっきりした「笑わすぞ！」って感じの冗談ではないのですが、こういうちょっと面白おかしいというか、愉快なフレーズがふんだんに出てくるんですよね。全体のテキスト量もそれほど多くないので、こういったフレーズが埋もれずに効果的に使われていると感じます。

引用符もなしに突然パンフレットの引用をしている部分があって、それって普通だったら読みにくいから直したいなって思うんですけど、この記事の場合は妙に馴染んでいて、それすらも文体の一部だなという感じで。味になっています。とにかく文体が良い。

この記事自体に直した方がいいところは特にないのですが、もっといろんなジャンルの記事を見てみたいなと思いました。ぜひまた！ 

古賀及子のコメント

「地獄」が最後の最後までフレッシュに言葉としての面白さを失わないのに驚きました。

地獄めぐりの記事なので、地獄という言葉が出てくるのは不可避で、

>停留所に来るものはどれでも地獄に行くから、と聞いた
これくらいの文章でも行き先が地獄なのでちょっと可笑しいわけです。でも連発することで普通は徐々に可笑しみが薄れてくるはずなんですよね、書き手としてもそこに自虐的になってしまうかもしれない、でも、この記事はそれがなくて、ずっと地獄の鮮度が高いままなんですよ。

最後の

>地獄から町へ戻った

ここできっちり言葉が着地していました。ギミックでうまいことやったというよりも、あっけらかんとしているのがよかったんじゃないかと思います。写真もすべての「地獄」の文字が輝いていました。

それに石川も言う通り、愉快なフレーズがふんだんです。私はここが大好きでした。

>一人で楽しんでいたら若い男女のグループに写真を頼まれた。彼らとはこの先全ての地獄で出くわすことに

以降過不足なくこのグループの様子が数度入ってくるのもたまらなかったです。

林雄司のコメント

富永一朗が命名したワニがいいですね。温泉とピラルク飼育、組み合わせはめちゃくちゃなのにレトロな雰囲気でしっくりきちゃってるのがおもしろいですね。

滋味な旅行記ですが、どうしたらいいのか迷います。個人的にはもっとくどい旅行記（宮田珠己さん、さくら剛さんの旅行記のように）が好みなんですが、写真と短文でリズムを作ってフォトエッセイ（蒼井優とかちょっといい感じの女優が書くやつですね）みたいにするのもいい気もします。

行程を順序立てて説明するより、切り取った景色の描写を高めていく。

おもしろフォトエッセイってあんまりやってる人いないですし。

林雄司のコメント

こういうテーマいいですね。大好きです。しかしちょっと物足りないですね。もうちょっと身体を使うか書き手を出したいかな。とはいえ実際に調べるのはナンセンスですし。

なので例えば…

・ネットで調べるにしても、調べているときのようすを描く（座りっぱなしで尻が痛くなったというエピソードや、徹夜したら夜明けの写真を入れるなど）
・知ってる土地が出てきたら自分なりの小話を入れる（行ったことがなくてもケンタッキー州でフライドチキンの話でもいいです）
・珍しい地名のパチンコ屋をまとめる（香港に日本料理「浦和」って店がありました。なぜ浦和）

これらで書き手の存在が出てくるのではないでしょうか。意外な地名の店は知りたいですね。