自由ポータルZ 2020年5月22日

レモン絞り器に盛り付けを・8本足じゃないたこ焼き屋のタコ看板~自由ポータルZ

こんにちは、石川です。

「金をドブに捨てる」という言い回しがあります。実家の近所でドブ川と呼ばれていたのがかなり大きな水路だったので、あそこに札束をボチャーン!と盛大に投げ込んでガッハッハ!みたいな絵を想像していたのですが、道路わきの側溝みたいなのもドブなんですね。あれなら100円からでも「ドブに捨てた」と言えそうです。

さてデイリーポータルZ新人賞のエントリー、引き続き受け付けております!

締切は5/31いっぱい。過去作も含め一人3本までエントリー可です。
そしてオンラインイベントとしまして、「おもしろがりセミナー」 を生放送します。次回はライター與座さんを迎えて、週明け11(月)21:00~。アーカイブもこちらでご覧いただけます!

そしてもちろん、エントリーは自由ポータルとの重複投稿も可能。さらに自由ポータルでのアドバイスを受けて、修正した記事でのエントリーもOKです。ぜひ活用してください!

では今週の投稿です~

自由ポータルZは毎週金曜日に更新の記事投稿コーナーです。読者の方が執筆した記事をご紹介しています。

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【入選】レモン絞り器に盛り付けを

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[投稿者]唐沢むぎこさん (唐沢ジャンボリー
[コメント]レモン絞り器盛りの可能性は無限です

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石川大樹のコメント

最初のアマエビですでに勝った感じがありますね。見た目の派手さ、しょうゆまで入る実用性……としょっぱなから万能。持つところを小皿ととらえてワサビ載せているのがおかしかったです。
その後いろいろ試すのですが、バラ型にしたりスパイラルを入れたりで一つ一つちゃんと工夫が入って飽きさせませんでした。最後大きく崩すのも良い。
あとパソコンで見たとき限定の話ですが、画像もう少し大きく載せてもいいんではと思いました。でかいだけで良く見えたりするので。

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林雄司のコメント

レモン絞り器でシュリンプカクテルみたいになるんですね。
イラストをまんが的に挟む構成に感心しました。これはいいですね。いいリズムが出ていると思います。
冒頭の新しいレモン絞り器の形の話、最後の仏教観のエピソードは構成としては散らかり気味なんですがこの読みやすい構成のおかげでそう感じません。
ここまで形を推しているのにレモン絞り器だけの大きな写真がないので、最初に入れておくと展開に説得力が出ると思います。

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古賀及子のコメント

手を動かすパターンの企画記事の場合、やはりどうしても才能は強いと思うんです。
上手くやるというのは記事を成功させる定石のひとつです。
ここでひとつ大事なのは、通常「才能」というのは、既存の土俵でいかにぬきんでるかということそのものなんですよね。勉強も運動もそうです。
でもこの場合はそうじゃなく「レモン絞り器をうまく使う」という前人未到の分野で唐突に才能を発揮しているわけです。
見たことがない才能というのは本当に本当に面白いもので、我々はそれを探しているといっても過言ではないようにこの記事を通じて改めて思わされました。
文章も好きでした。以下のようなカッコ書きで読者に語りかけるところ、
>(※テンション上がって書いてるので、意味を考えなくても大丈夫です)
>(この後ちゃんとクールダウンしてバイトに行きました。)
迷いがなくて上手です。

 

【入選】‪足が8本じゃないたこ焼き屋の看板のタコを集めました

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[投稿者]パスカさん (ナンセンスダンス
[コメント]逆に8本は多いような気がしてきました。

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石川大樹のコメント

良いですね!!単にタコの絵集めというコンセプトでも全然1本書けると思うのですが、そこに足の数という視点を設定したことで、記事に背骨がビシッと通りました。無脊椎動物にもかかわらず。
こうやって提示されると記事の構成がすっきりするのはもちろん、どれも絵柄はバラバラにもかかわらず「7本足のタコの感じ」「4本足のタコの感じ」が共通するものとして何となく感じられてくるんですよね。
見方によって対象が変わって見える典型例で、とても面白かったです。
「タコの頃の人格なのか、たこ焼きとしての新たな人格か」みたいなコメントも気が利いてました。

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古賀及子のコメント

大阪の路上観察人の常連投稿者さんであるパスカさんからまた最高のやつが届きましたね!

これいいなあ。足の数を切り口にした企画性の高まりが秀逸ですが、大阪にはこんなに雰囲気の良いタコがいるのか! とそこからしての新鮮さも堪能しました。

住む人が見る景色を果敢に外に発信していって、圏外に住む人が良さを見せてもらってうなるというのは幸せなことです。

 

【入選】杉並に点在する「遊び場」の正体に迫る!

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[投稿者]あわうみさん (足跡を辿る
[コメント]遊べるのか疑問な狭さの場所が「遊び場」と命名されており、不思議だったので調べてみました。

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石川大樹のコメント

先日の新人賞の中間発表でもとりあげた作品です。
切り返しになりますが、日常でふと見かけたみかけたものから、これだけのレポートが生まれてきたというのは素晴らしいです。まさに新人賞のコンセプトである「おもしろがり」。あとさいごに最初の地点に戻ってくる展開もいいんですよね。僕はこういうのに弱い…。
改善点としては全体にトーンがシリアスすぎるので、もうちょっとライトにすることを考えるとよいかと思いました。冗談や軽口を入れるのはもちろん、意識して漢語でなく和語を使ったり(例:当初→はじめのころ)漢字を多めにひらく(様々→さまざま)だけでも印象が変わりますよ。

 

【もう一息】‪便乗商法に厳しいJOCにギリギリ怒られないオリンピック応援フレーズを追求してみた

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[投稿者]シュゴウさん (童貞が童貞を卒業するまでの道程
[コメント]オリンピック応援フレーズは、一体どこまでがセーフでどこからかアウトなのかJOCに聞いてみました。

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石川大樹のコメント

いわゆる「考えてみた」系の記事ですが、終盤本当にJOCに問い合わせてますよね。失敗に終わっていますが、ここもうちょっと食い下がって何らかのリアクションが得られると、全体が検証記事になって一気に良くなったのではないかと思います。
あともうひとつ、最後に出てくる事例集がよかったです。十分単体で記事化できるネタですよね。これもっとたくさん集めた記事が読みたい!と思いました。この後のTipsに続きを書くので読んでください~

 

【もう一息】‪エピソードの標本

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[投稿者]張江浩司さん (note
[コメント]飲み会で「そういえばこないださー」という感じで各々話して、ゲラゲラ盛り上がり、そのまま忘れていく色んなエピソード。そのまま消えていくのがもったいないなと思い、「標本」として集めることにしました。

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林雄司のコメント

エピソードの標本 その7 「大垣と予備校」
エピソードの標本 その3 「ハイジャックの裏側」
が面白かったです。
文章はぎこちないところが全然ないですね。書き慣れている。
風俗、バンドなど題材の派手さと朴訥なエピソードでギャップを出していますが、やっぱりこのあたりは読む人を限定するのでもっと普通の人の普通じゃなさみたいなものがあるとよいと思いました。
とはいえ湿度低めにかいてあるのでいやらしさは感じません。そのあたりうまいですね。

 

Tips:「考えてみた」ら、現実とつなげる

さいごに紹介したシュゴウさんの投稿が、とても興味深かったです。
こういう「考えてみた」系の記事は、なかなか面白くするのが難しいんですよね。ぜんぶ自分の脳内で完結するので、センス=面白さ、です。世の中にあまたの記事があふれる中で、プロアマ問わず強豪たちを相手に自分のセンスひとつで戦い抜けるか……、というとなかなか厳しい戦いなのではないでしょうか。

そこでデイリーが実践している方法が、「現実とつなげる」です。シュゴウさんの投稿は、そこに片足だけ突っ込んでる感じが、選者としてはオッと思ったのです。

JOCに問い合わせたのはすごく良かったんです。「考えてみた」パートが面白ければそれでいい記事だし、たとえ面白くなかったとしても、(回答が得られれば)どこまでOKなのか検証する記事として、客観的な情報の興味深さが出てきます。これが現実の力です。

すでにある事例を集めるパートも同じです。現実にあるものを集めて分類するという作業は誰でもできて、「考えてみた」でセンスだけで勝負するより圧倒的に確実です。それでいておもしろくできる。
「日本で一番センスのいい奴」になるのは難しいですが、「日本で一番、ちまたのオリンピックの商標回避フレーズに詳しい奴」には簡単になれます。(競合がいないので!)

投稿から離れると、実は工作記事なんかもこの考えにもとづいています。あれも作る前に「考えてみた」を10個とか20個とかくらいやってるわけです。でもそれをそのまま書くより、その中の一番自信のあるやつをいっこだけ作る(=現実につなげる)ほうが確実に面白い。だって文章で「爆音で鳴る音姫」って書いてあるより、実際に音姫が爆音で鳴ってる動画の方が面白いじゃないですか。

現実には力があるので、ぜひ使いましょう、という話でした。

ではまた来週!

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