石川大樹のコメント
何がすごいってまずふらっと訪ねて行ってしっかり話聞いたうえで最終的に社長を風呂(空ですが)にまで入れてしまうその取材力です。「この服の下は偶然にも水着です」というくだりがありますが、行けるものならそこまで行ったろうという心づもりがあったわけですよね。つもりだけでもすごいことです!
それでいて記事にもインタビューにも全然強引さを感じなくて、これはもう手練れの技だなと感服した次第です。確かな実力を感じました。
こんにちは、編集部 石川です。
きのう年末企画で東北の方に行ってきました。雪が少し残っているもののおおむね天気も良く、快適に取材ができたんですよ。明けて今朝、ニュースを見ていたら、きのう行った近くの映像が出てきて、昨夜すごく雪が降ったと…!
一日ズレてたらスニーカーで雪の中をはいずりまわる辛い取材になるところでした。あぶねー。
さて、今年最後の自由ポータル、今週は力作ぞろいでした!競争率も高く、良い作品でも惜しくも落選してしまったものもあります。お送りいただいた方は落ち込まずに、またよろしくお願いします…!
自由ポータルZは毎週金曜日に更新の記事投稿コーナーです。読者の方が執筆した記事をご紹介しています。
[投稿者]ヤマモトチヒロさん (ヤマモトチヒロのブログ)
[コメント]手書きの標語につられてみるとそこは、全国でも珍しい五右衛門風呂を売る会社でした。社長の自作サイトは一見の価値アリです。
何がすごいってまずふらっと訪ねて行ってしっかり話聞いたうえで最終的に社長を風呂(空ですが)にまで入れてしまうその取材力です。「この服の下は偶然にも水着です」というくだりがありますが、行けるものならそこまで行ったろうという心づもりがあったわけですよね。つもりだけでもすごいことです!
それでいて記事にもインタビューにも全然強引さを感じなくて、これはもう手練れの技だなと感服した次第です。確かな実力を感じました。
石川がすべてを述べており私も同意するばかりです。
ヤマモトさんは強肩の取材力でもってこれまでもたくさん投稿してくださっていますが、今回珍しくご自身の写真が入っていて、おお、この方が……と感激しました。
デイリーポータルZはみゃくみゃくとライターには顔出しを推奨しています。これ取材してきてと誰かに頼まれて行くんじゃなくて、自分に動機があって取材をして、それを受けてまた自分がどう思ったかを書くスタイルである以上顔は見えた方がいいと思うんですよね。
この人がこう思ったんだなあ…から生まれる「そうなんだなあ~!」は記事の強みです。
風呂釜と一蓮托生モードなの、表情でめちゃめちゃに伝わりました。
取材相手が盛り沢山ですね、五右衛門風呂、イカ釣り、標語。でもキワモノ扱いするでもなくきちんと相手の話を聞いて、聞き方や解釈も優しい。インタビュー技術の高さをひしひしと感じています。今回は自分のコメントや顔だしもあり、書き手の色も出ているし、うーん、これといってアドバイスするところはありません。
最後、五右衛門風呂に入っている社長の表情からいい雰囲気を作れていることもわかります。
[投稿者]chocoxinaさん (chocoxinaのover140)
[コメント]すっげえ小さくてよければ金貨って案外買えるよ、という記事です。ちょっと不謹慎かもしれません。
書き出しの梨のエピソードが好きなんです。「そうか、果物を買ったっていいんだな」っていう。そこからぐわっと急カーブして本題に入っていく感じ。
またそれから終盤、金貨を日常に沈めていくくだりでローソンのシールを貼ってるのがすごくうまいなと思って、センスを感じました!
この記事というよりも過去の投稿含めてですが、chocoxinaさんは文章が落ち着きすぎているというか、アッパーかダウナーかでいうとダウナーに寄せる傾向があるので、もうちょっとアッパーに行っていいかもと思いました。全体のトーンをウキウキにする必要はないと思うのですが、はしゃぐべきところで素直にはしゃぐ様子があると気難しい印象が減って、よりセンスの良さがストレートに伝わる記事になるのではと思います。
聖地巡礼ネタというのはいただく投稿の中にもしばしばあるのですが、こうやって自分で作ってしまうという発想はなかったように思います。しかも短歌という限定的な情報しかないものが出典なので、答え合わせ要素もあったりして、より面白さが増してますよね。よくできた企画だと思いました。
ただ後半の聖地巡礼パートがあっさり目だったかなと思いました。ここが一番メインのところなので、現地での参加者の反応などもうちょっと書くと楽しさが伝わったかも。
あと短歌の解説がちゃんとついてるのは良かったと思います。なるほどと思ったところがたくさんありました。こういう「良さ」を具体的に説明する作業は大事ですね!
[投稿者]おがわしゅうさん (おがわ収蔵館)
[コメント]「スキー場前」と付きながら、華やかさよりもどこか寂しさを湛えた「スキー場前駅」を5駅訪ねました。各駅の情緒を伝えようと、スタンダードな構成にしました。
ぅおっふ! これは情緒……!
>「前駅」の中でも、情緒あふれる「スキー場前」
という冒頭に完全に異論がなくて入口からこれからみられるものに対する期待で背筋がのびました。
「前駅」のルールを柔軟に解釈するのも上手でした。こういうところにとらわれると記事が貧弱になるんですよね(越後中里駅の全ての写真の良さ!)。
5駅それぞれに特徴があって緩急があり巡り記事では悩ましい飽きもなく堪能しました。
なべとびすこさんの記事へのコメントで書きましたが、「良さ」を説明するのってすごく大事です。
たとえば良い景色の写真を載せるとき、「なんかいい」ではなくて、自分が良いと思ったポイントが絶対あるわけじゃないですか。それを具体的に読者に説明するのが書き手の役目です。
なぜかというと、いい景色の写真を撮った人は、その場で肉眼で景色を見てますよね。その情報量と、読者が写真を通して得られる情報量は全然違う。だからちゃんと現地で見てきた人が、「こういう風にいいんです」って説明してあげる必要があるんです。
逆にそれができないということはその「良さ」の本質が捉えられていないということなので、もうちょっと整理してから書いたほうがいいかも。
景色の「良さ」を例に書きましたが、体験の面白さ、遊びの楽しさ、場所の雰囲気、など全部そうです。説明していきましょう!
それでは皆様、よいお年を。
次回の自由ポータルは1/10です!
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