フリーダムな「義烏」は上海から近い
無国籍な空間で誰にもとがめられず人々が自由に乗れる市場。それが義烏。
市場は上海から新幹線のような高速鉄道で1時間半くらいで着く義烏という街にある。電車に乗るにも時間がかかるし、駅からバスで1時間くらいかかるけど、全行程あわせても上海から日帰りで楽しめる場所だ。
客はアフリカ系、インド系、中東系、ロシア系が多く、中国語で商談できる人もいる。すごい。そうでなくても、通訳をつけて商談する人も。
日本から最も近くエスニックな外国な雰囲気
また、バイヤー向けの本格的なレストランがあるのも特徴で、アウェイ感が満喫できる中東料理屋やロシア料理の食事も楽しめるのが義烏の魅力。インドカレーも本格派だ。
義烏のロシア飯!おいしいかまずいか想像もできない、まさにロシアンルーレット。
…なんだけど、今回のターゲットは食事でなく、おもちゃ売り場で売られるニセモノだ。特にレゴもどきが大変なことになっている。レゴも模倣されて大変だ。
よくみると、微妙に違うロゴばかり
ニセスターウォーズのタイトルあれこれ
スターウォーズ。映画を見たことがない人でも、宇宙を舞台に戦う物語であることは大雑把に想像できよう。
まずはニセモノをみてほしい。いずれもレゴのようなブロック系おもちゃで、ロゴまでレゴっぽい。(ニセモノよくない)
SPACE WARS。スターじゃなくてスペースで似たような意味に!
スターワールド、すなわち星の世界!ちょっと平和そうだ。
スタープラン!すなわち星計画!いずれもフォントがそれっぽい。
スター!スターなんとかではなく、スター!!続かないのか!
LとRが違うSTAR WALS。LとRが区別できない世界が日本以外にもある…のかっ!?
ニセスターウォーズのほとんどが単語を変えてそれっぽくしてた。つまりスターウォーズっぽい単語を出すことで「スターウォーズらしきもの」と認識させるわけだ。
世界のおもちゃ市場におけるスターウォーズのアイデンティティは世界観にあるといえそうだ。
スターウォーズっぽいおもちゃを遊ぶ世界の人々も、なんとなくスターウォーズを知ってて、ニセモノを見て、そのタイトルと絵を見ては、なんとなくスターウォーズだ、と納得して購入するのかもしれない。
それにしてもSTARだけでスターウォーズのニセモノとなるんだからすごいぞスターウォーズ。
トランスフォーマーはよりフリーダムな解釈に
ニセスターウォーズより目立ったのがトランスフォーマーだ。それらは様々な英語で表現されていた。
ちなみにトランスフォーマーの英語は TRANSFORMERS 。最後にSがつきます。また中国語は変形金剛。ところどころ金剛の字が出てくるのがポイントらしい。
TRANSROBOT。TRANSのROBOTなので本家を連想させる。複数形のSはどこいった?
インターチェンジ!三郷インターチェンジみたいだ。 インターチェンジは交換とか交替といういう意味なのだそうな。
DEFORMATIONその意味は変形!トランスフォームに近い意味らしい。
CREATIVITY=創造性。変形するなら創造的よね、ということだろう。
ワールドドミネーション、すなわち世界支配!世界の支配をしてしまうのだろうか。トランスフォーマーは悪のデストロンから地球を守るんじゃなかったのか。
こう見ていくと、ニセトランスフォーマーは、ロボットに変形できることがキモであり、大事であった。
つまり世界のおもちゃ商からみれば、変形するロボットが正義につくか悪につくかはそれほどこだわらない、知ったことではないということがわかった。
CREATIVITY(創造性)というパッケージはニセトランスフォーマーが行きついた最先端のネーミングといえなくもない。
変わるもの、変わらぬもの
ほかにも様々な製品が、意味を察せられる程度に変化してニセモノとして売られている。
ワンピースらしきあのロゴでこの船で「トレジャー」!トレジャーは財宝。まあそうだ。
ジュラシックワールドではなく、ダイナソーワールドだ!
ウルトラマンもスーパーギャラクシーヒーローに!
ブロックのような世界で自由に遊べる「マインクラフト」は「マイワールド」に!
一方でレゴのニンジャゴーの模倣品も結構あるけれど、それらの名前はニンジャではなくゴーの部分を変えている。つまりニンジャはほかの言葉に変えられなくて、ニンジャであることが商品にとって大事なのだ。アサシンとかだとだめなのだ。
ニンジャゴーが、ニンジャやニンジャキューに!
ニセタイトル命名の匠に思いを馳せる
ジュラシックワールドをダイナソーワールドにするとか、ワンピースをトレジャーとするとか、そういったパッケージを見るに、「なるほどこんなタイトルならわかるのか!.」と考えるようになった。頭の体操をしているように思えてきた。きっと中国にはニセタイトル命名の匠みたいなのがいるのだろう。
日々生活する中で、目にする既存のブランドについて、別の言葉で言い換える。ないしは中国のニセタイトルの匠ならなんて名づけるだろう、なんて考えると、ある種のセンスが磨かれるのではないか。
たとえばデイリーポータルZなら、「ディスカバリーポータルZ」なんてどうだろう。発見してるし、略してDPZだし。