見た目と香りが凄い
こちらが購入した。パラーパカディ。
日本語と英語の表記がないと人間の食べ物かどうか困るパッケージ。
内容物の色やパッケージの絵だけだと、魚のエサのようにも見えないこともないですが、こちらがグラミーフィッシュを塩漬けにして発酵させたもののペーストです。
原産国タイ。間違いなく人向けの食材です。
ソムタム(青パパイヤのサラダ)など、タイ東北部のイサーン地方の料理によく使われるそうです。ただ、においや味がかなり独特で、日本のタイ料理屋で使われる事は少ないのだとか。今でこそその辺のスーパーでナンプラーやパクチーが買えるようになりましたが、最初は結構驚きの味でしたからね。これはどうだろうか。
熱帯魚店で買えるらしい。
グラミーフィッシュはスズキの仲間で、淡水や汽水域に生息しています。日本でも熱帯魚店で取り扱っていることがあるようです。実は最初、この調味料を自作しようかと思ったのですが、熱帯魚屋にいる魚を調理するのはいかがなものかと思い、市販品を探してこちらを購入しました。
こちらは発酵塩漬け魚ぶつ切りタイプ。
ついでに同じショップで売っていたのでこちらも買ってみました。パラーパション。雷魚を塩漬けにして発酵させたものです。
使う魚以外原材料は同じ。
パラーパカディと同じように料理に使われますが、こちらはぶつ切りなので細かく刻むなどして使うようです。またはこのままスープに入れるとか。こちらもパラーパカディと味やにおいは近いようです。
雷魚は泥の中に潜るからMUD FISHなのか?
雷魚は日本にも定着している外来魚。日本ではほとんど食べないですが、中国や東南アジアの国では割とよく食べられているようです。
日本でもこんな見た目と色の食べ物はある。
パラーパカディを器に出すとこんな感じ。日本では鮎の内蔵や身で作る鮎の塩辛「うるか」というものがありますが、それと製法も近いからか見た目が似ています。
ただ、香りはちょっと違うだろうか…。
サバ缶とは訳が違う。
こちらはパラーパションの中身。塩漬け魚なのでかなり身がしまっています。どちらも瓶を開けた瞬間から結構強いにおいがします。
まあ、ダメなにおいじゃないけど。食って大丈夫かね?
どのようなにおいかと言いますと、チーズのにおい。ウォッシュタイプのチーズに近いです。それもかなり臭いやつ。私はそんなに嫌いなにおいではないですが、ダメな人には徹底的にダメなにおいでしょう。
割とイケる!
少し舐めてみると、味もチーズ風です。チーズ風な香りと共に塩気を感じ、その後強い旨味が広がります。ただ、元が淡水魚の為か、泥臭さも結構感じます。
においも味のクセも強く、かなり好みが分かれるかと思います。タイ料理好きの人ならば一度試してみるといいのではないでしょうか。
ソムタムパラーを作ってみる
それでは、パラーパカディを使った代表的な料理をつくってみます。
沖縄産の青パパイヤ。板橋区大山の商店街で購入。
ソムタム。青パパイヤのサラダです。日本のタイ料理屋でも割とよく見るメニューですが、現地ではナンプラーの代わりにパラーパカディを入れるそうです。
沖縄のしりしり器でせん切りに。太めに切れてしりしり器は便利だね。手を切りそうになるけど。
ソムタムは、皮を剥いてせん切りにした青パパイヤと潰したニンニク、唐辛子、ライム汁、干しエビ、ピーナツ、ナンプラーなどを混ぜ合わせて作ります。細かいレシピは調べると沢山出てくるので、そちらを参考にしてください。
こんなものか?もう少し入れるのか?
ナンプラーの代わりにパラーパカディを入れるという事なのですが、パラーパカディを使う詳細な日本語のレシピは出てきませんでした。とりあえず、ナンプラーを入れる量よりも少し多めな感じで入れてみます。
石臼が無いので大きなボールで代用。
調味料を混ぜたら叩いてすり潰し、青パパイヤに絡めるソースを作ります。
材料入手は難しいが、混ぜるだけなので作るのは簡単。
せん切りの青パパイヤとトマトなどの野菜に出来たソースをからめていけば出来上がりです。最後にパクチーを乗せます。
パクチーが乗るとグッとタイ風になる。
パラーパカディとパクチーの香りが混ざりあい、今までに感じた事のない香りになっています。
結構唐辛子も入れたので辛いはずだから、これはビールでしょうか。
食べてみると、複雑な香りと強い旨味を感じます。その後に唐辛子の辛さ。そしてパクチーの爽やかさ。以前、日本のタイ料理屋で食べたソムタムは辛くて、酸っぱくて、爽やか。そんな感じでしたが、これはかなりパンチの効いた旨味と香り。パクチーがあることで強すぎる部分が中和されるのでしょうか。好みは分かれますが、クセになるうまさです。
辛いものはビールに合う。タイにも行って見たいね。
まだタイには行った事がなく、入れ方も適当なのでこれが本場タイの味かどうかはわかりません。とりあえず、パラーパカディを使ったソムタム、うまいです。
パラーパションをスウェーデン料理に使ってみる
パラーパカディとパラーパションの味が分かったところで、これを別の料理にも使ってみます。魚の塩漬けなので、アンチョビの代わりとして使えそうです。
皮が硬く、骨も多く、身が硬いので、身だけ切り分けるのは結構大変。
ということで、パラーパションでスウェーデン料理のヤンソンフレステルセを作ってみます。ヤンソンフレステルセは。ジャガイモとアンチョビのグラタン風の料理。以前こちらの記事で紹介した料理本で紹介されています。
196ヵ国の料理が作れるレシピ本を書いた人に話を聞いてきた
バターでソテーしたタマネギとジャガイモ、アンチョビを耐熱皿に敷き詰め、塩コショウで味をつけた生クリームと牛乳を注ぎ入れてオーブンで焼いて作ります。このアンチョビ部分をパラーパションにしてみます。
ちなみに「全196ヶ国おうちで作れる世界のレシピ」本は、料理レシピ本大賞2018で特別選考委員賞受賞したそうです。おめでとうございます。
そして完成したのがこちら。見た目は全く変わりません。パラーパションの独特なあのにおいは、この状態ではありません。
まあとりあえず、スウェーデン料理なのでワインでいっておこう。
食べてみると、アンチョビを使ったヤンソンフレステルセと味は大体同じ。後味に、パラーパションの独特なクセのある味と香りが感じられます。これはこれでうまいのですが、何かスパイスを追加するとより美味しくなりそうです。ソムタムでパクチーが合ったから、コリアンダーとか?それともタイムとかでしょうか。何か可能性を感じます。
このままでもうまいけどね。
いずれにしろ、若干使いづらさやクセはありますが、パラーパションもパラーパカディも、アンチョビやアンチョビペーストとして使えそうです。好みは分かれるかもしれませんが。
世界の謎調味料を使うのは楽しい
今回はタイのパラーパカディを使いましたが、最初はカンボジアのプラホックという調味料を探していました。コイの仲間のトレイリールという魚を塩漬けにして発酵させてペースト状にしたものだそうです。
こちらは探しても見つからず、売っていそうなところを探していて見つけたのがパラーパカディでした。場所も比較的近いし、作り方も似ているので、多分似たような味なのではないかと思っています。
時々海外旅行の土産で謎の調味料を貰う事がありますが、今はそれが日本で。しかもネットで買えて家に届き、使い方まで大体わかるとは。便利な世の中になりました。でも、大体そういう変な調味料はAmazonで見つかるんだよなー。Amazon凄いな。
ちなみに、パラーパションで日本酒を飲んでみました。くさやを食べる時に日本酒を飲むとにおいが落ち着き、においの向こうにある旨味へ早くたどりつけるのですが、これもそんな感じでした。発酵物には日本酒だね。