特集 2018年9月16日

ガラスの厚さ選手権(デジタルリマスター版)

ガラスシクネスゲージという名前。カクカクした響き。
ガラスシクネスゲージという名前。カクカクした響き。
ガラスの厚みを測る装置を買った。

ノギスではない。ガラスの表面にその装置をあてるだけでわかるのだ。ガラスを切ったり割ったりしなくてもいい。

買ってから毎日持ち歩いて目につくガラスの厚みを測っている。楽しい。お、5ミリ、10ミリきたか!ガラスの厚みに一喜一憂する日々だ。まさかそんな日が僕の人生にくるとは思わなかった。

ガラスの厚みなんて知らなくてもいいじゃん、という質問はご遠慮ください。いらんことに楽しさを見つけるこのサイトの存在意義が揺らいでしまいます。

2009年6に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載したものです。
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと新宿区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

前の記事:スーパーの景色を作っている会社

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どうやって厚みが分かるのか

正面から当てただけでどうやってガラスの厚みが分かるのか。まずはその原理からどうぞ。
このようにしてガラスにあてます。下が斜めに切れているのでその角度であてます。
このようにしてガラスにあてます。下が斜めに切れているのでその角度であてます。
板の延長線上から覗くと…
板の延長線上から覗くと…
ラインが重なっているところが厚み! これは15ミリ
ラインが重なっているところが厚み! これは15ミリ
板のしたのほうに基準となる線が引いてあり、ガラスが厚ければ厚いほどガラスに反射した線が離れる。その距離で厚みが分かるしくみである。

装置、というか模様が描いてある板だ。

なるほどねーという思いとなーんだという思いが入り交じる板である。ドイツ語しか書いてないのできっとドイツ製だろう。やるな、ドイツ人。

(見る位置によって数字が変化するので、この記事に登場する数字はだいたいのものだと思ってください)

2500円でした

東急ハンズでたまたま見かけて買った。たしか2500円ぐらいだったと思う。ずいぶん高い。買ってみたら板だった!ということではなく、その場で板であることを知って、でも欲しくて買ったのだ(売り場をひとまわりして頭を冷やして、でもやっぱり買った)。

この板を見せるとたいていの人が食いついてくる。なるほど!おもしろい、という反応である。だが、値段を言うと黙ってしまうのだ。

「………板なのに?」
「これ、つくれるよね」
でも土曜日に書いてるライター住さんは

「アイデア料も入ってますよ」

そうはげましてくれた。ガラスの厚みだけではなく、人間関係も測ってくれる板だと思って2500円に折り合いをつけたい。あときっとドイツ製だから交通費も入ってるに違いない。
こうやって客室に乗せて運んだら高いだろうけど、たぶんそうじゃない。
こうやって客室に乗せて運んだら高いだろうけど、たぶんそうじゃない。

電車のガラスは意外に薄い

電車でも当然ガラスを測る。山手線も京浜東北線も、りんかい線を走っている古い山手線もガラスは5ミリだった。ガラスの厚みにしか興味がない宇宙人がいたとしたら、JRの説明をするときは5ミリの電車だよと教えればいい。

唐突すぎてたとえ話になっていないが、5ミリである。もっと厚くなくていいのだろうか。
山手線も
山手線も
古い山手線も
古い山手線も
窓ガラスはみな5ミリ
窓ガラスはみな5ミリ
記事のタイトルを「電車のガラスはみな5ミリ」にしようかと思っていたが、東急線の窓ガラスをはかったら3ミリだった。さらに薄くなってしまった。

ドアにはめ込んであるガラスは5ミリなのだが、そうではない部分は3ミリなのだ。なんという引っかけ問題。
衝撃の3ミリ
衝撃の3ミリ
嬉しくて比較の写真を作ってしまうほどに
嬉しくて比較の写真を作ってしまうほどに
計測器で測ってまわるときの楽しさはなんてことのない数字が意味を持つ瞬間ではないだろうか。体重58キロ、打率.345、ビール最初の1杯200円、そんな数字の興奮をガラスの厚みに感じることできる。

「衝撃の3ミリ」なんていう誰にも伝わらないキャプションを書いてしまってそう思う。

電車のガラスは意外に薄い

4月、大阪に行く用事があり、新幹線に乗った。ガラスの厚みを測るチャンスである。ついでに大阪の電車のガラスの厚みを測ってこよう。東西ガラスの厚み選手権である。
だけど
だけど
え、また5ミリ?
え、また5ミリ?
時速300キロ近くで走る乗り物が5ミリということはあるまい。インターネットで調べたら新幹線のガラスは何層にもなっているらしい。強化ガラスやフィルム、空気の層を重ね合わせて、手前のガラスが5ミリらしいのだ。

しかし、なぜ僕はガラスを測る装置を買ったと喜んでいたのにインターネットで「新幹線 ガラス 厚さ」で検索しているのか。しかも答えが出てる。

ガラスの厚みを測る装置はインターネットだったんじゃないか。

………。

いや、いまのなし、なし! 読まなかったことにしてください。

電車(特に新幹線)のガラスは多層構造になっていてわかりにくい。だってホームのエアコンのまわりのガラスのほうが厚いのだから。次ページから建物のガラスでいってみよう。
大阪市営地下鉄 御堂筋線。やっぱり5ミリ
大阪市営地下鉄 御堂筋線。やっぱり5ミリ
大阪といえば駅のホームのダイキンエアコン。その囲いは8ミリ。
大阪といえば駅のホームのダイキンエアコン。その囲いは8ミリ。
次ページではいよいよ計測してまわります。
いったん広告です

建物のガラスを測ってまわった

分かったことを先に書いてしまうと

・10mmが最も多い
・網入りガラスは薄め(網で強度を増しているから?)
・でかいガラスは厚みがある
・でかいガラスを使っている店は流行っている店である
・流行っているから大きいガラスを使った派手な店構えができるのだろう
・ガラスの厚みとその店の景気は比例するのかも

そしてだんだん測らなくても厚みのあるガラスが分かるようになってきた。

ビル全面に使われているガラスは間違いなく厚い。お、厚いのきた!と思って測って予想通り厚い。小さくガッツポーズ。人間、どんなこともで喜びを見いだせるものだと我ながら感心する。

でももったいぶって薄かったガラスからどうぞ。
クレープのショーウインドウ。ケースだからね。
クレープのショーウインドウ。ケースだからね。
デジタルビイム。住さんが 「うち、うすい?だめ?」と気にしていた。
デジタルビイム。住さんが 「うち、うすい?だめ?」と気にしていた。
斜陽の公衆電話は5mm程度のがんばりでした。
斜陽の公衆電話は5mm程度のがんばりでした。
品川駅構内。新幹線ホームは厚かったが、在来線は薄め。
品川駅構内。新幹線ホームは厚かったが、在来線は薄め。
渋谷の駅そば。いまここでこれが7mmガラスであることを知っているのはたぶん僕だけ
渋谷の駅そば。いまここでこれが7mmガラスであることを知っているのはたぶん僕だけ
ユニクロ。強度を増すための網入りだった。
ユニクロ。強度を増すための網入りだった。
渋谷駅にむかって目についたガラスを測ってみた。
渋谷駅にむかって目についたガラスを測ってみた。
東急本館に貼られた携帯ペットのポスターを見て高校生が「あれわたしもやってる!ひからびてるけど!」って言っていたが、僕はその横のガラスが20mmであることを知ってるので負けてない気分になった。

ではオーバー10mmのガラスの紹介です(もうお気づきかと思いますがベストテン気分です)。
渋谷西武の入り口の柱。ガラス張りの柱というのも贅沢な話。
渋谷西武の入り口の柱。ガラス張りの柱というのも贅沢な話。
銀行はさすがに分厚いぜ。
銀行はさすがに分厚いぜ。
三井住友はさらに厚く。
三井住友はさらに厚く。
と思ったらパルコが銀行以上に厚い。
と思ったらパルコが銀行以上に厚い。
渋谷西武のショーウインドウ。こんなに丈夫だったのか。
渋谷西武のショーウインドウ。こんなに丈夫だったのか。
いつも働いているビル。
いつも働いているビル。
ドコモすげえ。19mmって半端だからもしかしたら20mmかも。
ドコモすげえ。19mmって半端だからもしかしたら20mmかも。
ZARA、これも20mmかもね。でもしっかりしてますな。
ZARA、これも20mmかもね。でもしっかりしてますな。
そして今回の最厚値。アップルストアの25mm。
そして今回の最厚値。アップルストアの25mm。
今回調べた限りではいちばん厚いガラスはアップルストアであった。25mmだ。ここで売っているコンピュータや電話よりも厚いのだ。
!
冗談で作ったグラフだけど、うっかりiphoneが欲しくなってしまった。そういう話ではなかったはずだが。

2500円のもとはとった

高い板だったが、そのぶん楽しむことができた。むしろ安いと言ってもいいかもしれない。いやあ、いいものを買った。ただ、作れそうなので自作しようかと思ったけど、あっさりできてしまうと悔しさが再燃するのでそれはやめておきたい。

いま書いていて、「悔しさ再燃」という語がするっと出てきたのことで自分の無意識を再認識した思いだ。

でも25mmよりも厚いガラスを探す旅はこれからも続きます。
渋谷のすみっこってなんだかおしっこくさいよね
渋谷のすみっこってなんだかおしっこくさいよね
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