街のダジャレというのを考えた
おりしも8月のデイリーポータルZのテーマは「
なにかおもしろいことしよう」だそうだ。
ちょうどダジャレについて考えていた。とあるバンド内ではメンバーの発言にダジャレで返すことがルールとなっているそうで、たしかに朗らかな雰囲気になっていた。
ダジャレのおもしろさってなんだろう。「同じ音でちがう意味」それがダジャレのおもしろさなら「同じサイズでちがう意味」もダジャレになるのではないか。
ものの形はさまざまなので今回は円形に絞った。
円形のものを色々買ってサイズを計っておく。そして街にある円のサイズを計り、同等のものをさっと入れ替えるのだ。これが街のダジャレだ。
様々な円形のものを用意してサイズを計ってダジャレのストックを作る
夏の自由研究だ
おせんべいやチョコパイなどスーパーでさまざまな円形のものを買ってきてサイズを計っていると、隣では小学生の娘が自由研究について悩んでいた。
あれをすれば、それはいやだ…と意見を交換しているとお父さんのやってることは自由研究に似ていると娘は言い出した。
そんな甘いものじゃないんだと言って、じゃあお父さんは街のサイズと同じものを比べてくるから、と。外に出た。人は矛盾を抱えながら生きる生き物だ。
父になるとともに退職して自主的な育休に入ったデイリーポータルZライターのトルー氏。なにか円盤状のものを持ってきてくれと言ったら扇風機の前蓋を持ってきた。お前もそのうち子になめられるからな
ドヤの顔をすることにした
今回は実験的なユーモアの記事になるのではないかと思い、ライターのトルー氏に協力を仰いだ。もう開き直ってシュールと言ってもいいほど前衛的な笑いを好む男だ。
せんべいとかなにか円盤状のものを持ってきてとお願いしたらトルーは扇風機の前の蓋を持ってきた。でかい。
まずルールを決める。これから円形のものを探して持参したものに置き換える。そしてダジャレであるのでうまくいったらドヤ顔をしようということになった。「円形のものを探す→置き換える→ドヤ顔」を繰り返す。
集合は新宿。むしゃくしゃして決めた。どこでもよかった。
はじめて見つけた円形はこの消防隊のマーク、直径が112mmだ。ということは…
鞄の中に円形のストックがありそこから112mmを取り出す
ほら、ほらほら、消防隊のマークが6Pチーズに…
ぴったりである。6Pチーズが消防隊のマークにぴったり!
そしてどやの顔である
これがサイズのダジャレである
近くにあった消防隊のマークが112mmであった。これは6Pチーズのサイズと同じである。横に置いてじわじわと近づけてみるとやはりぴったり。
ぴったりだろうと思ってるものがぴったりだった。これを「当たり前だ」ととるか「すごいぞ」ととるかで人は分かれるだろう。
「当たり前だ」と思う人は素晴らしい知性の持ち主だ、今からでも東大を目指してほしい。「すごいぞ」と思う人は心優しい仲間だ。この夏は地面を掘ってブラジルに行こう。
「すごい……」と目の前にいるトルーは目を輝かしていた。こいつは仲間だ。
「これ天井にハマらないですかね…」知らん!
トルーが持ってきたコーヒーカップのフタは都営線のマークに合わず。ダメな後輩だ
しかし周到に準備をしていれば都営地下鉄のマークは新宿中村屋のドラ焼きで置換え可能であることがわかるはずだ
ほら見ろすごいぞ! 都営線のマークがどら焼きだなんて、どや!である
どや!の最後に「I'll be back...」というセリフが出てきて『どや!2』が制作された
「意外とおもしろいですね…」
都営線のマークがどら焼きに変わる。
そもそもがダジャレである。うまくいったところでおもしろいものという自信がない。しかしこのトルーという男は写真を撮りながら「これは……意外とおもしろいですね!」という。
私は、写真を撮られながら、目の前のこの男のことを信じるしかなかった。彼がおもしろいというのなら続けよう。どうだという顔をしつづけよう。
都営新宿線のマークだと思っていたのが、今や中村屋のどら焼きなのだ。意外性しかないではないか。
だが今この写真を見返していてこのやるせなさはなんだろうか。トルーよ、お前が見ていたものはなんだったのだ。私は今、心がくだけてしまいそうだ。
え、都営大江戸線がシーチキンマイルドに?!
火災報知器はちょっと大きなチョコチップメロンパンで置換え可能!?
終日禁煙が持ち帰りのコーヒーのフタというダジャレです。ダジャレだからおもしろいはずなのになんだろうこのいかんともしがたい現実の強度は!
ダイドーの自販機にはオレオが寸分の狂いなくハマりますよ!
この中でどん兵衛に代えてもいい場所はどこでしょうか
ここです! お札は入りませんが、おあげさんなら一枚あります!
タッチでおトクなマークはMORINAGAのクッキー、ムーンライトに…
こ、これは日食ではないか!
どやーっ!! 日食どやーっ!!
途中経過発表
この記事は勢いで押し切るつもりです。
ちょっとした取っ手部分がまさか雪の宿とぴったりだなんて!
それだけでなく!? 鍵穴部分がオリオンミニコーラにぴったりくるとこれは…
どやでしかない。ダブルのダジャレにドヤ顔であるが、今となってはだからどうしたんだとくじけそうになる
このカラーコーンの重りであるがまさかこんな大きなものが…
そうだ、340mmはこのために持ってきた扇風機のフタだ!
一生モノのドヤという顔である。夏がそうさせた感じはある
こういった送水口は
ハムがぴったりだ。今後ハムを見るたびに思い出してほしい
そして公共物だけにはとどまらず、お店で買ったものも置換え可能だ
たとえばミスタードーナツのハニーディップはビッグプッチンプリンのダジャレである
そしてなんとプリマハムともサイズ的にダジャレになっている
これが私達の考える新しいダジャレである。韻を踏んでいるといってもいい
「ご縁がありますように」という思いでサイズが同じものを食べると縁起が良いと信じ込んで食べるトルー。そんなこと言いはじめたらハンバーガーとか全部そうだ
いつかマルイの丸でダジャレをやってみたいものだな…という妙な夢を抱いた
おれたちは負けない
私はさまざまな円形を用意していた。カップヌードルのフタやじゃがりこなどまだまだあったし、実際にあてめたものもある。しかしどうしても「だからどうなんだ」という気持ちには勝てず載せなかったりもした。
このサイトで10年は書いている。だんだんと筆力が上がっていくものの、初期衝動のようなものはすり減っていく。私達は賢くなって負けを認めるようになった。
しかしたまにはそうした賢さを覆したくもなる。
雪の宿と非常ドアの取っ手の日食を見たことがあるか。どん兵衛と自動販売機の千円札入り口との日食を見たことがあるか。日食を見たことがない人々のことだから恐れ戸惑ったことだろう。そう信じている。
そして私達は宣言する。これが新しいダジャレだと。太陽を月が覆い尽くしたのは自然現象ではない、神がもたらしたサイズのダジャレである。笑おう、人々よ。そしておれたちの戦いはこれからだ。(長らくのご愛顧ありがとうございました!)