特集 2018年8月18日

橋みたいな箸をつくってみたい

橋と箸はひとつになれる
橋と箸はひとつになれる
「箸」と「橋」、どっちがどっちだか迷ったことがほとんどない。「はし」と、音だけで聞いても、どっちを指しているのかがすぐにわかる。これはある意味、すごいことなのではないだろうか。母国語が日本語じゃなかったらもっと迷っている可能性は重々にある。

せっかく同じ名前にうまれた二つ。彼らにもっと惑わされ、混乱してみたい。そうだ。橋(はし)みたいな箸(はし)をつくってみよう。
1981年群馬県生まれ。ライター兼イラストレーター。飲食物全般がだいたい好きだという、ざっくりとした見解で生きています。とくに好きなのはカレー。(動画インタビュー)

前の記事:朝、カレーを食べるなら大田市場がパラダイスだ

> 個人サイト たぶん日記

思っていた以上に橋らしさあふれる箸になった

で、つくってみた。さっそくだがお見せしたい。
思いのほか、ちゃんと橋に見える!
思いのほか、ちゃんと橋に見える!
ある特定の橋をめちゃめちゃ精巧につくりたい気持ちもあった。だが、過去の自分の木工を振り返ってみたところ、イルカを掘ろうとしたはずが、かつおぶし(塊のやつ)を生成していたという記憶にぶち当たった。

無理はしないでおこう。強い思いを胸に、自分の「心の中にある橋」をつくってみた。
これは、わたしの心の中にある橋の三次元化です
これは、わたしの心の中にある橋の三次元化です
「心の中にある橋」という響きはなんだか「もう今はない、記憶にのこる思い出の橋」みたいな、エモーショナルな要素を含みそうにも感じる。だがわたしの心の中の橋は、自分の都合にあわせて変貌自在なタイプの想像の橋だ。合理的なやつである。

ちなみに橋には入口と出口があり、その違いを見分けるポイントは、橋の名前が漢字で書かれているか、ひらがなで書かれているか、なのだという。
なので、片方は漢字に
なので、片方は漢字に
片方はひらがなにした
片方はひらがなにした
漢字で書かれているのが入口(起点)で、ひらがなが出口(終点)である。せっかく知っていたので盛り込んだ。なお、これはたぶん当記事のなかでいちばん知的な情報だ。

さて、橋のまわりにある川や人などについても言及していこう。まず川である。川に見えない人は、心の目を使ってほしい。これは100円ショップで買ったトレーに水を入れ、ブルーハワイのシロップをたらしたものだ。
みるみるうちに川ができた。税込216円で叶う魔法、すごい
みるみるうちに川ができた。税込216円で叶う魔法、すごい
そんなわけで、川は廉価だったのだが、ほかでお札に羽が生えた。ふだんだったら手を出さないような高額な材料(1000円以上)にも手を出したのだ。
久しぶりの衝動買いである
久しぶりの衝動買いである
暑さで意識が朦朧としていて判断力がにぶっていたところに、建築模型コーナーをじっくり見るのが初めて故の心の高ぶりが相まって、するすると買い物かごに突っ込んでしまっていた。

でも、これがすごくよかった。人とくるまがあると、それだけで一気に「橋感」が高まるのである。
うっかり木のミニチュアも買った。自分で買っておきながら、なにに使うんだろうと思っていた
うっかり木のミニチュアも買った。自分で買っておきながら、なにに使うんだろうと思っていた
……のだが、これ、置くとそれだけでリアリティが増すではないか……! トレーの脇に添えてみることにした
……のだが、これ、置くとそれだけでリアリティが増すではないか……! トレーの脇に添えてみることにした
食卓に置いてみたところ、新しいタイプの箸置きっぽくも見える気がしてきた。もしもだれかのうちに招かれた時に、こんな演出をしてもらえたら嬉しいかもしれない。
新しいタイプのおもてなしとしてどうだろうか。(食べ物が乾きものばかりなことは、気にせずに考えてほしい)
新しいタイプのおもてなしとしてどうだろうか。(食べ物が乾きものばかりなことは、気にせずに考えてほしい)
しかし、実際に箸を持ってみるとその気持ちに陰りがおこった。つかめるけど、すごくつかみにくいのだ。なによりも、壊れないかどうかと心配になる。
人やくるまが指の圧でぽろぽろ取れちゃったらどうしよう
人やくるまが指の圧でぽろぽろ取れちゃったらどうしよう
つかめるにはつかめるけど
つかめるにはつかめるけど
見た目はいい。だけど食べやすくはない。もしも、だれかのうちに招かれた時にこれに出くわしたら、歓迎されているのか、実は招かれざる客だったのか、わからなくなりそうだ。
それにしても。箸を取ろうとする時の自分の手、でかく感じる
それにしても。箸を取ろうとする時の自分の手、でかく感じる
平和な街におそいかかる怪物みたい。箸を持っているだけなのに不穏な感じになるのすごい!
平和な街におそいかかる怪物みたい。箸を持っているだけなのに不穏な感じになるのすごい!

横浜ベイブリッジもつくってみた

他にもなにかつくってみたいと思い、実在の橋にも手を出してみることにした。横浜ベイブリッジである。

横浜ベイブリッジは大きい。物理的にも大きいが、できたてのころ、群馬(地元)からわざわざ家族総出で見に行ったくらいには、心理的にも大きな存在である。

箸のサイズ感の中に納めきることだけでなく、もっと広い視野で考えたほうがよいのではないだろうか。
そう思った結果、箸というか、箸置きのようなものが完成した。とりあえず箸が二膳置ける
そう思った結果、箸というか、箸置きのようなものが完成した。とりあえず箸が二膳置ける
裏側がアナログ(糸をつかった)
裏側がアナログ(糸をつかった)
ここではひとつ問題が発生した。橋、すごく軽いのだ。あつかいやすそうだなぁと思い選んだスチレンボードは、風にとっても扱いやすい存在だったらしい。ちょっと風が吹くだけで激しく動く。
うっかりすると倒れる
うっかりすると倒れる
もし次につくる機会があったならば、本物の強度を0.1%でもいいから見習いたいと思う。

つくるのは難しくはない

もしつくりたい方がいた時のために、作り方をざっと書いておきます。1つめに出てきたやつのほうです。

①大きめの、カクカクした箸をさがす
②建築模型コーナーなどで、極細であつかいやすい木材を調達する
③木材を適当に貼る。もしちゃんと接着するか不安を覚えたら、とにかく瞬間接着剤に頼り切る。
④ジオラマ用の人やくるまを適当に貼る。
⑤色をつける。

今からなら、夏休みの宿題にも間に合うと思う。
かき氷のシロップを洗い流したら「夏!」といわんばかりの匂いがして、とてもいい気分になった。かき氷シロップだけで世界は勝手に夏になる。すごい。
かき氷のシロップを洗い流したら「夏!」といわんばかりの匂いがして、とてもいい気分になった。かき氷シロップだけで世界は勝手に夏になる。すごい。
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