そもそも「武家諸法度」って
歴史の教科書で覚えた記憶はある「武家諸法度」。1615年に江戸幕府によって制定された法令だ。
今回作りたいのは、それのハット(帽子)だ。
そもそも「武家諸」ってなんだろう。武家の諸? ブケショ?
言いたいだけなので、別に本来の意味じゃなくてもいい。たとえば、「武家ショット」や「武家ショップ」の略称を「ブケショ」……ということにすれば、その柄の帽子も「ブケショハット」ということにはなる。
そうじゃなければ、「武家諸法度」の法令そのものを盛り込んだ帽子にするって手もある。
迷ったところで、法令の内容をおさらいしてみると、(習った記憶は遠く彼方なので
子供向けサイトで確認)
幕府が全国の大名を従わせるために作った決まりごとで、築城やキリスト教? あとは参勤交代についてとか? そんな感じのあれこれか……。
色んな要素を盛り込んだほうが面白そうなので、後者っぽい方向で進めてみよう!
どんな帽子にしたいのか
まずは色から考えてみる。「武家諸法度」そのものをイメージした、法令の原文が書かれてる半紙のような色の帽子にしたい。
また、参勤交代までの日数をカウントダウンできる機能を盛り込みたい。そのために電子工作の時計キットを用意した。
この時計を乗せるからには、帽子の土台もしっかりさせなくてはならない。
既製品の帽子を改造しようかとも思ったが、どうしてもちょうどいいものがない。そこでこんなネットを用意した。これにパネルをくくりつけたほうが、きっとしっかり固定できる。
本来はこのネットに編み物用の糸を編みこんでいくと、簡単に帽子が作れるという用途で使われるもの
あとは、イラストを作成してアイロンプリント用紙に印刷。帽子をにぎやかす目的で作ってみた。
いらすとやから拝借しようとしたが、「参勤交代」や「関所」はさすがになかった(城だけ拝借し、あとは描いた)
これらを組み合わせてなんかいい感じになればいいな……という思いで突き進もう。
不慣れにつぐ不慣れ
初心者が帽子を一から作るとなると、市販の型紙を使うべきなのかもしれないが、それだとこのネットの土台に形が合わなくなる。
だったら型紙から作ってしまおう……! と安易に思い付いたのがそもそもの間違いだったか。
手芸の得意不得意は関係ない「立体の形を見て、展開図を作り出す」作業だが……どうにもうまくいかず……
新聞紙を切って合わせるが、これだと上の方が浮く……
上からこれをかぶせればフィットする……? (縫い目が多すぎて変になった)
行き当たりばったりで迷走している……。
縫い合わせる→形があわずやり直し、というのを何度も繰り返す。
切ったり縫ったり形を合わせたりしてるうちに、正解に近づいてはきてるような……?
私は普段、編み物ばかりやっているが、縫い物はほぼしない。手芸自体は慣れてるが、縫い物となると結構不慣れなのだ。
「糸から布を作っていく」編み物に慣れすぎてるからか、たまに縫い物をすると「最初から布がある!!」というところにまず凄みを感じたりする。
作業開始直後は「最初からこんなに布ができてるだなんて効率がいいに違いない」と思ったものの、不慣れな作業続きで想定してた5倍ぐらいの時間がかかる。
14時間かけてこれだけって、そんなバカな
「慣れないことはするもんじゃないな!」としみじみ思ってたのに、もうひとつやってしまった。電子工作のはんだ付けだ。
今までに何度か電子工作経験はあるが、プログラミングの制御部分を担当したり、はんだ付け不要のキットを使ったりしてたので、こういうはんだ付けは今回が初だ。
結論を言ってしまうと、これがひどく下手だったのだ。
はんだ付け、中学んとき技術の授業でやって以来だからほぼ四半世紀ぶりだぞ……
どうにもうまく付いてくれない。「使ってる借り物のはんだごてが古いせいか……?」と思い、買いなおしたがそれでも下手だったので、まあ下手なのだろう。
半日かけてこれ。半分にも満たない……!! (電子工作慣れしてる人に見せたら、3~40分あればできると言われた……。というかそれ以前に使い方間違ってんのかも?)
道のりが長すぎる上に、「完成しても確実に動かないやつだ……」と途中で確信し、諦めた。別のものを使おう。
パソコンで打ち込んだ文字データを転送できる、小さい電光掲示板パネル……これならいける!!
アプリ上で文字を打ち込んだ文字がこんな風に表示される
自動でカウントダウンはしてくれないが、毎回使うときに日数を打ち込めばいいや。最初からこうしておけばよかった。
帽子をデコる
布を半紙色にしたからには、「武家諸法度」の原文を書き入れたい。
パソコンで入力した文字をアイロンプリントしようか。けど当時はそんなデジタル文字なんて存在しなかったし、直接文字を書いたほうがそれっぽくなるんじゃないか。
手書きで原文を書いていく。途中ふと、なぜ丑三つ時にこんな写経をしてるんだ……という気分になったりもする。はんだごてを強く握りすぎてたせいで、ペンを握る手が痛い
いま文字を入れているのは、帽子のつばの部分だ。写経っぽくもあるが、放射線状に書き進めると、寄せ書き感が出る。
ずっと書いてても飽きてくるので、筆跡やペンを変えてもっと寄せ書きっぽくしてみよう。
寄せ書き感を出すために筆跡を変えて複数名で書いたように見せかけても、鑑定にかければ同一人物だってばれるんだろうなー……
どさくさに紛れて「元気でね」とか書きたい衝動を抑えつつ、ひたすら書く。
隙間に日付を入れると、より「当時書いたっぽさ」が増す。
全体的に呪いっぽさもある
なんだかすごく色合いが地味じゃないか。もっとカラフルな装飾も用意しよう。アイロンプリント用紙に印刷したイラストを転写する。
メリメリメリ……! 綺麗に転写できてるとうれしい
転写したうちのいくつかは、バッジにしてみた。これで帽子をにぎやかそう。
幕府の取り決めフェルトバッジ
「武家諸ハット」完成!
苦戦しつつこれらを縫い合わせ、取り付け、できあがったのがこちら。
参勤交代まであと238日! (撮影日から4月1日までの日数にした)
取り付けたパーツも軽いものばかりなので、かぶってても結構軽い。
このテイストならきっと気軽に従いたくなるはず!?
これは「勝手に関所を設けてはならない」の訴え
後ろ側は参勤交代のイラスト入り!(これもアイロンプリント)
取り付けたパーツも軽いものばかりなので、かぶってても軽い。ツバも広く、日よけにも打ってつけだ。
かぶるとかなり浮かれた装いになる。渋い顔をしてみても、なんだか浮かれている
いま、あんまり目立ちたくない! という瞬間は顔をくいっと上げるとほら、ふつうの帽子ふう
後ろ前逆にかぶると、こういう帽子だと思えないぐらいの地味さにはなる
とりあえず盛り込みたい要素はすべて盛り込めたし、「武家諸ハットです!」 と自信を持って言えそうなものができて満足している。
以上、「武家諸ハットを作ってみたと言いたかっただけ」の報告でした。
毛糸以外の素材への苦手意識
帽子は成功したが、はんだ付けへの苦手意識がかなり上がってしまった。できるようになれば、今後の工作の幅も広がるかも! と考えてたが、今はその考えも消え失せている。
このたび盛大に失敗したこの時計作成キット、これ……直して使いたいという方がもしいらっしゃったらそのまま差し上げますよ~ だれかーぜひー(あまり期待せず呼びかける)