まずは登山口へ
東西線、中央線、青梅線を乗り継いで東京の西の果て、奥多摩駅へ。駅からバスで日原鍾乳洞を目指します。
何十回と来た奥多摩駅前。各方面にバスが出ていて便利です。ありがとう西東京バス。
土日は混むけど平日だとこんなもんです。
鍾乳洞まで行くのかと思ったら1kmくらい手前が終点だったので、そこからは歩き。道が細くてバスが通れないみたいです。
鍾乳洞のとこにはきれいなトイレがありました。使わせてもらいます。
サンドウィッチマン。
登山開始
鍾乳洞の反対、山側の神社が登山口になっています。
左上にある一石神社から登ります。登山届はネットで出しておきました。
登りは『タワ尾根』という尾根を使いますが、国土地理院の地形図には道がありません。登山でよく使われる『山と高原地図』では破線として描かれています。
いわゆる『バリエーションルート』で、普通の登山道よりは難しいとされています。
GPSアプリを作ってる人間が道に迷ったら困るので気合を入れていきましょう。
建物の脇に登山道がありました。
熊が出るそうです。奥多摩の山はどこでも熊が出ます。
お互い出会いたくないものです。ホイッスルや大声を使って、熊に自分の存在を知らせながら歩きましょう。
バリエーションルートと言ってもある程度は人が入っているので道は薄っすらあります。
この辺はまだ一般登山道と変わりません。
直登すると45度くらいあると思います。
急な斜面を登りつめると上部は石灰岩が露出していました。やけに足元に岩が多いと思ったらこうなってたんですね。
岩稜帯の下は落石があるので注意が必要です。耳を澄ませましょう(そして落ちてきたら避けましょう)。
なだらかな尾根に乗った
1時間ほど掛けて急斜面を突破。これからはしばらくなだらかな尾根歩きです。
タワ尾根の『タワ』は、鞍部とかコルとか、ピークとピークの間にあるなだらかな部分を指します。
尾根全体がなだからだからタワ尾根と言うのかもしれません。
木に不穏な傷が。おそらく鹿が角でやった跡。
尾根はなだらかな方が道を探すのが難しくなりますが、大きく外さなければ大丈夫です。
一歩一歩登っていきます。原稿も一文字一文字書いていけば書き終わります。
今回の装備。だいたい15kgくらい。3kgくらい余計な装備が入ってますが。
ミズナラの巨樹
タワ尾根の途中にはミズナラの巨樹があります。半分ほど朽ちてしまっていますが、今でも立派に立っています。
この巨樹に会うために登るという方も多くいるようです。
ウッドサークルで囲まれています。入らないように遠くから愛でましょう。
左側に落ちているのがミズナラの一部。本体に大きな穴があいています。いずれ朽ち果てるのでしょう。
金袋山(きんたいさん)に着きましたが、尾根はまだまだ続きます。
やっぱりバリエーションルートです
バリエーションルートと言いつつちゃんと道があるなぁ、なんて思いながら歩いていましたが不明瞭な部分も多く、そういう場所にはテープが付いています。
ただしこのテープは誰かが勝手に付けたものなので過信すると却って迷うこともあります。
なんの保証もない、誰かが勝手に付けたテープ。取り除く人もいます。
迷いやすい部分にはロープが張られていますが、これも誰かが勝手に付けたものだと思われます。
公式な登山道ではないバリエーションルートで何を信じるかは自分で判断しなくてはいけません。
このロープの先は歩けそうな尾根が続いていますが、進むと道に迷います。
目を凝らして道を探しながら歩いていきます。
ウトウの頭(というピーク)の手前にビニール傘。数年前からあるみたいです。
ウトウの頭(うとうのあたま)に到着
タワ尾根のピークには手作りの看板が付いていますが、ウトウの頭には『ウトウ』という鳥の板が2枚あります。
セルフタイマーで撮ってます。
ウトウは北海道などに生息する海鳥で奥多摩とは関係ないんですが、近くにウトウ沢という沢があり、その上にあるからウトウの頭と名づけられたらしいです。
山の名前は『沢の名前+頭』というのがよくあります。
かなりキレイに作られています。タワ尾根を愛している人は多いようです。
足元にはきれいな花。バイカオウレン。梅花(バイカ)に似てるからそういう名前だそうな。
いよいよバリエーションルートっぽさが出てきた
ウトウの頭から先は岩稜帯の痩せ尾根や急下降などがあり、ルートファインディングも歩くのも難しくなっていきます。いいね、楽しい。
マジかってくらい下っていきます。
途中までは危ないルートを楽しく歩いていたのですが、いきなりモノレールが出てきました。ここからはレールをたどるだけなのでルートファインディングもクソもない感じになります。やや残念ですね。
治山には必要なんだろうけどちょっと残念なモノレール。
左(西)の方に高い山が見えました。東京都の最高峰、雲取山です。東京、山梨、埼玉の三県境でもあります。
タワ尾根終了
タワ尾根を登りつめると、長沢背稜という縦走路にぶつかります。
ここからは一般ルート(どの地図にも載っている道)ですが、歩く人は少ないので道は一部不明瞭だったり崩壊してたり、初心者には難しいかもしれません。
ただ、人が少なく静かで僕は大好きです。
右に進んで一杯水避難小屋を目指します。
登山道が一部崩壊してます。滑落すると死ねるので注意して歩きます。
道が不明瞭な部分もあります。
よく見れば分かりますが、慣れが必要です。
酉谷避難小屋
酉谷山の直下に『酉谷避難小屋』という小さな小屋が建っています。ここには水場(水が湧いてる場所)があるので水を補給します。
小さいですがキレイで快適そうな小屋です。奥多摩の避難小屋は基本的に年中無人で無料で使えます。原則としては緊急避難用とされていますが、使わないと歩き通せないルートもあります。
水場。酉谷避難小屋の水場は出が良いというイメージだったけどチョロチョロでした。ビールなどは先着の宿泊者が冷やしてたものです。
10分ほどかけて2リットルの水を汲みました。思ったより時間が掛かってしまったので急ぎます。
天気は悪く、アラレが降っていました。
一杯水避難小屋まであと2時間程度ですが、ちょいちょいスリリングな場所があります。
崖についた木道。右側に落ちると死にます。
結構崖が多いんですよね。過去にはこの辺で下に落ちて亡くなった方もいます。
ほとんど朽ちてる場所もあります。
代替わりした木道。濡れていると滑りやすいので雨の日は絶対に歩きたくないですね。
一杯水谷避難小屋に到着
15:50、撮影などに時間を取られて予定より少し遅く到着しました。今日はここに泊まります。
酉谷避難小屋よりちょっと古いけど中は結構広いです。
いろいろやっていきます
避難小屋の中はこんな感じです。
詰め込めば20人くらい寝られそうですが、今日は平日ということもあって誰もいません。
入り口から見た避難小屋内部。
掃除道具なんかもあります。避難小屋を使ったら最後は掃除をしていきましょう。
ゴミを残していくなんてもっての他です。なお、この避難小屋はトイレもあります。
水を汲みに行く
一杯水避難小屋から200mくらい離れたところに水場があります。
酉谷避難小屋でも汲んだけど、一応水場を見に行きます。
『一杯水』という名前の通り少ししか出てないか枯れていることが多いのだけど、今回は結構出てました。
これだけ出ていれば上等です。酉谷で汲む必要なかったな(水場は状況が分からないので汲める時に汲むのが鉄則ですが)。
映画の準備をしながら暗くなるのを待つ
まだ16時。明るすぎてプロジェクターを使えないので暗くなるのを待ちます。
準備をしながら待ちましょう。
ゆったり映画鑑賞したかったので折り畳みの椅子を持ってきました。
組み立てるとこうなります。900gくらいなのでギリギリ登山で使う気になります。お値段は3,000円くらい。
耐荷重は110kgなので僕でも大丈夫。
暇なのでホルモンと肉を焼く
まだまだ明るい。仕方ないのでホルモンを焼いていきます。
最近僕は平日に山でホルモンを焼いてることが多いので『平日ホルモンおじさん』と呼ばれています。
ホルモン237gと牛肉。マイタケペーストに漬けて柔らかく仕上げています。
ホルモンを焼きながらダラダラ酒を飲むのが楽しくて山に行ってます。
野菜を焼き、パクチーを添えて、ホルモンはタレで。
良い。月曜の真昼間とは思えない。
ごはんも一緒に焼くと最高です。ホルモン飯です。
マイタケ酵素でフワフワになっています。
たまらん。
映画と言えばポップコーン
映画につきもののポップコーンも弾いてきます。
豆、塩、油を持ってきました。
ポップコーンセット。
コッヘル(キャンプ用の鍋、ドイツ語)で作ります。
始めチョロチョロ、豆がレモンイエローになったら強火で蓋を取らないのがコツです。米炊きと似てますね。
完成。
万全です。シャイニングを見ていきましょう。
Picoプロジェクター
はい、映画を見るのに使うのはこちらのPicoプロジェクター。小型軽量、バッテリー駆動でスマホと無線で繋いでスマホ内の映像を映す事もできます。
SDカードに入れた動画を単体で投影することも可能です。
とても便利です。
スマホとプロジェクターを無線で繋いで、スマホのAmazonプライムでダウンロードしたシャイニングを避難小屋の壁に投影します。
なんとか映った。三脚があれば手で持つ必要ないんだけど撮影で使ってるので手持ちです。
左手にプロジェクター、右手でポップコーンをつまむスタイル。
山の映画館で映画鑑賞(単独)。
しかしまだよく見えません。
日が落ちるにつれて見えるようになっていきます。
薄っすら見えてきました。
徐々に見えるようになってきて、映画も徐々に怖くなっていきます。実は初めて見たんだけど怖い映画だったんですね。
いよいよ映画館っぽくなってきました。(C) 1980 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. Amazon プライムビデオより。
怖いし寒い
外は真っ暗、振り返ると真の闇でした。でもって寒い。色んな意味で震えが止まらなくなってきたので避難小屋の中に移動しました。
避難小屋の壁に投影。(C) 1980 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. Amazon プライムビデオより。
小屋の中で寝袋に入れば暖かいのだけど、真っ暗な小屋は、それはそれで怖いです。一人だと。
そういえば、10年くらい前にこの小屋で山賊が出たことがあるそうです。一緒に泊まってたおじいさんを襲ってお金を奪ったのだとか。こえぇ。
プロジェクターの電池が無くなってきたのでモバイルバッテリーを接続。モバイルバッテリーはたくさん持って行ったのでジャブジャブ使います。
有名なシーン。これを撮るのに190テイク掛かったとかなんとか。(C) 1980 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved. Amazon プライムビデオより。
怖いが意味はよくわからなかった
怖かった。ジャック・ニコルソンの狂気じみた演技がとても怖かった。
でも、正直なんでそうなるのかわからなかったしシャイニング能力も必然がよくわからなかった(原作とはかなり違うらしい)。
このまま寝るのはかなり怖いので、ゆるめのアニメを見ておくことにしました。
ふー、一安心。(C)あfろ・芳文社/野外活動サークル Amazon プライムビデオより。
翌日はまた違う道で降りますが、そっちもバリエーションルートなのです。
次のページにつづく。
明かりをつけたまま寝た
真っ暗な避難小屋で一人というのが怖すぎたので、ランタンを最小光量にしてつけっぱなしで寝ました。
朝ご飯は最近お気に入りのQTTAカレー味。
なお、右のテーブルらしきものはダイソーのレンジ台です。100円。
なかなか寒かったので温かいものがおいしいのです。
最後は床と土間を掃き掃除していきました。避難小屋はキレイに使いましょう。
まるでミスト
ミストという映画(オチがすごい)があるんですが、ミストもかくやというくらいガスっていました。こういう視界が悪いときは道に迷いやすいので注意が必要です。
眺望ゼロ。霧の向こうから怪物が出てきてもおかしくないし、熊なら普通に出てきそう。
木の橋も濡れていて滑りやすいし、落ちたら死ぬ。
笙ノ岩山
下りに使ったのは鳥屋戸尾根(とやどおね)という尾根で、地形図には一応道がありますが登山地図ではバリエーションルート扱いになっています。
でも道は明瞭で、確かに急斜面や不明瞭な部分もありますがタワ尾根よりは分かりやすいと思います。
とはいえ、去年この尾根で道迷いから遭難して亡くなった方がいます。注意とGPSは必要です。
何年も前から登ろうと思いつつ登ってなかったのですがようやく来られました。
なんだかんだで全行程28kmくらいありました。一度に歩くのはちょっと大変だと思いますが、どこかで一泊すれば楽しい山歩きなので、歩いてみるといいと思います。
おしまい。
避難小屋で映画見るの、いいかも
折りたたみ椅子とかプロジェクターとか、普段の山行では使わないものを持って行って使うのは結構楽しかったです。荷物は重くなるけど。
普段と違う食べ物がごちそうなら、普段と違う行動はレジャーです。山奥で映画を見るのは確かにレジャーで楽しかったのでした。
ただ、他の登山者が泊っているときは避けた方が良いと思います。トラブルになりますので。
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