特集 2018年3月21日

「現実化したフォント」がおしゃれなのでマスターしたい

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文字を背景にくぐらせるとおしゃれだと思う、あれやりたい。何を言ってるか分からないと思う、自分でもそう思う、説明が難しいんだ。だからひとまずスクロール!
1984年大阪生まれ、2011年からベトナムなどの東南アジアをうろついています。今はタイ在住。ドリアンの造形が好きで、写真のように被ったり着たりしています。

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文字を背景にくぐらせるとひとたびおしゃれに

それがこれ。
これだ!(提供:中村浩二)
これだ!(提供:中村浩二)
こういうのだよ!(提供:中村浩二)
こういうのだよ!(提供:中村浩二)
なんだか、すごくファッショナブルに見えませんか?

「文字を背景にくぐらせる」の真意か分かってもらえたと思う。背景というのかな、被写体?何にせよ、これ、2~3年くらい前からちょこちょこ見る。航空機の機内誌とか、あと日本のハウス・ミュージック(というより個人的に好きなtofubeatsというトラックメーカー)のミュージック・ビデオでよく見るような、見ないような。

これを駆使すれば、ひょっとするとなんでもない写真になんでもない言葉でもおしゃれに見えるんじゃなかろうか。今は便宜上「おしゃ文字」と呼ばせてもらおう。なんだかしゃもじに対する間違った丁寧語のようだが、そんなことを思ったのは書いてる自分だけだろうからまぁいいや。

「おしゃ文字」のつくりかたを身近な人に聞く

おしゃ文字についてもっと知りたい、なんだったら自分もやってみたい。めちゃくちゃどうでもいい写真でもおしゃれになるのか。という訳で、まずは上の二枚の画像をつくった人に話を聞いてみることにした。同じベトナムに住む動画制作者の中村さん、彼はFacebookにしょっちゅうおしゃ文字を投稿していたのだ。
ちょっといいですか
はい、なんでしょうか
中村さん、たまに文字の裏に背景くぐらせてるじゃないですか?
はい!あれか、そうですね、確かにたまにくぐらせてますね
おしゃれだなぁと以前から思ってて、やり方を教えてほしいんです
すごく簡単ですよ!Photoshopのマスクを使って隠したい部分を消すだけです
なるほど!(あとでマスクのこと調べよう)
これもさりげにおばあちゃんをくぐってる。ベトナムらしい良い写真。(提供:中村浩二)
これもさりげにおばあちゃんをくぐってる。ベトナムらしい良い写真。(提供:中村浩二)
ちなみにこれ、中村さんに限らずたまに見ますが、何で知ったんですか?
たぶん、ファッション雑誌の表紙とかで知ったと思います
なんでまたそれをやろうと思ったんです?
えっ、難しい質問ですね…。ただの気晴らしです(笑)。動画の編集技法で『カメラが動いても貼り付けた文字が同じ位置にある』というものがあって、それをやりはじめてから、写真でもあれやってみよう~、という感じです
その技法が使われている中村さん作の映像作品。1:21頃に出てきます。 ロケ地はベトナムのリゾート地としてもただいま人気急上昇中のダナン。
よし、じゃあ、いっちょやってみっか!マスクうんぬんはAdobeの公式サイトを見てください、というよりPhotoShopを持っていてマスクを使ったことのない僕の方が珍しいと思うけど。
いくつか撮ってつくってみるので、おしゃれかどうか見てもらっていいですか?
はい、僕でよければ!
これから、とにかく平々凡々な写真たちが出てきます。我ながらその低クオリティっぷりに、今さら恥ずかしくなったんだけど、結果分かったちゃんとノウハウは最後に書き記すので引き続きお付き合いください。

平凡な日常写真におしゃ文字を重ねる

よろしくお願いします!
はい!
うたた寝している友だちが怖かった。
うたた寝している友だちが怖かった。
ヤブ蚊がすごかったので、ヤブ蚊の裏をくぐらせてみた。
ヤブ蚊がすごかったので、ヤブ蚊の裏をくぐらせてみた。
なんといいましょうか…
ゴクリ
ふつうにいい感じじゃないですかね!
えっ、ウソ、そうですか!?」
石垣の除草をしている人が忍者っぽかった。
石垣の除草をしている人が忍者っぽかった。
適当こいてません?
そんなことないですよ!
見かけた女性のジャケットのデザインがサイケデリックだった。
見かけた女性のジャケットのデザインがサイケデリックだった。
くぐらせ方は結構いけてると思いますよ
お、おぉ~!えーと、でも、う、うれしい…
まさか褒められるとは。こういう話ってだいたい酷評から入るのがありがちなので、逆に戸惑う。中村さん、優しい人だとは思っていたができればここは貶してほしい…が、慣れないことを褒められるとめちゃくちゃうれしい。なんかこう、同時に懐かしい気もする。もしかしたら大人は仕事も趣味も固まっちゃって、慣れないことから遠ざかってしまうのかもしれない。とかなんとか思ってたら、ここでダメ出しがちらほら出てきた。よかった!
店員さんの呼び出しボタンの視認性がすごく悪かった。
店員さんの呼び出しボタンの視認性がすごく悪かった。
あ、これは…
どきっ
角度を合わせた方がいいんじゃないでしょうかね…
角度??
こんな感じに。
こんな感じに。
ほら、この白い呼び出し盤の角度に
あ、なるほど~、確かによくなった感じある
食べ残した皿をくぐらせてみた。
食べ残した皿をくぐらせてみた。
これも良い失敗例ですね!
そのワケ、聞かせてください!
まず先の写真と同じでテーブルの角度に合っていないということ、あとなにより…
雑(な)コラ(ージュ)になっている。
雑(な)コラ(ージュ)になっている。
現実に文字があると、ふたつの皿の上と下に跨がない訳じゃないですか?ここを処理しないと
確かに。これじゃだまし絵みたいですね
ん?「現実に文字があると」…??
あ、そうか!文字をくぐらせるというか、現実に文字が存在するかのようにイメージするといいのか
お、言われてみると確かにそうですね
ハッとした。この記事、タイトルは「現実化したフォント」と書いてあるが、実はここに来るまで私も中村さんも「くぐらせる」「おしゃ文字」としか言ってなかったのだ。よく考えると、角度を合わせることも物理法則にのっとっていると言える。つまり文字、というよりフォントがその写真の中の現実世界に溶け込めば溶け込むほど、おしゃれに感じられるのではないか。ただ肝心のおしゃれに感じる理由はさっぱり分からないんだけど。
これは意識せずになんとなく水路の縁に合わせた写真
これは意識せずになんとなく水路の縁に合わせた写真
これはいたずらに角度を合わせてみた写真です
いいですね、こういうことだと思います!

でも、なんだかんだで写真がよければだいたいよい!

そうやって徐々にコツを掴んできて出来たものがこの写真。
建造物の塔の部分を「の」に抱かせてみた。
建造物の塔の部分を「の」に抱かせてみた。
最高じゃないですか!
わーい!
しいて言うなら
ドキッ
大世界と似たフォントにしたらもっとよかったかも
なるほどー
で、やってみたが、「すみません、前の方がいい」という結論に。丸っこすぎたか。 中国や上海というイメージが、前のパターンの漢字とマッチしていたのかもしれない。
で、やってみたが、「すみません、前の方がいい」という結論に。丸っこすぎたか。 中国や上海というイメージが、前のパターンの漢字とマッチしていたのかもしれない。
で、いよいよ最後の作品!
朝焼けの浜辺を走る人影に、ビーチ名をくぐらせた。
朝焼けの浜辺を走る人影に、ビーチ名をくぐらせた。
やばいじゃないですか!
褒めて伸ばしますな~!でもうれしい!
人を前にしましたかー気持ちいいですねー
俳句とかの先生に褒められている気分がしてきた
でも海に反射させたらもっといいかも
それこそ現実に文字があると、ですね
「y」のしっぽが邪魔だったので大文字にして反射。
「y」のしっぽが邪魔だったので大文字にして反射。
「左端の人が浮いてる」という指摘を受けて前へ(輪郭ちょっと粗いけど)。
「左端の人が浮いてる」という指摘を受けて前へ(輪郭ちょっと粗いけど)。

コツは分かった、でもおしゃれに見える理由は分かりませんごめん。

中村さんから学びつつ、自分なりに振り返り、おしゃ文字のコツはこんな感じに。
・ちゃんとくぐらせる(「ヤブ蚊すごい」のように半端はしない)
・読めなくなるので一文字の半分以上は隠さない(「うたた寝怖い」は「寝」が隠れすぎ)
・文字が物理法則に沿うように角度を調整する
・空や海などの広いスペース(被写体以外の部分)を活用する
・フォント選びは慎重に(被写体に文字があれば合わせる、流行りのフォントを使っちゃうなど)
・なんだかんだでおしゃれな写真を使えばだいたい決まる!
文字をくぐらせたらおしゃれに見える、見えるには見えるけど、それでも上記のような配慮は必要だった。ファッション雑誌を創刊する人は参考にしてほしい(しないわ)。

でも、最後に書いた通り、「夜の上海」も「MY KHE BEACH」ももともとの被写体がそれなりに洒落ているので、写真そのものの素材がよければ割とどうとでもなっちゃうところもある。

そういう意味では、写真とおしゃ文字は人と服の関係に似ているのかもしれない。高身長で手足も長いモデルさんなら、どんな服を着てもだいたいかっこよく見えるものね。

そういえば新宿の「LOVE」も現実化したフォントだ

せっせと写真を撮ったりせっせと画像を加工していて思ったけど、そういえば過去に何度も見てきた新宿の「LOVE」のオブジェがまさしく現実化したフォントそのものだった。なぜああいうものに惹かれるのだろう。機会があれば今後、心理学の専門家にでも聞いてみたい。
Wikipediaより(© FoxyStranger Kawasaki)
Wikipediaより(© FoxyStranger Kawasaki)
取材協力:中村浩二(Bproductions
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