職場でのネイルの許容度は上がっている
お話を聞かせてくれたのは20年近くネイル業界にいるネイリストのゆきさんとあっこさん。
ゆきさんは東京郊外でサロンを経営、あっこさんは丸の内の美容院でネイリストをしていた方。
今回はあっこさんがデイリーポータルZのライター、べつやくれいさんのお友達ということでお話を聞かせてもらえることになったのだった。
場所はゆきさんが経営するネイルサロンで。やべえ興奮する
同行のべつやくさんにお二人の似顔絵を書いてもらいました。左がゆきさんで右があっこさん(それにしても迫りくる背景)
べつやくさんも私もネイル好きなのでもう一から十まで興味深すぎて2人して「へー!」連発のインタビューとなった。
ビジネスとネイル、まずざっくりと分かったのは
・ビジネス上のネイルの許容度は徐々に上がりつつある
・職業によるネイル不可の理由は「衛生保守のため不可」「長いと仕事に差し支える」「派手だとお客さんがびびる」の3つにわけられる
・可能な職場の場合「マイルール」でネイルの制限をもうけている人が多い
ということ。
おはなしを聞いて、「器用でおしゃれな人が人の爪をかわいくする仕事」というイメージしかなかったネイリストという仕事のイメージもずいぶん変わった。
いろいろなパターンの生活を送るお客さんの指先の日常を熟知し、アドバイスしながら好みにあったファッションに仕上げる仕事なのだ。しびれる。
さらなる「へ~~!」を続くインタビューでお伝えしましょう…!
ラメ、こういうの
ゆきさんのネイルがちょうどフレンチだった。かっこいい
業界ネイルまめちしき
●ネイルに特に規定のない会社の場合「マイルール」を適用している人が多い
確かにきびしく「ベージュじゃなきゃだめ!」「アートはだめ!」「ストーンは2粒まで!」と決まっている会社のほうが珍しい。
ビジネスにおけるネイルを自分でコントロールしている人は多いのかもしれない。
「上司ルール」もある
「ネイルやってるんだね」たしかにふんわり言われる怖さは、ある(フリー素材が古くて恐縮です)
業界ネイルまめちしき
●上司マターでネイルの許容度は変わる
●学校も基本NGかと思われるが校風で変わることも(特に私立)
ちなみにべつやくさんは「きれいだね」と言われたら「そっすか―!?」とか「昨日サロン行ったんすよ~っ」と元気にリアクションしてしまいそうといっていた。
私もそっち寄りの人間な気がする……。
かたい業種でも遊ぶなら「薬指1本ルール」で
あたりさわりなさそうな色を選ぶしかない
全指絆創膏だとちょっとあいつやばいなという感じしちゃうけど薬指1本ならぜんぜん普通だ。そうかー!
業界ネイルまめちしき
●かたい業界の受付業務は基本ネイルNGのことが多い。バックヤードもピンクやベージュのワンカラー(10本全部1色)。
●それでもどうしても何かしたい場合は薬指だけ遊んで仕事のときは絆創膏で隠す。
●外資系の企業だと自由度が上がることが多い
外資系のバリキャリさんのファッションが派手めというのはマンガみたいな世界観だが、実際もそうだとは。
長さを出せるのはアパレル、学生
ネイルアートというと昔からのイメージだとバリっとながいかっこいい爪のイメージだ。そういう、長さも出せる職種というのはあるんだろうか
ここまでいくのはもう専門のサロンか(写真は
こちらの記事より)
業界ネイルまめちしき
●長い爪でも仕事ができるのはアパレル
●水商売系もガンガンに派手にできるとは限らない
長い爪にガッツリアートを盛るような趣味性の高いネイルは生活の条件を考えても若人の特権なのかもしれない。
程度がわからなくなって攻め出す人々
まつ毛エクステ(まつ毛に植える人口の増毛まつげ)がエスカレートしてめちゃ盛りになったことがあった私はめちゃシンパシー…。 (写真は
こちらの動画から)
私もまつ毛エクステはげっそり疲れてやめてしまい、しかしその後そろそろ時が来たきがするような気持ちになる。結局またやるのだ、そういう趣味なのだから。
おしゃれではなく保護のネイルもある
業界ネイルまめちしき
●看護師、スポーツ選手、演奏家はケアのためにクリアのネイルを塗ることがある
●美容師はネイルが仕事で染まる
考えてみると「手の職業」は多い。ネイルの深さがここに極まった感がある。
足は自由だ
業界ネイルまめちしき
●看護師さんのなかにはふしぎと冬も足のネイルをガツっとやる人がいる
●ヨガの先生は冬も足を見せるのできれいにする
都市伝説として、ストレスフルな医療関係者には大酒のみが多いというのがあるだろう。
看護師さんが冬でも足のネイルをかわいくして少しでもストレスを回避しているというのはすごく納得がいくし、どうか癒されてほしいと願うしかない。
手で攻めるギリギリライン
業界ネイルまめちしき
●NG業界でどうしてもやりたい人のためのギリギリネイルもある
●セルフネイルも進化して休みの日だけ派手にする人も多いのでは
仕方ないから足ではりきる、バレないようにギリギリわからないくらいのネイルをする、平日は諦めて土日にセルフで工夫する。
やれることで盛り上がって行こうというハングリー精神がすごい。
業界ネイル、思った以上にパワフルな世界であった。
インタビューの後は「歳いくと春にうっかりやりたくなりがちなピンクが本当に似合わなくなる」話で盛り上がりました。
誰にでも似合うのはいま流行してるスモーキーなタイプ!覚えたぞ!
知見を持つネイリストさんのアドバイスよりも意外にお客さんが攻めがちというのは自分にも覚えがあって照れ笑いしかなかった、というのをべつやくさんに描いていただきました。これ気持ちわかる…!
ネイルサロンは計算の場所
おしゃれは足し算であり引き算とよくいうだろう。ネイルサロンはまさにその計算の場所なのかもしれない。
・自分に似合うか
・流行を取り入れているか
・好みに合っているか
このうちどこをどれくらい足してきたいかはそれぞれだ。そこに職種という制限の引き算がかかってくる。
お客さんのほうが攻めがちというのは、その足し算引き算を計算間違えしちゃう感覚かもしれない。
ビジネス面でも美容面でも最高にためになるインタビューだった……。
ゆきさん、あっこさん、ご協力ありがとうございましたー!!
ワンカラーのサンプルがおしゃれなサロンは良いサロンというのは私の持論です