他にも……「定礎」を映してみると、こういう定礎もありなんじゃないか? という新鋭の定礎になった。
走馬灯を進化させる
これまでの思い出がよみがえることを「走馬灯のように」と言う。いろんな風景が頭の中を駆けめぐる様子が、ぼんやりと光りを放ちながら回る走馬灯の幻想的なイメージと重なる。
走馬灯がどんなものかは、過去の記事に詳しい。小野法師丸さんの『自分なりのリアル走馬灯づくり』より。
この走馬灯、日本では江戸時代から使われ出したとのことで、当然ながら昔の技術である。投影するのも、あらかじめ仕込んでおいた絵に限定される。
たしかに幻想的ではあるけれど、「過去の思い出が次々と映し出される」なんてことは全然なくて、機能的には不足がみられる。説明書の隅の方に小さく「※ただし一度に映し出せるのはワンシーンだけです」みたいな注釈が付くタイプである。
もっと自由にいろんな写真を投影したい――そういえば、現代には写真を映し出すのに特価した家電があったじゃないか。そう、デジタルフォトフレームだ。走馬灯もデジタルフォトフレームみたいになれば、より「走馬灯のように」という慣用句にマッチする理想の走馬灯になるのでは?
たしかに幻想的ではあるけれど、「過去の思い出が次々と映し出される」なんてことは全然なくて、機能的には不足がみられる。説明書の隅の方に小さく「※ただし一度に映し出せるのはワンシーンだけです」みたいな注釈が付くタイプである。
もっと自由にいろんな写真を投影したい――そういえば、現代には写真を映し出すのに特価した家電があったじゃないか。そう、デジタルフォトフレームだ。走馬灯もデジタルフォトフレームみたいになれば、より「走馬灯のように」という慣用句にマッチする理想の走馬灯になるのでは?
そんなことを考えて作ったのが、このデジタル走馬灯である。いまの時代に即した走馬灯とは何か。それを追求した先にあったのは、デジタルフォトフレームとの融合であった
わざわざ手間のかかる影絵で表示しなくても、そのまま写真をスライドショーで投影すればいいじゃない。江戸時代の人が見たら腰を抜かしそうなことも、現代のデジタル技術を使えば簡単にできてしまう。
過去の思い出がグルグルと回る、デジタル走馬灯
どうなっているのか、簡単に中身を紹介したい。
デジタル走馬灯の制作
走馬灯のアイデアは以前から暖めていたのだが、実際にどうやって作ればいいのか長年の悩みであった。内側からプロジェクタで写真を投影する形状だろうなぁ、とぼんやり考えてはいたものの、筒の内側から至近距離で投影できるプロジェクタなんてあるのか? という問題にぶち当たる。
内側にプロジェクタを置いて、筒状の紙に投影する計画
普通のプロジェクタで作ったら、一部屋分くらいの巨大な走馬灯になってしまうだろう。
超至近距離で投影できる小型プロジェクタも売られているが、遊びで使うには手が出しにくい値段である。
超至近距離で投影できる小型プロジェクタも売られているが、遊びで使うには手が出しにくい値段である。
そんなある日、この部品を発見した。電子工作系の人にはおなじみ秋月電子通商で販売されている「ドーム型スクリーン用カラー液晶プロジェクタ」という小型プロジェクタ。なんとビックリ480円
「ドーム型」という名前の通り半球状のスクリーンに投影するためのプロジェクタなのだが、約5cmの至近距離に投影できるという、まさに走馬灯にうってつけのスペック。こいつを使わない手はない。
そのプロジェクタを使って、ラズベリーパイから出力した映像を投影できるように組み上げる。ラズパイとの接続には、こちらのインターフェースボードを使用した
あとは木を切って走馬灯っぽい枠を作り、
そこにプロジェクタを設置する。神棚に祭られた新手の神様みたいな佇まいになった
最後にプロジェクタの周りをスクリーン代わりのトレーシングペーパーで囲めば完成である
電源を入れると、無事にラズパイの起動画面が映し出された。ドーム用のプロジェクタを平面に投影しているため、画面の上下が激しく歪曲しているのにはひとまず目をつむることにする
思い出を映す走馬灯
走馬灯には、思い出の写真を投影したい。
思えば私も、本サイトで記事を書き始めてから早2年半である。その間いろいろやったよなぁ、ということで、これまでの記事の中からピックアップした思い入れの深い写真を投影してみることにした。
縁起でもない気はするが、これはあくまで走馬灯型の「デジタルフォトフレーム」なので……と自分に言い聞かせる。
思えば私も、本サイトで記事を書き始めてから早2年半である。その間いろいろやったよなぁ、ということで、これまでの記事の中からピックアップした思い入れの深い写真を投影してみることにした。
縁起でもない気はするが、これはあくまで走馬灯型の「デジタルフォトフレーム」なので……と自分に言い聞かせる。
ちなみに、本物の走馬灯のように内部が回転しているわけではない。こんな風に横方向につなぎ合わせた写真をスライドさせながら表示することで、回転しているかのように見せているのだ
さてこれは「昔の電話」を作ったときの思い出。このとき作った電話器は、いまも壁に掛けて飾ってある。部屋に馴染んでいる工作である
投影されるのはぼんやりした像になるため、人物など被写体が大きく映っている写真が向いている。風景を映すと幻想的かも? と思ってやってみたけど、何が映ってるのか判別できず、結果はいまいちだった。
これは最近の思い入れ深い記事から「駐車場の空・満表示」。文字にパースが付いて、アニメのロゴ風に変貌している。枕元にこいつがあれば、いつでも空・満の夢を見ることができる。メガネをかけたまま寝ている点については無視して欲しい
動いている様子は動画でどうぞ。暗いBGMにしたら不吉感が強すぎたため、さほど不安にならない程度の音楽にしてみた。これがなかなか、ちゃんと走馬灯が回っているみたいに見える
またデジタル走馬灯なら、ただ画像を投影するだけでも楽しむことができる。
織田信長を映してみたら、意外とそれっぽくなった。新しいスクリーンの形として、走馬灯を使うのはありかもしれない
気分によって柄が変えられるデジタル定礎が誕生した