特集 2017年10月31日

扇風機をしまうのが面倒くさい人のための、扇風機しまいセレモニー

扇風機をしまうセレモニーをやりました。
扇風機をしまうセレモニーをやりました。
季節ものの家電をいつまでもしまわない。
そういう方、多いのではないだろうか。
どうしたらしまうだろうかと考えて、扇風機をしまうセレモニーを開くことにした。
そうしたら、扇風機をしまうことができたのだ。
1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

前の記事:映画を撮らない、という強い気持ちがあればオーディションだけ体験できる


扇風機をしまわない

優先順位が低い用事に関しては、昔話に出てくるレベルでずぼらでものぐさである。
見えないところは掃除しないし、予定のない休日は一日中ゴロゴロしている。
そして、扇風機をしまわない。
去年は夏を終えて、秋が来て冬が来て、年を越した2月までしまわなかった。
もう次の夏まで出しておけばいいんじゃないかと悩んだほどである。
これがずっと家の中にある。秋も冬もある。
これがずっと家の中にある。秋も冬もある。
秋や冬はタオル掛けとして使っていた。
秋や冬はタオル掛けとして使っていた。
タオル、他に掛けるところあるのに。
扇風機も本意ではなかっただろう。
申し訳なかった。

そんなに手間のかかることではないのに、なんでしまわないのだろうか。
扇風機のしまいやすさは、今の段階で十分である。
きっと手間の問題ではない。
なんだか分からないがなんとなくやらないのだ。

セレモニーにするのだ

そこで、押してもダメなら引いてみろ、の理論で考えた。
こちらである。
頬が緩む愛くるしさ。
頬が緩む愛くるしさ。
平成29年 扇風機 片付式である。
平成29年 扇風機 片付式である。
セレモニーにするのだ。
逆に手間をかけて大げさにすれば、しまわないわけにはいかないだろう。
なんたって手間がかかっているのだ。
結果を残さなくては意味がない。

では、準備ができたので扇風機を片付ける扇風機片付式、開式である。
果たして扇風機はしまえるのだろうか。

1.扇風機 入場

威風堂々の音楽とともに入場。ちなみに、片付式は卒業式をベースに式次第を組んでいる。
威風堂々の音楽とともに入場。ちなみに、片付式は卒業式をベースに式次第を組んでいる。
凛々しく見えるのは、一回分解して掃除したから。
凛々しく見えるのは、一回分解して掃除したから。
帽子をAmazonで買って、花は紙を買って作り、紅白幕はレンタルした。
こうして道具を揃えてあらためて扇風機を見てみると「ああ、この子はこれからしまわれるんだな」という実感が湧いてくる。
見ているこちらも段々覚悟が決まってくるのだ。
筆者は、扇風機を送り出す担任の先生の立場で列席します。
筆者は、扇風機を送り出す担任の先生の立場で列席します。

2.卒業証書 授与

次は、卒業証書の授与である。
作った。
作った。
卒業証書を用意した。
筒は、何年か前に「ご自由にお持ちください」のワゴンが道端にあって、その中に入っていたのでもらった。
なんでももらっておくものである。
読み上げる。「我が家に涼を与えた功績 誠に大であります」
読み上げる。「我が家に涼を与えた功績 誠に大であります」
おめでとう!
おめでとう!
卒業証書をもらった扇風機。さらに凛々しくなった。
卒業証書をもらった扇風機。さらに凛々しくなった。

3.送辞

在校生代表、炊飯器である。
在校生代表、炊飯器である。
まだしまわれない家電からの送辞である。
炊飯器を見つめる扇風機。
炊飯器を見つめる扇風機。
(家電同士でコミュニケーションを取っている)
(家電同士でコミュニケーションを取っている)
(式ももう中盤である)
(式ももう中盤である)

4.答辞

扇風機からの答辞である。
今度は人間にも分かるようにパフォーマンスで答えてもらった。
首振りの「強」である。
首振りの「強」である。
何か言っている感じはする。

5.仰げば尊し 斉唱

みんなで歌う。
みんなで歌う。
ここまでくるといよいよしまうのだな、という気持ちになってくる。
大きな流れの中に含まれているような気持ちだ。
しまうしまわないは、最早僕の意思ではコントロールできない。
この扇風機はしまわれる運命にあるし、扇風機もそれを望んでいるのが分かるのだ。
だったら気持ちよく送り出そうではないか。
そんな思いで、歌を歌った。

閉式

式が終わった。
思い残すことはないか、と考えた結果、最後に記念写真を撮ることにする。
あんなにしまわなかった扇風機なのに、今はしまうことを前提に行動している。
これがセレモニーの力である。
最後に記念撮影。
最後に記念撮影。
帽子を空に投げるやつをやりたかったのだが、なんか思っていたのと違う。
帽子を空に投げるやつをやりたかったのだが、なんか思っていたのと違う。
現像に失敗した写真みたいになった。

いよいよしまう

箱、入場。
箱、入場。
ああ、
ああ、
ああああああ、
ああああああ、
ああああ、箱に入った。これを、物置に持っていって、
ああああ、箱に入った。これを、物置に持っていって、
しまった…!
しまった…!
しまった。
扇風機をしまったのだ。
ついにしまったぞという達成感より、寂しさの方が強い。
10月末に扇風機をしまって寂しいという感情もなかなか体験できるものではない。

何はともあれ、今年は扇風機ときちんとお別れできた感触がある。
セレモニーの力はすごい。
これで、心置きなく前を向いて冬と対峙できるというものである。
失恋してひとり旅に出るようなものだ。
儀礼的な体験を経て初めてきちんとお別れをし、次の恋へと気持ちを向けることができるのだ。

簡単に済まそうと思えばいくらでも簡単にできることをくどくどと反復したような感じがするが、実はここからすごい推進力が生まれるのではないだろうか。
だからとにかく今日はいいことをしたなあと思った。
記念写真をたくさん撮りたくなる。
記念写真をたくさん撮りたくなる。

みんなで歌った仰げば尊しは、扇風機用に『そよげばすーずし』として歌った。
この時。
この時。
せっかくなので歌詞を載せます。
せっかくなので歌詞を載せます。
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