最初は誰もできなかった
練習をしたきっかけはデイリーポータルZ15周年の打ち上げで披露するためだった。
一芸を披露する参加者たちのグループチャットで打ち間違えて、注文をした感じになったことも今ではいい思い出です。
色々な人が、ちゃんとした一芸を決めていくなか、コーラの早飲みだけでは足りないと思い、空中で回したコマを手のひらでキャッチして、それが回っている間にコーラを飲みきるという芸にした。
コマのコツは練習しかないのだが、コーラの早飲みは正直簡単にできるだろうと思っていた。試しに250mlのコーラでやってみたところ、これが思いのほか難しかったのだ。難しいというより、のどが痛い。
「余裕だと思うね。」
2口目くらいからのどが炭酸で痛い。爽快感の飲み物がのどを襲う。
炭酸の刺激がこれほどきついとは思わなかった。
なんとか飲みきったがこれを500mlでやれる気がしない。
コーラではなく牛乳とかでやりたい気持ちが芽生えるほどの絶望感だった。そういえば、中学生のとき牛乳1リットルを飲んでお腹を壊したことがある。若気の至り。
なにごとも練習だろうと思ったので、別日に練習をすることにした。そのとき偶然、コーラの早飲みを成功させるメソッドを見つけたのだった。
おかげさまで今ではコマを回しながらコーラを飲めるようになりました。
コーラの早飲み講習会開催
今回、発見したメソッドを使えば他の人でもできるようになるのではないか。そう思い人が集まるときに講習会を開催した。
受講者の皆様。特にライターの萩原さんはコーラが好きらしいのでもってこいである。
もってこいと書いたが、萩原さんは一気に飲むことが少なくなったらしい。もってこいじゃなかった。
さて、講習会の始まりだ。(書き方が地獄の始まりだ、と同じだと思った。)
気持ちを作る
最初に大事なのは気持ちである。のどがかわいている状態をイメージして、コーラを飲みたい気持ちを作るのだ。
具体的には、風呂上がりや砂漠でのどがカラカラの状態などである。「砂漠でカラカラのときには水を飲みたい」という声が聞こえてきたが、人それぞれだから。あと、ポカリがいいと思う。
砂漠で大量のコーラを見つけたら興奮してしまうと思う。
少しだけふたを開けておく
ここからが具体的なメソッドになる。早飲みをするのに一番大変なことはなにか、それは炭酸である。炭酸によってのどが痛くなり、そのせいで飲みきることができない。その原因である炭酸をどれだけ少なくできるかが早飲みのカギとなる。
そこで、早飲みをする前にばれるかばれないかぐらい、少しだけふたを開けておく。事前に炭酸を抜いておき、飲みやすくするのだ。
「プシュー」とした音が部屋に響き渡る。
「全部、開けておいていいのでは?」と疑問の声があがる。
この質問が出たとき、「あっ」と思ったが、「いやいや、開いていない方が見栄えがいいので!」とかなり早口になりながら反論していた。動揺を隠せないタイプなのだ。
また、「ふればいいのでは?」と質問を頂いたが、泡が出ていたら見た目が悪いので、ふらない方がいい。世の中の全てのものは見栄えがいい方がいいのだ。
そういうことにしておいてください。
常温にしておく
コーラは冷たい方がおいしいが、早飲みをする場合は常温に近い方がいい。炭酸の刺激が弱くなるのだ。キャップを開けておくのと、常温にしておく方法に気づいたのはコマの練習をしているときに、キャップをあけたまま練習をしていたところ、コマが飛んで行き、探していたら常温になっていた偶然から発見した。
メソッドも見つかったが、コマも無事に見つかってよかった。
真冬の外などでなければ、20分も置いておけば常温になると思う。関係ないがコマを探したのは15分くらいで、練習していた場所のすぐ近くにあるベンチの影で見つけた瞬間、(灯台下暗しってこれだな)と思った。よくできたことわざだ。
ししおどしで飲む
こちらは他のメソッドに比べて、わかりにくいかもしれない。日本庭園によくある切った竹に水がたまると、パコーンといい音がするものがあるだろう。あの原理を使うと少し楽に飲める。
「飲みきれないと思ったら、ペットボトルを離さないまま口の中にためて、」
「一気に飲むんです!」
炭酸でのどがつらくなったとき、少し口の中でためておくことでのどの回復を待ち、たまりきったら飲むのだ。
このとき注意したいのがペットボトルから口を話してしまうと早飲みをしている雰囲気がなくなってしまうので、必ずつけたままにしてほしい。最悪、時間がかかっても口をつけたままにしとけばそれっぽく見える。
まさかこのとき、彼はこのししおどしに救われるとは夢にも思っていなかっただろう。
できない場合はビンがおすすめ
一般的な500mlで色々と工夫したがどうしても飲みきれない場合、ビンがおすすめである。売っているところが少なく手に入りにくいが、200mlと量がすくないため、飲みやすい。
しかも、大きさがあるので見た目は量を多く飲んでいるように見えるメリットもあるのだ。
コーラではないが、左の方が小さく見えるかもしれないが実際は350ml、右は200mlしかない。目の錯覚を利用した裏技。
早飲みメソッドを使ってコーラを飲んでみる
1人1本でやろうと思ったが、それだとメソッド前とメソッド後で1リットル飲むことになる。それだと飲みきれなくて泣いてしまう人が続出し、悲しい雰囲気になってしまうと思うのでメソッドを使わないコーラとメソッドを使ったコーラ、それぞれの早飲みをコップ1杯でしてもらい、炭酸の違いを感じてもらうことにした。
コップ1杯でもきっと大変だろうと思ってほくそ笑む。
最初はなにもしていないコーラを飲んでもらう。コップ1杯でもきついはずだ。
「よーい」
「はじめ!」
(苦戦するはずだ)そう思った瞬間、萩原さんが飲みきった。早い。
みなさん、すぐに飲み終わった。
編集部の橋田さんが少し苦戦をしただけだった。
苦笑いが隠せない。
「これはあくまで練習なんで、これが500mlだったらきついですよ」と弁明をした。
次はメソッドを使って飲んでもらう。きっと飲みやすくなっているはずだ。
不安。
まずは全員にのどがかわいている状態をイメージしてもらう。
はじめ!
早い!
橋田さんも早い!
「コップぐらいの量だとししおどしを使わないでも飲めた」「確かに炭酸の刺激が減って飲みやすい」「常温のコーラってこんなに甘いのかと思った」「500mlはこれでもきついと思う」と受講者の皆様から色々なご感想を頂いた。
しかし、皆さん簡単に飲みきるではないか。もしかしたら簡単な芸なのかと心配になる。
このメソッドを使ったコーラは普通の人でも飲めるのか確認したい。
そこでトルーさんにお願いした。別に大食いや早食いが得意ではない。
トルーさんにこのメソッドを使って飲んでもらう。さぁ、早く飲みきれるのだろうか。成功してほしい気持ちと体を大事にして欲しい気持ちがある。
「サライ」とか「負けないで」をBGMで流して見てほしい。
今までこんなに手に汗をにぎる、早飲みがあっただろか。24時間テレビのマラソンを見ているような気持ちになり、応援をしたくなる。
トルーさんと知り合って2年ぐらい経つがこんな顔を見たことがない。
感想を聞くと「コップのときにはししおどしを使うほどではなかったですが、こんなにも重要な技だとは思いませんでした。すごく助かりました。」やはり、コップとペットボトルでは世界が違うのだ。
トルーさんの様子を見て、負けていられない気持ちになった。先生として力の差を見せつけたいと思う。
実力を示したところで早飲みするための5つのメソッドを覚えて帰ってください。きっといつか役に立つはず。
コーラを早飲みするための5つのメソッド
・のどをカラカラにするイメージを作る
・フタを少しだけ開けておく
・常温にしておく
・ししおどしで飲む
・どうしてもダメならビンがおすすめ
15周年のときには合計2.5リットル飲みました
昔、コント赤信号のリーダーがコーラの早飲みのコツを聞かれたときに「無理をすること」と言っていた。多少の無理は必要だが、メソッドを使えばそこまで難しい芸ではない。ただ、体調と健康には気をつけて!