日本のタラモサラダの作り方を再確認
まず、日本でいうところの「タラモサラダ」の作り方を確認しておきます。
辛子明太子とジャガイモ。普通のタラコでも構いません。
材料や作り方は様々なレシピにより微妙に違いますが、明太子またはタラコ、ジャガイモはどのレシピでも同じです。ジャガイモは皮がついたまま蒸して、熱いうちに皮を剥いて潰しておきます。
明太子は薄皮に切れ目を入れて中身を出します。
マヨネーズを使えば簡単。
ジャガイモと明太子を、マヨネーズ、塩、胡椒などと共に混ぜ合わせれば出来上がりです。
ポテトサラダもいいが、こっちもうまいよね。
刻んだ玉ねぎやキュウリを入れたり、マヨネーズではなくオリーブオイルやバター、牛乳を使うレシピもありますが、シンプルに混ぜる程度で十分美味しく作れます。
まずはビールですな。
タラコの魚卵の旨味がジャガイモの甘味に包まれ、塩気と共にバランスよく感じられます。マヨネーズのコクや、黒胡椒のスパイシーさも合わさり、ご飯によし、酒のよし。男女問わず、幅広い年齢層に好まれる味です。
大人だからご飯じゃなくて、ビールと一緒に食べるさ。
材料も作り方も簡単なので、ちょっと1品欲しい時には丁度いいかもしれません。
塩と糠で毒が消えた珍味
本場のコイやボラの塩漬けの卵に代わり、タラコで美味しく出来るならばと試してみたのが「ふぐの子糠漬け」です。名前は聞いたことがあると言う人はそれなりにいると思いますが、食べた事のある人は少ないのではないでしょうか。石川県の珍味です。
ふぐの子糠漬け。糠は洗わずにそぎ落とします。
フグの卵巣には猛毒のテトロドトキシンが含まれ、調理の際には厳重な管理の下、廃棄処分されます。この卵巣を大量の塩で1年から1年半ほど塩漬けにして、さらに1、2年糠漬けにするとなぜか毒が消えます。江戸時代には既に作られていて、毒の消える原理はいまだによく分かっていないそうです。
石川県の中でも、白山市の美川地域、金沢市の金石、大野地区など、限られた地域の許可を受けた業者のみが、今も伝統の製法を守って製造しています。出荷の際には公的な機関により毒性検査を受け、安全性が確認された物だけが出荷されているので安心して食べられます。
そのままでも食べられるが、ちょっと炙った方が美味しい。
味の方ですが、濃厚なチーズというか、濃い味噌とでもいいましょうか。強い旨味を感じます。ただ、かなり塩辛いので、そのままよりかは、お茶漬けにするなどして食べられています。
このふぐの子糠漬けをタラモサラダのタラコの代わりに使います。タラモならぬフグモサラダです。
小ネギの風味が全体をまとめます。
【材料】
・ふぐの子糠漬け:1cm厚ぐらいのものを1、2切れ。お好みの量で。
・ジャガイモ:2個
・小ネギ :大さじ2ぐらい
・マヨネーズ:大さじ1/2
・黒胡椒 :小さじ1/2
ふぐの子糠漬けは、軽く焼いてほぐしておきます。あとの作り方は通常のタラモサラダ同様。蒸して潰したジャガイモと各種材料を混ぜわせれば出来上がり。
酒の肴に最高です。
ふぐの子の塩気がジャガイモの甘味で程よく感じられ、旨味も穏やかに味わえます。小ネギが入ることで、いいアクセントとなり、味にメリハリが出ます。
ビールでもいいですが、これは日本酒ですね。
タラコを使ったタラモサラダと比べて旨味や塩気が強めなので、ご飯向けというよりも酒向けの1品です。
いやー、酒がススム味だねえ。
ふぐの子糠漬けは、通販で手に入れるか、東京ならば有楽町の交通会館に入る物産店で手に入ります。試してみたい方は、その辺りで入手してやってみてください。
他の魚卵でもやってみよう
今回はふぐの子糠漬け以外にも幾つかの魚卵でタラモサラダを作ってみました。以下の4種類です。
チョウザメの卵。キャビア。
トビウオの卵。トビコ。
ニシンの卵。カズノコ。
ししゃも(カペリン)の卵。
結論を先に言いますと、トビコとカズノコあたりが良かったです。
魚卵とジャガイモの組み合わせなので、不味くなる要素も少なく、概ね美味しいものとなりました。
順番に見るか、気になるものから写真をクリックしてみてください。
キャビアのタラモサラダ
最初のタラコ以外のタラモサラダはキャビアです。
15g入りで3000円程でした。寄り過ぎて白飛び。
キャビアはカスピ海などに生息するチョウザメの卵を塩漬けにした物。言わずと知れた高級品です。よく似た代用品として、ランプフィッシュの卵を黒く着色したランプフィッシュキャビアがあります。そちらはチョウザメのキャビアの10分の1ぐらいの価格で入手可能です。今回はチョウザメのキャビアの方を使っています。
この1杯で1000円分ぐらいになるのか。
タラコ以外の魚卵のタラモサラダの作り方は、一番シンプルな作り方で作ります。蒸して潰したジャガイモに各魚卵を適量加え、マヨネーズ、塩、黒胡椒を適量加えて味付け。試作なので、目分量で適当に味を見ながらやります。
キャビアタラモサラダ。卵の一部が割れて黒く変色。
出来上がったキャビアタラモサラダは、やや黒く変色して色味はちょっと悪くなってしまいました。先にジャガイモだけ調味料と混ぜ合わせ、キャビアは最後に入れてそっと混ぜ合わせた方がいいかもしれません。
流石に味はいいね。とはいえ値段を考えるとなあ。
食べてみると、魚卵の旨味が穏やかに感じられ、ジャガイモの甘味とよく合っています。キャビアの塩気を考慮して、マヨネーズや塩は抑えて入れたところ、やや物足りない感じになったので、マヨネーズや塩は少し多めでも問題ないでしょう。
まあ、味は悪くはないのですが、値段が値段だけに、混ぜ合わせたりしないでシンプルにそのままを食べた方がいいのだろうなと、どうしても思ってしまいます。
トビコのタラモサラダ
続いてのタラコ以外のタラモサラダはトビコです。
見た目鮮やか。イクラのように軍艦巻きに乗って出てくる事があります。
トビコはトビウオの卵を塩漬けにした物。粒がしっかりとしていてプチプチとした食感がよく、寿司以外にも様々な料理に彩りとして添えられる事があります。
本来は金色がかった黄色で、赤い物は着色されている事が多いようです。
トビコタラモサラダ。混ぜても粒が潰れず色鮮やか。
キャビアよりもかなり粒が硬く、混ぜ合わせても粒はあまりつぶれなかったようです。全体的に赤い粒が並び見た目も綺麗です。
これはいいね!歯ごたえも新鮮だ。
食べてみると、塩気や魚卵の旨味が程よく感じられ、プチプチとした歯応えがとてもいい。大変美味しいです。このままでもいいですが、フグの子糠漬けのように、小ネギを足すとより味が冴えてきそうです。
見た目も鮮やかなので、盛り付けなど色々工夫をすると、インスタ映え的な料理になるかもしれません。
カズノコのタラモサラダ
続いてのタラコ以外のタラモサラダはカズノコです。
手でちぎって細かくする。少し大きめの塊でも可。
カズノコはニシンの卵を塩漬けまたは天日干しにしたもの。粒の多さから子孫繁栄を思わせ、お節料理の定番となっています。年末には誰がそんなに買うのだろうかと思うぐらい店に並びますが、時期的にあまり売ってなく、味付きの物をかろうじて入手しました。
カズノコタラモサラダ。カズノコが入っているようにはあまり見えない。
カズノコはあまり細かく粒が分かれなかったので、小さな塊のまま混ぜ合わせました。色が割と近く、潰しそこなったジャガイモのようにも見えます。
コリコリがいいね。味もしっかりしている。
食べてみると、カズノコに当った時のコリコリとした歯応えがよく、味つきの数の子なので、ダシの味がジャガイモの甘味とよく合います。崩れなかったので小さな塊のまま入れましたが、むしろ荒く崩しておくと歯ごたえがよく美味しいと思います。
あと、全体的に白いので、小ネギを足すとか、梅肉を少し混ぜるなどしてもいいかもしれません。
シシャモのタラモサラダ
最後のタラコ以外のタラモサラダはシシャモの卵です。
焼いたり、潰したりが面倒になり、卵は2匹分。
シシャモは北海道の太平洋沿岸の一部でしか獲れない魚で、スーパーなどでよく見るシシャモは、カラフトシシャモ(カペリン)とかキュウリウオという別の魚です。今回の物もそちらになります。とりあえず、シシャモとしておきます。
シシャモタラモサラダ。割と粒がわかる。
シシャモは焼いて卵だけ取り出し、潰して粒状に分けておきます。身はそのまま食べて、卵だけジャガイモに混ぜてマヨネーズ、塩、黒胡椒で味付ければ完成です。
ちょっと臭みはあるが、これはこれでいいかな。
食べてみると、魚卵の旨味とジャガイモの味がよく合っていて美味しいです。ただ、シシャモ特有の味がやや生臭く感じるので、香ばしくなるまで焼くか、ネギや生姜、ハーブ類などを足すといいかもしれません。
でも、正直なところ、シシャモは焼いたそのままを食べるのが美味しいよな、と思うところです。
魚卵以外でもいけるかもしれない
タラコの代わりに各種の魚卵を使ったタラモサラダは、リピートするかどうかは別として、概ねどれも味は良かったです。先にも書きましたが、魚卵とジャガイモ。卵と炭水化物。合わない組合せを見つける方が難しいでしょう。
ホウキグサの実を加工した秋田の名産品で、その色から畑のキャビアとも言われる「とんぶり」などでも、大体美味しく出来そうです。ジャガイモは守備範囲が広い。
イクラでも試そうかと思いましたが、混ぜる時に潰れそうだし、不味くなる訳がないので、ご飯に乗せて食べてしまいました。魚卵と炭水化物の組み合わせ最高。