特集 2017年8月1日

プレミアムフライデーかどうかはおれが決める

バンコクか台北みたいな写真ですが、正解は後半に!
バンコクか台北みたいな写真ですが、正解は後半に!
酒は好きだが飲み始めるのが遅い。
取材とか撮影が終わってから飲むのでスタートが10時ぐらいになる。あっというまにラストオーダーである。もっと早い時間からゆっくりと飲みたい。

そこでデイリーポータルZで飲酒記事を得意としているライターふたりに飲みに連れて行ってもらう企画をお願いしたところ、4時集合という連絡がきた。

4時!

予想したより早いがプレミアムフライデーだと思えばいいじゃないか。
ぜんぜん金曜日じゃないけど。
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと新宿区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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ナビゲーターはパリッコさんとスズキナオさん

どちらも今年の4月からデイリーポータルZに参加しているライターである。

実はパリッコさんが書いた記事をスズキナオさんのものだと思っていたことがあった。

ふたりとも 1.玉置さんの記事に登場している 2.酒が好き 3.文章がこなれている 4.音楽をやる 5.カタカナ という共通点がある。

しかし、ウェブマスターである僕がライターを間違えるとは恥ずかしい。今回の記事の裏テーマは「パリッコとスズキナオを見分ける」である。
並んでもらうとぜんぜん違う
並んでもらうとぜんぜん違う
集合した瞬間にこの企画の(裏)目的を達成してしまったのだが、よりいっそうふたりを知りたい。いや、珍しい飲み屋にも連れて行ってもらいたい。

1軒目 飲める弁当屋

最初の店からすごかった。これを1曲目に持ってくるというのはかなり気合が入ったセットリスト作ってきたなと背筋が伸びる。
1軒目、セレクトショップタクマ
1軒目 セレクトショップタクマ
セレクトショップ という名前だが弁当屋である。場所は築地。24年前、新社会人としてこのあたりで働いていたのだが、まったく知らないセレクトショップだ。
セレクトショップの新業態としてBEAMSの人に教えてあげたい。
横から入ると国際宇宙ステーションのような飲食スペースがある
横から入ると国際宇宙ステーションのような飲食スペースがある
タクマではお弁当屋であるメリットを活かして、弁当のおかずをつまみとして頼めるのだ。弁当のおかず+発泡酒で500円。つまみ2品と発泡酒1本で500円のセットもある。安い。
まるで家飲みだ。最高だ。
まるで家飲みだ。最高だ。
写真をよく見るとすでに奥のカツ煮を食べたあとの写真だったのでカツ煮の完全な状態の写真も載せておく。
完全なカツ煮。村上春樹なら「完全なカツ煮というものは存在しない。ただし午後4時に弁当屋の奥で食べるものを除いては」と書くぐらいのカツ煮。
完全なカツ煮。
村上春樹なら「完璧なカツ煮というものは存在しない。ただし午後4時に弁当屋の奥で食べるものを除いては」と書くぐらいのカツ煮。
狭いところ・カツ煮という僕の2大好物が揃って最高である。二人ともあっというまに打ち解ける。もう間違えない。
この宇宙ステーション最高だ
この宇宙ステーション最高だ

コスプレもできるしカラオケもある

さっきから背景にタイガースのユニフォームが見えるが、これは着用可能である。
ただ気になるのはひとつ作業着が混ざっていること
ただ気になるのはひとつ作業着が混ざっていること
タイガース、タイガース、用具係のおじさん、である。スズキナオさんは大阪在住なのでさすがにタイガースのユニフォームが似合う。
そこに店の主人が写真を撮るならとこれも使えと小道具を持ってきてくれた。
それが拳銃型のライターと日本刀だった
それが拳銃型のライターと日本刀だった
飲み屋なんだから片手にグラスも持つべきだろう。
そしてこうなる。 この写真が200年後に発見されたら21世紀の文化について議論になるだろう
そしてこうなる。
この写真が200年後に発見されたら21世紀の文化について議論になるだろう
驚くべきことはこれでまだ夕方5時前ということである。プレミアムフライデーは最高だ。半休、早退、年休、退職などの制度を使えばいつでもプレミアムフライデーにできるのだ。

カラオケもある

コンパクトな店内だが、カラオケもある。
尾崎豊を歌うスズキナオさん
尾崎豊を歌うスズキナオさん
スズキナオさんの歌を聞きながらパリッコさんが「うまいなあ~」となんども言っていた。たしかにうまい。僕も「うまい!」と言った。
それで36点が出たときは記事を面白くする神様が降りてきた!と思った
それで36点が出たときは記事を面白くする神様が降りてきた!と思った
36点を見つめるスズキナオさんも最高だ。

セレクトショップタクマ

周辺の店に負けない業態を考えた結果、この形になったというお店。同じ建物の上の部屋をAirbnbで貸しているというので、ここで飲んでそのまま泊まることもできる。そんな東京知らなかった。
ご主人と奥さん
ご主人と奥さん

東京都中央区築地2-7-8

2軒目 ホテルの自販機コーナーのような立ち飲み屋

次の店は新橋だそうだ。歩いて築地から移動する。そのあいだソフトクリームを食べたり小便禁止の看板を写真に撮ったりして夏を満喫する。
自然が産んだ大喜利
自然が産んだ大喜利
おもしろライター根性を刺激されて路上でブレストする
おもしろライター根性を刺激されて路上でブレストする
夏の夕方に看板の穴埋めを考えるなんて青春っぽいな、ZONEの歌みたいだな、とこのとき思ったのだが、彼女たちはそんなことは一切うたってない。
2軒目は第一京浜沿いにある「ベンダースタンド酔心」である。
2軒目は第一京浜沿いにある「ベンダースタンド酔心」である。
店内は壁沿いにぐるりと酒類の自動販売機が並び、中央のカウンターで立って飲むスタイルである。はじめて見るスタイルだ。
宇宙ステーションよりは広くなったが、ジャミロクワイのPVセットぐらいの広さ
宇宙ステーションよりは広くなったが、ジャミロクワイのPVセットぐらいの広さ
しかしこの雰囲気は何かに似ている。ビジネスホテルの自動販売機コーナーだ。氷結とかたこ焼きが売ってて、製氷機があるところ。
あれが広くなって飲めるカウンターがあると考えればいい。
最近すっかり見なくなった瓶ビールの自動販売機
最近すっかり見なくなった瓶ビールの自動販売機
ぶら下がっている栓抜きであける
ぶら下がっている栓抜きであける
コップは店内に用意されている
コップは店内に用意されている
自動販売機で買った瓶ビールをその場であけて飲むだけで笑ってしまう。若干アウトローなことをしているのに礼儀正しくお酌をしているアンバランスさだろうか。
それともパリッコさんが持ってきたマイグラスがおかしいのか
それともパリッコさんが持ってきたマイグラスがおかしいのか
マイグラスというかプラスチックのお皿?である。間違い探しのなかにいる人のようだ。僕らの写真の欄外に逆さの文字で「中央の男性のコップがお皿」と書かれているだろう。
つまみも自動販売機で売っている
つまみも自動販売機で売っている
タバコを吸いながらひとりかふたりで飲んでいる人が多い。タバコが吸えない飲み屋も多いのでここに集まってきているのかもしれない。
そして気づいたら客が全員男性だ。完結した世界、という感じがする。
我々のチームには撮影係として編集部の古賀が同行している
我々のチームには撮影係として編集部の古賀が同行している
なんだかレンタルビデオのアダルトコーナーに女性が入ってきてしまったときのような気まずさを感じてきたので(中にいる男性がのら猫のようにそっといなくなるあれだ)、ビール2本で3軒目に移動することにした。

ベンダースタンド酔心

東京都港区東新橋2-5-14
新商品も当然自動販売機で売られているものである
新商品も当然自動販売機で売られているものである

3軒目 ついに壁がなくなる

新橋から15分ほど歩いて有楽町へ。ガード下の店だそうだ。有楽町のガード下ってたまに観光客相手のまずい店があるけどそこじゃないよな…と思っていたがまったくの杞憂であった。
100%杞憂。
またも自動販売機コーナーだから!食安商店
またも自動販売機コーナーだから!食安商店
自動販売機の酒に当たり外れなし!近代ってすばらしい。
と思ったら、ここは自動販売機だけではなく、夜だけ有人の売店が開くのだという。
つげ義春のまんがでこういうドアを見た気がする
つげ義春のまんがでこういうドアを見た気がする
売ってるのはプロセスチーズや乾き物など、アミノ酸ポルノなラインナップ。好きなドリンクとつまみをゲットしたら席は自由である。
オープンエアのカウンターで立って飲むもよし
オープンエアのカウンターで立って飲むもよし
テラス席(でっぱり)に座って飲むのもよい
テラス席(でっぱり)に座って飲むのもよい
でっぱりに座って飲んでいると1軒目のセレクトショップタクマが去年のできごとのようである。タクマにはイスもあったし屋根もあった。2軒目でイスがなくなり、そして3軒目で壁がなくなった。

「飲み屋」という概念がどんどんソリッドになっていく。

しかしここはどこかね

ここは有楽町、電気ビルの向かいである。東京に住んでいてなんどもここを通ったことがある。国際フォーラムでイベントをやったこともある。でもこの店にはまったく気づかなかった。
右の人の群れが食安
右の人の群れが食安
街の姿は見る人によってぜんぜん違うのだ。スズキナオさんとパリッコさんが切り取る東京は新鮮である。

かつて僕の上司が目印すべて中華屋という地図を描いて渡してくれたが、人によって見える世界は違う。たぶんあの上司の目には世界は中華屋で溢れていたのだろう(なんという多幸感!)
旅行に来たみたいだ
旅行に来たみたいだ
バンコクやジャカルタで「ここはただ道端に座ってのんびりしている人が多くていいね」と言った記憶があるが、東京にもそういう人はいるし、そうやって旅行気分で過ごすこともできたのだ。僕が見てないだけで。
パリッコさんがカバンに入れていたチーズの角がなくなって笑ったり
パリッコさんがカバンに入れていたチーズの角がなくなって笑ったり
「すごくぬるぬるです。ぬるぬるですよ!」韓国のりがぬるぬるで笑ったりした。
「すごくぬるぬるです。ぬるぬるですよ!」韓国のりがぬるぬるで笑ったりした。
でもなんでそんなに笑っていたのかは思い出せない。でも飲み会ってそんな刹那なものですよね。
そうだ。今回の裏テーマはスズキナオさんとパリッコさんの区別である。えーと。
よし、大丈夫だ。酔ってない。
よし、大丈夫だ。酔ってない。
でもここまでやると酔ってる感じがある
でもここまでやると酔ってる感じがある

食安商店

東京都千代田区有楽町2-4-3

ラスト、ふつうのスナック

路上を満喫して、最後の店である。食安商店以上の店があるのだろうか。

1軒目のタクマで聞いた話だが、スズキナオさんとパリッコさんは酒飲みユニットを結成しているそうだ。それってつまりただの飲み友達か?と質問したところ、「もっと緊張感があります」とのことだった。

たしかにここまでの店のチョイスを振り返ると、珍しくていい店を紹介しないといけないのがわかる。緊張感という言葉の意味がようやく分かってきた。
そんなふたりが選んだ4軒目はここである。
食安商店のすぐ横に入り口があるこの店…
食安商店のすぐ横に入り口があるこの店…
普通!いすがあって壁がある!最高!
普通!いすがあって壁がある!最高!
しかし有楽町にありながらこぢんまりとしたスナック感がいい。
屋根があることに気が緩んだのか、ここで一気に酔った。立ち飲み&外は緊張感があるので酔わないのかもしれない。
人類が野っ原で過ごしているころよりも家を作って住むようになって寿命が伸びた理由がわかる。屋根と壁は最高だ。
わかりやすく酔ってるふたり
わかりやすく酔ってるふたり
わかりにくいが酔ってる古賀
わかりにくいが酔ってる古賀
最後の方で僕の記憶が曖昧になっていたらこの記事の後半は古賀が書くことになっていたが、古賀もしっかり酔っていた。

チカロ

東京都千代田区有楽町2-4-4
店の入口を撮ろうとして指を入れるというていたらく
店の入口を撮ろうとして指を入れるというていたらく

いつでもプレミアムフライデー

会社にいて煮詰まるとこの状況が世界を覆っているような錯覚におそわれるが、ちょっと外に出ればそんなこととまったく無縁の世界がある。
旅先でよく感じることだけど、4時から飲みに行っても同じ効果があるのだ。

勝手プレミアムフライデー最高じゃないか。
スズキナオさんとパリッコさんはそういうことを僕に教えるためにデイリーポータルZにやってきたのだと思う。
勝手にいい話風にまとめた
勝手にいい話風にまとめた
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