地域限定商品でした
缶コーヒーのデザインというと本当にいろいろあるので、福岡でその「テイスティ」を手にしたときには「……どうだろう…なんか東京にもありそうな気がするし絶妙になさそうな気もする……」という思いだった(筆者は東京在住です)。
驚くほど缶コーヒーとして「どこにでもありそう」な自然なデザインなのだ。
これでもかというくらい缶コーヒーとして全うなデザイン
調べたところ、
Wikipediaに「地方限定商品」だという情報があった(ページの詳細さがすごい)。
これによると、この「テイスティ」はかつては全国で販売されていたようだ。1994年以降地域限定の販売となり東北、北陸、九州では定番品として、さらに近畿、中国、四国にもある。
北海道や関東、中部あたりで売られていないということか。
パラレルワールドこれか
限定販売というと狭い地域でしか売られていないような雰囲気があるが、実は販売範囲は広い商品のようだ。
へえーと思うとともに、缶コーヒーとして既視感の強いこの缶に、売られている地域と売られていない地域があるのがじわじわおもしろいなという気持ちになった。
福岡にも東京にも同じようにユニクロがあって無印良品があってたまにH&Mがある。そんな日本の都市の似た景色のなかに「テイスティ」がない(もしくは、ある)。パラレルワールド感覚である。
「テイスティ」なき東京
もちろん、こちらの地域にあってあちらの地域にない物事、というのはたくさんある。むしろそれが地域ということそのものだ。
しかし「テイスティ」のようなあまりにどこにでもありそうなたたずまいに、ある場所とない場所がある、厚さ2ミリくらいのズレ感がおもしろかった。
甘くて飲みやすい
うっかり染み入り地域限定販売という事態を最大限に感受してしまった。メーカーさんも地域限定販売のし甲斐があるというものだろう(えらそうですみません)。
で、最後になりましたが味だ。
一人での試飲に自信がなかったので編集部からウェブマスターの林と藤原、さらにライター北村さんにも加わってもらって飲んでみることにした。
3人とも、「テイスティ」には見覚えがないという
「テイスティ」は「エメラルドマウンテンブレンド」が発売になる以前のジョージアブランドの主力商品だったそうだ。「エメラルドマウンテンブレンド」は主役の座を奪われた相手である。
しずかにたたずむ2缶
「紙パックのコーヒー牛乳のような味がする」とは藤原。「飲みやすい」とウェブマスター林にも好評である。
ふだんカフェイン飲料はここぞというときにしか飲まないようにとってある北村さんも「むかしのコーヒー牛乳みたいでこれぐらいなら飲んでもいい気がする」との評価だった。
乳部分が、「エメラルドマウンテンブレンド」は牛乳なのに対し「テイスティ」は脱脂粉乳
「伝統」というのは「懐かしさ」なのかもしれない
ほんの少しだけちがう景色
バーンとでっかいイオンがあって、国道にはニトリがあって回転寿司とファミレスとファストフードがあって…。日本のどこの景色も同一になることをなげく的な語り口がある。
でも、そういう景色にもほんのちょっと違うことってすごくたくさんあるのだ。
「テイスティ」があったりなかったりする誤差のような二つの世界。こういうことが一番おもしろいなと思う。
福岡にはアドバルーンが飛んでいた(東京ではあまり見ない…!)