特集 2017年4月21日

三国志の英雄「曹操」のお墓は立ち入り禁止だった

中国にある「曹操」のお墓に行きます
中国にある「曹操」のお墓に行きます
三国志というものがある。魏・呉・蜀の三国が、天下統一を目指し争う中国の180年頃のお話だ。中国の歴史だけれど、小説や漫画などが日本でも出版され誰もが知る歴史の一場面だ。

そんな三国志で、魏を率いたのが、ご存知「曹操」である。三国志の中心人物の一人であるが現在は亡くなっている。当たり前だけど。ぜひお墓参りに行きたいと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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曹操、いい人

三国志といえば、「赤壁の戦い」や「三顧の礼」、「赤兎馬」など、様々なエピソードがある。また忘れてはならない人物もたくさんいるのだけれど、その一人が魏を率いた「曹操」である。
これが曹操です!(美大卒の私が描きました!)
これが曹操です!(美大卒の私が描きました!)
曹操といえば、三国志演義では悪役として描かれている。横山光輝の漫画「三国志」では、劉備玄徳が主役なので、曹操め! と思うこともある。ただ実はいい人エピソードがたくさんある人物なのだ。
曹操、海に行く!
曹操、海に行く!
具体的ないい人エピソードは「三国志」を読んでもらうとして、家柄にこだわらず、才能で人を評価するなど、曹操の素晴らしさに私は感動したのだ。そこで曹操のお墓参りに行くことにした。曹操の墓前に手を合わせたいのだ。
ということで、
ということで、
飛行機に乗って、
飛行機に乗って、
中国の「安陽」にきました!
中国の「安陽」にきました!

曹操のお墓

曹操のお墓は当然ながら中国にある。そのために飛行機で北京に乗りつけ、そこから電車2時間ほどかけ、河南省にある「安陽」にやってきた。安陽には中国の古代王朝の博物館や、大絶景を拝める「太行大峡谷」などもあるけれど、全てを見ずに曹操のお墓だ。
曹操の墓参りが目的なので、
曹操の墓参りが目的なので、
こんなものは見ずに、
こんなものは見ずに、
バスに乗り込みます!
バスに乗り込みます!
本当は安陽から倫掌に向かう「315路」という路線バスに乗り込んで、曹操のお墓に向かう予定だった。ただ安陽でいくらさがしても315路のバスが見当たらず、なんやかんやで乗り込んだバスがインディーズなバスだった。
こういうバスに乗る予定が、
こういうバスに乗る予定が、
インディーズのバスに乗り込んだ
インディーズのバスに乗り込んだ

バスがバスを抜く

インディーズなバスに乗り込み「曹操のお墓に行きたい」と伝えた。どうやらバス停ではなく、そのあたりで降ろしてくれるらしい。さすがインディーズ。対応が柔軟だ。後ろの席ではおじさんが寝ているし、出入り口ではおばさんが外に向かい何か叫んでいる。
途中で「315路」のバスを抜いていたので、
途中で「315路」のバスを抜いていたので、
このバスがインディーズバスと確信した
このバスがインディーズバスと確信した
そして、のどかなところで降ろされた
そして、のどかなところで降ろされた
でも、間違いないみたい!
でも、間違いないみたい!
安陽からバスで30分ほど走り、そこから30分ほど歩く。進むべき道に靄がかかっている。中国ではよく目にする光景だ。天気は晴れだけれど、靄がすごくて青空が見えない。曹操のお墓がより幻想的でいいではないか。
靄の中を進みます
靄の中を進みます
曹操のお墓といえば、観光地化されていて、観光客の車やバスがひっきりなしに走っていると思っていた。ただそんなことはなくて、のどかな風景だ。道の両サイドには麦畑が広がり、たまに三輪の軽トラみたいなものとすれ違う。そんな道の奥に曹操のお墓はあるのだ。
曹操のお墓に到着しました
曹操のお墓に到着しました

三顧の礼

曹操のお墓は「西高穴2号墓」というのが正式な名前で、2010年に曹操のお墓であることが判明した。最近の出来事なのだ。曹操の墓とされるものは実はいくつもあるけれど、「魏武王」と記された石碑が出土し、見つかった頭蓋骨は曹操の亡くなった66歳に相当するもので、曹操のお墓ということになったのだ。
早速、見に行きましょう
早速、見に行きましょう
ダメでした
ダメでした
本気で行けばお墓を見ることができると思っていた。だってこんな立派な展示館みたいなものがあるのだ。ただドアが閉まっており、中の人を呼んで「見たいです」と伝えても、「ノー」の一言だった。曹操のお墓参りに中国まで来たけれど、手をあわせることができないのだ。
時間をあけてもう一回、行ってみたけど、ダメだった
時間をあけてもう一回、行ってみたけど、ダメだった
現地の人に聞き込み
現地の人に聞き込み
日本語はもちろん英語も通じないので、通りすがりの英語と中国語がわかる方に、なんで見られないのか聞いた。どうやら個人観光客は中に入れないらしい。中国が許可した研究者やツアー客なら見ることができる時もあるけれど、基本的には見ることはできないと教えられた。
もう一回、行ってみる!
もう一回、行ってみる!
三国志には三顧の礼、というものがある。劉備が諸葛亮孔明を迎え入れる時に3回も足を運んだ、というエピソードだ。私もこれに習い、断られても3回交渉に行ってみた。3回目は中国語で「三国志が好き」「というか、中国が好き」「曹操がいっちゃん好き」と伝えた。
ダメだった
ダメだった

どうにか見る

三顧の礼は劉備のエピソードなので、曹操のお墓では通用しなかったのかもしれない。答えは「ノー」だった。お墓の周りには壁が作られ、忍びこめるスペースもない。仕方がないので、街を歩いてみた。曹操のお墓がある街はどんなところだろうか。
静かすぎる、
静かすぎる、
街でした
街でした
街には壊れた家々があった。人はまばらで野良犬がいた。壊れた家の壁には意訳だけれど、「お墓の調査に協力してくれたサンキョー」的な張り紙が貼られていた。いくつかのご飯屋さんもあったけれど、どれも閉まっていた。
観光客はゼロ!
観光客はゼロ!
しばらく街を歩くと、曹操のお墓を見ることのできる場所を見つけた。遠くに見える青い屋根の倉庫みたいなものこそが、曹操のお墓がある場所だ。ここに曹操がいたのだ。近くでは見ることができなかったけれど。
やっと見ることができた
やっと見ることができた
曹操のお墓です!
曹操のお墓です!
遠いけれど、曹操のお墓を見ることができた。最後にまた展示館の前を通ると、施設の方が、私が帰っていく様子を見て、「サヨナラ」とカタコトの日本語で手を振ってくれた。三顧の礼は通じなかったけれど、お墓を見に来た気持ちは伝わったようだ。もう一回、見せて、と言ったけれど、答えは「ノー」だった。ただ曹操が見えた気がした。
サヨナラ!
サヨナラ!

観光地化されるのか

曹操は三国志を代表する英雄なので、もっと観光地化されて、曹操饅頭とか、曹操ボールペンとかを売っているのかと思っていたけれど、全くそんなことはなかった。考えてみれば、バスには大勢の人が乗っていたけれど、降りたのは私だけだった。今後観光地化されて、曹操ソフトクリームなどが販売されたらまた行こうと思う。
地元の人と仲良くはなれた
地元の人と仲良くはなれた
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