特集 2017年4月1日

植物も会議を!「会樹(かいぎ)」のススメ

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われわれ植物には馴染みの薄い文化である「会議」。
人間が会社という場所に集まり毎日のように会議をしているという噂は、みなさんも聞いたことがあるだろう。街路樹のみなさんの中には、野良猫が駐車場に集ってなにか話し合っている、そんな光景を目撃したことのある方もいるかもしれない。それが会議だ。主に哺乳類の行動で、とにかく大勢で集まって何かを話し合うらしいのだ。

そんな会議を、われわれもやってみてはどうだろう。このたび、デイリーポータル木 編集部でも、「会議」ならぬ「会樹」を開催してみた。
インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(共著)がオライリーから出ました!

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会議をする室、それが会議室

ここが会議室だ
ここが会議室だ
人間たちが会議を行う際、よく使われるのが「会議室」。会議専用の部屋なのだという。(部屋というのは、四方八方を壁に囲まれた空間のこと)
こうやってテーブルを囲む
こうやってテーブルを囲む
多くの場合、会議室には大きなテーブルがひとつ、それを囲むようにいくつかのイスがある。
会議室はたいてい屋内にあるので、光合成にはあまりむかない。そのかわり、多くの場合で水分が提供されるようだ。
参加者どうしで水やりをしあう様子
参加者どうしで水やりをしあう様子
日照り続きで水分不足のときのレクリエーションにちょうどいいかもしれない。人間が使った後の会議室であれば、二酸化炭素が豊富なのもうれしい。
ただ、人間用の会議室は、木にとってはちょっと狭い。
みっちり
みっちり
生長に支障のでそうな密度。思わず間伐したくなってしまうが、会議の時間は数十分~長くても数時間なので、我慢しよう。
会樹運営のポイント
・会議室を使用
・水分を用意する

話し合おう

さて、ここからが会議の本番だ。話し合うのだ。何を?

会議をするには事前に「議題」を用意する必要がある。話し合いのテーマのことだ。それに関してみんなで意見を言い合う。
今回は『花粉症について』を議題と定めた。

議長「花粉症の原因になっているのは我々の花粉です。そういう背景のもとで、はたして我々は攻撃性をもって花粉を飛ばしていくべきなのか、あるいは申し訳ないという気持ちを持つべきか」

議長というのは、話し合いを進行する役割の木。事前に決めておくと話し合いがスムーズだ。議長の問題提起を受けて、他の出席者も自分の意見を言う。
積極的に発言していこう
積極的に発言していこう
「私は申し訳ないと思う。罪悪感はあるけど、でも止められるものではないから」
「出ちゃうからしょうがないよな」
「そうそう、悪気があるわけではないから。生理現象。」

花粉は押さえられないものだから仕方がないという意見が大多数を占める。

そんな中、それまで黙っていたひとりの出席者が口を開いた。

「でも、だからといって人を傷つけてもいいのかな…??」
「なんだと!?」
意見の違いに腹を立てて殴りかかろうとする木と、それを止めようとする木
意見の違いに腹を立てて殴りかかろうとする木と、それを止めようとする木
「どけ!」「やめてー!!」
「どけ!」「やめてー!!」
暴力沙汰に発展してしまった!

会議とはなんと恐ろしいのか。哺乳類は毎日こんなことをしているのか。さすが動物の行動、植物には考えられないほど野蛮!
……というわけでもないのだ。
ケンカはダメ
ケンカはダメ
そう、会議において暴力はNG。あくまで「話し合いで解決する」という原則で進行するのが、会議のルールであり、醍醐味でもある。
会樹運営のポイント
・事前に議題を準備する
・暴力でなく、話し合いで解決すること

会樹を終えて

話し合いを終え、会議室から退場する出席者たち
話し合いを終え、会議室から退場する出席者たち

「席についてしまえばあまり動かなくていいので、これなら植物でもできそう」
「普段あまり声を出すことがないのでいい運動になった」
「ずっと飲んでみたかったペットボトルの水が飲めてよかった」
など、おおむね好評だったようだ。
もし会樹が一般的になれば、いつかは動物と植物の合同会議なんていうのも夢ではないかもしれない。
読者のみなさんも一度、会樹を試してみてはいかがだろうか。

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