特集 2016年11月25日

神社の水玉のワンピースの女の子は大阪出身

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近年、趣味でいろいろな神社に行くようになったのだが、神社でずっと気になっていることがある。

それは、「神社の手水舎の看板の水玉のワンピースの女の子のイラストがかわいいな」ということ。

しかもこの看板、全国で見られるようだ。神社の水玉ワンピースの女の子、一体どこから来たのだろうと不思議に思っていたのだが、彼女は大阪出身だった。
生まれも育ちも横浜。大人げない大人を目指し、日夜くだらないことを考えています。ちぷたそ名義でも活動しています。(動画インタビュー

前の記事:銀座屋上の神社仏閣をめぐる


神社の手水看板については「ちょっと見てきて」でもスレッドが立っている。
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投稿は2008年。検索でこれを見つけて、「みんな気になっていたんだ」と嬉しい気持ちになっていた。投稿によると、アニメ「らき☆すた」の12話にも登場しているらしい。(「らき☆すた」は埼玉が舞台で、鷲宮神社は「らき☆すた」の聖地になっている)手水看板、かわいくて大好きなデザインなのだが、それにしてもなぜこのデザインなんだろうか。
お金持ちの家の育ちのいい女の子といった雰囲気
お金持ちの家の育ちのいい女の子といった雰囲気
ピンクの水玉のワンピースのすそにはフリルが揺れる。膝丈の膨らんだスカートのシルエットがまたかわいらしい。リボンで二つに結い上げた髪、靴下にはボンボンが揺れる。か、かわいい……。多分この女の子は中学校から私立中学に行くだろうし、学校の後は毎日塾とかピアノとかで忙しいんじゃないだろうか。きっと家には10段くらいの大きいひな人形が飾られると思う。
御嶽神社
御嶽神社
東京・御嶽山駅から近くにある御嶽神社の手水看板。ノーマルタイプ。
香取神社
香取神社
東京・亀有にある香取神社の手水の子は白っぽいワンピースだった。色が褪せたのかそれとも……。色が褪せたにしては首から上の発色の良さが気になる。

ライターの斉藤公輔さんも撮っていた。
大阪難波神社・京都宇治神社
大阪難波神社・京都宇治神社
上目黒氷川神社で撮影
上目黒氷川神社で撮影
水玉の女の子ぐらい見かける手水看板に、こちらのおかっぱの女の子のタイプもある。東京・横浜近郊では体感的にこちらの方がよく見かける気がする。
飛木稲荷神社
飛木稲荷神社
大宮八幡宮
大宮八幡宮
今まで見かけたのは水玉の女の子よりもおかっぱの方が多い。それでも、一見神社の雰囲気とは異質のレトロな水玉のワンピースを着用した可愛らしい女の子の存在が、私の記憶の中にトゲのように刺さっていて抜けないのだ。この子は一体どんな声でしゃべるんだろう? 神社で何をお願いするんだろう? まるでこの女の子に恋をしているようだ。

とはいえ、私が勝手に2大手水看板デザインだと思っている2種のデザイン以外にも、神社や寺ごとにさまざまなデザインが存在するのでちょっと見ていただきたいと思う。

その他の手水看板バリエーション

神奈川・思金神社
神奈川・思金神社
記事(『集めてみたら御朱印は楽しかった』)で紹介した思金神社。巫女さんがかわいい。
松陰神社
松陰神社
松陰神社は鳥居が黒くてかっこいい。手水の看板の存在感が大きく、いろんな言語で説明されている。かなりグローバルな看板だ。
伏見稲荷神社
伏見稲荷神社
編集部の橋田さんからもらったもの。伏見稲荷神社、2種類もあるなんて気合が入っている。
浅草・浅草寺
浅草・浅草寺
こちらは神社ではなくお寺。坊主が手水を教えてくれる!
豊川稲荷
豊川稲荷
こちらもお寺。力強い書体が語りかけてくる。


こうした、新しいデザインの手水の看板を見かけるたび、余計に水玉のワンピースの女の子への思いが募る。彼女は一体どこからきたのだろう。

女の子の手掛かりをつかんだ

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さて、そんな長年私をもやつかせていた水玉のワンピースの子だが、ついに手がかりをつかむ。押上方面に用事があり、そのついでに立ち寄った神社でまた女の子を見つけたのだ。

高木神社

東京押上・高木神社
東京押上・高木神社
押上にある高木神社だ。スカイツリーに近いという立地から、スカイツリーという新しいものと、神社という古くからあるものが一望できるのだ。最高だなー。
凛々しい狛犬
凛々しい狛犬
高木神社は「高皇産靈神(タカミムスビノカミ)」を祭神としている神社。
境内はおむすび推し
境内はおむすび推し
社務所にはおむすびモチーフが揺れる。室町時代の創祀と伝えられている歴史のある神社なのだが、遊び心があって楽しい。
御朱印をお願いしたら神社のおむすび石をいただけた。かわいい
御朱印をお願いしたら神社のおむすび石をいただけた。かわいい
そしてこの高木神社さん、SNSもやっているのだ。(@takagijinjya
Twitterアカウント
Twitterアカウント
高木神社へ参拝したことで縁ができてネット上でつながり、看板についてのお話を聞くことができた。すごい! この話を先輩にしたら、「RPGみたいですごい」って言われた。確かに。
アロエに飲み込まれる寸前のパイロンを発見した
アロエに飲み込まれる寸前のパイロンを発見した
高木神社から駅に戻る途中に生えていたアロエ。現実がRPGだったらこのアロエを収穫して傷を回復していたのかもしれない。

水玉のワンピースの女の子に迫る

高木神社の手水舎
高木神社の手水舎
高木神社さんの回答によると、「(この女の子の看板は)かなり前から使用しているようでして、看板を選択した理由は、「子供でも見た時にわかりやすいように」という至って単純な理由でした」。
高木神社の手水看板
高木神社の手水看板
「神社は古風な場所なので、昭和初期の素朴な女の子がイメージになったのかもしれないです。看板の裏側など見てみましたが、イラスト自体の作者等は記載されていませんでした。結構古くからあるものかもしれません。ちなみに、東京ではなく大阪にある神社庁のほうで頂いたようです


ここで大きな手がかり「大阪にある神社庁で頂いた」という情報をゲット! 早速大阪神社庁に看板について問い合わせてみた。

以下、大阪神社庁による回答です。「確かに、水玉のワンピースの看板はうちで頒布品としてお分かちしているものです」ということでした。ヤッター! 遂に気になっていた真相にたどり着いたぞー!
水玉のワンピースの女の子にたどり着いた!
水玉のワンピースの女の子にたどり着いた!
神社でよく見る水玉のワンピースの女の子の手水作法の看板は、大阪神社庁で今でもお分かちしているものだった。ちなみに値段も聞いちゃいました。4300円(税別)だそうです。(2016年11月現在)そして真相にたどり着く手がかりをくれた高木神社さん、めっちゃ素敵な神社なのでスカイツリー方面に行かれる際は是非立ち寄ってみて欲しいと思う。

終わりに

ワンピースの女の子の謎は解けた。そして高木神社さんからは「おまいりのしかた」の看板についても教えていただいた。「おまいりのしかた」の看板はウルトラジャンプ等で活躍されている漫画家の落合さより先生によるものなんだそうです。


神社の看板などは独自で選んでいるものなので、それぞれ個性があり面白かった。

水玉のワンピースの女の子はずいぶん昔から見かけていた気がするが、今もこのデザインのものが出回っていることを知り、変わらないものがあるっていいな……という謎の安心感を噛みしめている。

みなさんも神社やお寺に出かけた際は、それぞれ個性が現れる看板にも注目してみてほしい。
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