特集 2016年11月1日

ネギは背負いやすい野菜でした

こんなに背負いやすいとは思わなかった。
こんなに背負いやすいとは思わなかった。
「カモがネギを背負ってくる」ということわざの「ネギを背負う」という部分がどうしても気になったのでやってみた。

すると、ネギは意外にも背負いやすく、ネギを背負おうという人間に世界は優しかった。
1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

前の記事:スマホの流し読みで『学問のすすめ』は理解できるか


カモがネギを背負ってくる

「カモがネギを背負ってくる」ということわざがある。
好都合であること、おあつらえむきであることの例えである。
そのカモを捕まえるだけですぐにおいしい鍋ができるからであろう。

いや、意味はいいのだ。
今は意味はいい。
意味はいいとして、ネギって、背負えるのだろうか。
リュックやランドセルとは違う。こんな細長いものが、カモに背負えるのだろうか。
リュックやランドセルとは違う。こんな細長いものが、カモに背負えるのだろうか。

ネギの背負いやすさ

背負いやすいのだろうか。背負いにくいのだろうか。
背負えるとして、どういう風に背負うのだろうか。
疑問は尽きない。
そこで今回は特に「ネギの背負いやすさ」に焦点を当ててこの問題について考えてみることにした。
ネギは背負いやすいのでしょうか。
ネギは背負いやすいのでしょうか。

「背負い甲斐」のある野菜を求めて

ネギの背負いやすさを知りたいのなら、他の野菜の背負いやすさと比較してみなくてはならないだろう。
「他の背負いやすい野菜」とは一体なんだ。
見当もつかない。
見当もつかないので八百屋さんに来た。
見当もつかないので八百屋さんに来た。
背負える野菜を求めて訪れたのは、東京都品川区にあるヤオヤプラスさんである。
以前この記事でお世話になったのだが、また甘えさせていただくことにした。
前回は野菜ジュースを持って行って「ここに載っている野菜をくれ」というオーダーだったが、今回は「背負い甲斐のある野菜をくれ」というオーダーになった。
左から筆者、ヤオヤプラスのスタッフさん、ヤオヤプラスご主人。
左から筆者、ヤオヤプラスのスタッフさん、ヤオヤプラスご主人。
撮影の数日前におじゃまして「背負い甲斐のありそうな野菜を、仕入れておいて欲しいんです…」とお願いしたら、ご主人は「はい、分かりました」とのこと。
「どうして?」も「何のために?」も何もなかった。
なぜだ。こちらが戸惑ってしまった。
きっと野菜を背負うことに対して特別理解があるのか、そういう注文が多いのかのどちらかであろう。
ヤオヤプラスさん推奨の「背負い甲斐のある野菜」とネギがそろった。すごく重い。
ヤオヤプラスさん推奨の「背負い甲斐のある野菜」とネギがそろった。すごく重い。

ネギは背負いやすい

今回、ネギを含めて7種類の野菜をそろえてもらった。
早速、ネギ(白ネギ)から順に背負ってみることにする。
ネギに合うかと思って甚兵衛を着たが、やはり途方にくれる。背負う?ネギを?
ネギに合うかと思って甚兵衛を着たが、やはり途方にくれる。背負う?ネギを?
縄をネギにぐるぐる巻いて肩に掛けてみる。
縄をネギにぐるぐる巻いて肩に掛けてみる。
背負った。
背負った。
背負った。人間がネギを背負った瞬間である。
こうして見ると、作り物みたいな鮮やかさの白と緑である。ネギ。

そして、最高に背負いやすい。
安定感がすごい。
背中に圧迫感なく、だけどピタッとくる白ネギ。
カモが背負うわけだ。
重さもちょうどいい。
重さもちょうどいい。
正直、リュックより、あのリュックより背負いやすいと思った。
安定感と重さがすごくいいのだ。
筆者はカモではないが、ネギを背負ってやってこいと言われたら喜んで行くだろう。
<白ネギ>

安定感 ★★★★★
重さ ★★★★★
見た目 ★★★★★
総合評価 100点/100点満点中
いきなり100点が出てしまった。
審査員としては失格だが、100点以外に何点をあげたらいいのか分からないので100点である。
他にも腰に下げたり、
他にも腰に下げたり、
胴にぐるぐる巻いたりしてみた。だが最初の斜めがけが一番いいと思った。
胴にぐるぐる巻いたりしてみた。だが最初の斜めがけが一番いいと思った。

青ネギはどうか

いきなり満点の背負いやすさが出てしまったが、それを超える野菜を探して順に背負ってみることにする。
斜めがけでは安定しなかったので、腰にくくりつける。
斜めがけでは安定しなかったので、腰にくくりつける。
白ネギに比べて柔らかいので、しっかり縛ることができなくて安定しない。
見た目も、背負い方の関係でどうしてもネギが下がってしまう。
背負いにくい野菜かもしれない。同じネギでも背負い心地が全然違うのだ。
<青ネギ>

安定感 ★☆☆☆☆
重さ ★★★☆☆
見た目 ★☆☆☆☆
総合評価 35点/100点満点中
持つと「私が育てました」みたいになる。
持つと「私が育てました」みたいになる。

大根、白菜、フキ

大根である。
かわいい。
かわいい。
子供を背負っているようである。
これも重さがちょうどいい。
葉っぱの部分が安定しないのでカモが背負っていくには大変かもしれないが、母性の強いカモなら一生懸命背負うだろう。
<大根>

安定感 ★★★☆☆
重さ ★★★★★
見た目 ★★★★★
総合評価 85点/100点満点中
次は白菜である。
かわいい。
かわいい。
これもまた子供を背負っているような良さがある。
少しムギュッとなった白菜がとても愛おしい。
うまく縄で結べず危なっかしさがあったが、重さと見た目はとてもいいと思う。
<白菜>

安定感 ★★☆☆☆
重さ ★★★★★
見た目 ★★★★★
総合評価 80点/100点満点中
そしてこれはフキである。
そしてこれはフキである。
フキだ。恥ずかしながら、フキがこんなに大きな野菜だなんて知らなかった。
いい具合にしなっていたので、これはもう背負うのに縄はいらないだろう、という結論に至った。
でかいマッサージ機に見える。
<フキ>

安定感 ★★★★☆
重さ ★★★★☆
見た目 ★★★☆☆
総合評価 75点/100点満点中

でかいアロエ

そして、今回ヤオヤプラスさんが用意してくれたものが、「でかいアロエ」である。
その日の市場に5本しかなかったうちの、2本を買ってきてくれた。
本当はかぼちゃを買うつもりだったのだが、予算に合うものがなかったのでとっさにでかいアロエを買ったそうである。
すごい機転だ。ファンタジスタと呼ばせてほしい。
アロエ。
アロエ。
「こうやって背負ったらいいんじゃない?」と提案してくれる。野菜のプロなのだ。
「こうやって背負ったらいいんじゃない?」と提案してくれる。野菜のプロなのだ。
背負った。
背負った。
アロエを背負った。
かっこいい!
ヒーローの武器みたいである。
1本だけも背負ってみた。アロエのラインと筆者のヒップラインが一致する。この瞬間、遠い宇宙で惑星が一つ消滅した。
1本だけも背負ってみた。アロエのラインと筆者のヒップラインが一致する。この瞬間、遠い宇宙で惑星が一つ消滅した。
<アロエ>

安定感 ★★☆☆☆
重さ ★★★★☆
見た目 ★★★★★
総合評価 75点/100点満点中
後日家で剥いてみると、器いっぱいの果肉がとれた。
後日家で剥いてみると、器いっぱいの果肉がとれた。

ゴボウ

最後にゴボウである。
棒だ。
棒だ。
これは、気に入った棒を持ち歩く少年だ。
ゴボウを背負って、童心に帰ることができた。
<ゴボウ>

安定感 ★★☆☆☆
重さ ★★☆☆☆
見た目 ★★★★☆
総合評価 55点/100点満点中

まとめ

以上が今回背負ってみた野菜である。
どれも思っていたより心地いい重さで、ずっと背負っていたい、という気持ちになった。
だがやはり、総合評価で1位に輝いたのは、トップバッターの白ネギであった。
白ネギが1位。
白ネギが1位。
最後に全部背負おうとしたが、この体勢からピクリとも動けなくなった。
最後に全部背負おうとしたが、この体勢からピクリとも動けなくなった。

ヤオヤプラスさんにも聞く

しかしまだ結論を出すには早い。
野菜のプロに、背負った様子を見てもらった。
しかしまだ結論を出すには早い。 野菜のプロに、背負った様子を見てもらった。
しかしまだ結論を出すには早い。 野菜のプロに、背負った様子を見てもらった。
「これかなあ」
「これかなあ」
これだ。
これだ。
ヤオヤプラスさんはすごく丁寧に写真を見てくれた。
二人で意見が割れたこともあったが、最後には最初のネギに落ち着いた。
やはりしっくりくるのはネギなのだ。
背負うならネギ、白ネギである。
ヤオヤプラスさんポイントが100ポイント加算された。白ネギが1位。
ヤオヤプラスさんポイントが100ポイント加算された。白ネギが1位。
完全に結論が出た。
ネギは背負いやすいし、背負う場合は束を2点で巻いて、斜めがけにすると良い。安定するし、見栄えもいいからだ。
今までぼんやりしていた「カモがネギを背負ってやってくる」の図が完成した。これがリアリティのある、ネギを背負ったカモである。
今までぼんやりしていた「カモがネギを背負ってやってくる」の図が完成した。これがリアリティのある、ネギを背負ったカモである。

優しい世界だ

ネギの背負い心地が分かったのも収穫だが、でかいアロエやフキなどを背負えるとは思わなかった。
ヤオヤプラスさんの機転と配慮のおかげである。
最後にみんなで焼き芋を食べたり、
最後にみんなで焼き芋を食べたり、
ハロウィン用に作っている石仮面を見せてもらったりして、
ハロウィン用に作っている石仮面を見せてもらったりして、
写真を撮ってお別れした。ありがとうございました!
写真を撮ってお別れした。ありがとうございました!
ヤオヤプラスご主人は、ハロウィンの日に仮装して店に来る子供達を、大人の本気の仮装で迎え撃つのだと張り切っていました。

取材協力
ヤオヤプラス
〒142-0062 東京都品川区小山6-7-3
TEL. 03-5498-0439
URL.ヤオヤプラス facebookページ
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