雑貨図解化大作戦
手元にこんな本がある。「怪獣博士!大伴昌司『大図解』画報」(河出書房新社)。この本をめくっていて、はてあんなものやこんなものに大図解を施したら楽しいのではと考えたのである。
この手の本を買う判断は光よりも早い。
実は子供の頃はなんとなく目にしていたくらいのものだったが、大人になってこの「一挙掲載」ぶり、さらけ出しっぷりが妙に好きになってきたのである。
ザ・もっともらしさ。
この夏話題のゴジラも容赦なく「ふくろ」の集合体に。
こういった怪獣の内部は、大伴氏が初めて詳細に図解にしたという。そうか、私の見たことあるこの手の図解は、たどれば全てこの方に行き着くわけか。
そのおかげで、ヒーローや怪獣の内部がよくわかった…というよりも、「ヒーローにも、ふくろとかあるんか…」というよくわからない感情がこみ上げてきたようなこないような。
さておき、「内部がどうなっているか知りたい」「あれの中って、ウフフ…」という欲求は自然なものである。そして、私も何かの中を怪獣風に図解にして、胸を張りたくなってきた。何か周囲に手頃なものはないか。手頃な…
ペッツ。キャラは見なかったことにしていただきたい。
そしてファブリーズがカラになっていた。ブランド名は見なかったことに…
実に手頃な雑貨が転がっていたので、頼まれてもいないこの2つを怪獣図解化してみることにする。
まずは、部分的に穴を開けたい。小さくもなく、ただし大きすぎず、内臓のチラリズムをほどよく表現できるほどの穴をだ。
本物の内臓は、バネでした…。
ポンプからのびるチューブでした…。
そして設計図を書こう。とはいえ、全て想像の産物であるから、子供の心を忘れず、本を参考にしつつ、おおらかに考えたい。
結果、こんなことに。
あんまりな設計図ができた。しかしだいたいこれでいいのだ。ふくろ状のものを内臓的に配置し、それらをつなぐ管をめぐらし、生き物のような質感を追及すればよし、と見た。
臓物は、扱いやすい石粉粘土で。
ほんもののペッツも使う。
だいたいこんな感じ。不安倍増。
とにかく進める。カッターの持ち手で表面に凹凸をつけて、焼け石に水を。
アメリカンフラワー用ビーズでボコボコ感をひそかに出したり。
ピンバイスで小さい穴を開けまくり、
プラのワイヤーを差し込んでは接着。管です。
ファブリーズはトウモロコシ由来の消臭成分とのことで、トウモロコシもオーブン粘土で。
彩色は、2色刷りっぽく塗ってみる。これ毒々しすぎたか。
移植。穴からはめ込むのはちょっと難儀だがなんとか手術成功した。
実は色塗る前までは、ものすごく不安だった。あー…、って結果になるのかもな、これ、って。震えたわよ。
でも色を塗って、一続きの内臓に組み込んだらまあ、なんとかそれっぽい感じになったように思える。
ペッツ+キャラが生身の体を手に入れた。微笑に深い意味があるように見えないか?
普段使っているファブリーズも、一皮剥けばこんな風に息づいていたよ。
…まあ、微妙な仕上がりではあるのだけど、本番はここからだ。これがやりたかったのだ。
ペッツって「錠菓」っていうんだ、かっこいいだろう。「立つためのエネルギー」が、厳しいぞ!
噴射「ぐち」じゃなくて「くち」だぞ。そして胃から液が逆流して噴射するらしい。怖いぞ!
はい、カタルシス。「胃」「ふくろ」「口」が言えたので私はもう燃え尽きた。
でもどうだろう、これら雑貨の図解を作ってみると、これらがフィクションではなく、実在するかのように我々に迫ってこないだろうか。まあ実在しているんだけど。
まとめ
怪獣図解の受け手から作り手になってみたわけだが、無邪気に読んでいた頃と違い、「もともとない設定」の考えをめぐらすのはけっこう骨が折れた。うーん、絶賛退化中の想像力であることよ。
せめて普段から、車窓から見る建物や銅像の中を想像する訓練をしたいものである。
同様の展示+工作品の展示を、香川・高松は仏生山でやります! 11月なかばから12月まで。詳細はまた次回お知らせします!