夏の星座を作ってぶらさがるしかない
夏の星座を作ってぶらさがる
必要な要素は「夏の星座」「ぶら下がる」「花火」である。まずぶらさがるための夏の星座を作ることにした。
夏の大三角形で有名な星座から星座らしい優雅さにひかれてはくちょう座を選んだ。夜空のスワンにぶら下がるのだ。
一気に生活がロマンチックになった。昨日は銭湯のサウナに行った。今日は夜空のスワンにぶら下がって明日はスーパーに水を汲みに行く。
金具で星座の線を作って光らせるといいだろう
星の部分には100均の懐中電灯を配置することにした
懐中電灯間はサイリュームのような光るブレスレットでつなげばいいのではないか
居間を占領する星座。かまわず娘がアイカツのアニメを見て踊りだした。すまん、こんなもので占領してしまって…。お父さんはな、夏の星座にぶら下がりたいんだ
娘に申し訳ないので公園で作業することにした。人生は複雑だ
どうやってぶら下がるか
金具を星座型に組んで懐中電灯とサイリュームで星と星座の線を模す。
星座はなんとかできた。つぎは「ぶら下がる」方法である。体重を支えるほどの立体を自分で作るのはむずかしい。なにかないか。
なんだろう。ぶら下がるといえばぶら下がり健康器ではないだろうか。
夏の星座(をくっつけたぶら下がり健康器)にぶら下がって上から花火を見下ろすaikoになるのだ。
「ぶら下がる」部分はぶら下がり健康器でいいのではないだろうか
うむ。これは持病の腰痛にもよさそうだ。だがaikoもこんなリハビリみたいなことやっているのだろうかという一抹の不安がよぎる
ぶら下がり健康器を家から運んでくると、星座をふしぎそうに眺めてる人がいた「星座を作ってるんですよ」とロマンチスト風に言っておいた。しかもそのあとぶら下がるのだ、ざまあみろ! おれの勝ちだ!(とくに何がというわけではないですが)
そして夏の星座とぶら下がり健康器を結合。できた、「ぶら下がり夏の星座」だ
aikoがぶら下がってドラゴン見下ろしてたら…
あとは「見下ろす」ための「花火」である。おそらく歌詞のとおりだと打ち上げ花火のことだろう。しかしぶら下がり健康器では見下ろせない。どうしたものか。
ドラゴンではどうか。
aikoが夏の星座にぶら下がってドラゴンを見下ろしているのである。その名前に反してドラゴンはきれいだ。なくはないだろう。
しかし考えてみたらドラゴンは火花が2mほど上がる。ぶら下がり健康器のaikoが丸焼けである。なんてこった。
一人でできることと危なくなさを考慮した結果へび花火になった。
見下ろす「花火」であるが、夜の公園で大人が一人でやるうえで、音が出ない、火花が危なくない、などの条件を考慮した結果へび花火になった。
完成、これが実写版「花火」である
懐中電灯を点灯し、カメラのタイマーを設定する。そしてへび花火にライターで着火をする。
火が点いた。吹き出す火花と煙。へび花火の本体が隆起しはじめる。急いでぶら下がりにいく。
さあご覧いただこう。これが夏の星座にぶら下がって見下ろす花火である。
できた。しかしこれは一体どうしたことだろう。
どうしてこうなったのだろうか
見下ろした火花の残骸。これがaikoの見た花火だというのか
aikoはこんな冷徹な顔してへび花火を見下ろしていたのだろうか
フラッシュを焚いてみた。「切支丹の弾圧」ということばが頭をよぎる
夜空と合成してみた。おかしい。何かがおかしい
へび花火ではダメだ!
なにかがちがう。
そろそろ中年に突入する男性がぶら下がり健康器にぶら下がってへび花火を見ている。それ以上でもなければそれ以下でもない。一体どうしてこうなったのだ。
とにかく不安要素を改善していこう。
まず大きいのがaikoはへび花火を見ないであろうということ。ここは安全でかわいげのある線香花火にすることにした。
そして画面内に小1を娘に持つお父さんしかいないということ。やはりビジュアル面でのかわいらしさに限界がある。aikoのようなかわいい女の子要素を足したい。
そこで知り合いで一番のかわいい女の子を用意した。今度私たちの公演に参加してくれる7Aさんだ。名前に数字が入ってくるほどのかわいらしさである。
足りなかったもの2つ。それはかわいい女の子と線香花火である。
そして改善の結果は
仕事終わりの7Aさんが「おやおやおや? おやおやおやおやこれはなんですか?」と言いながら公園にやってきた。
これがなんであるかを説明する。しかしどうしてこうなったのかは説明できない。
とにかく夏の星座にぶら下がれるのは一生に一度あるかないかだ、そして今日がその日なんだと言ってことの大事さを強調しておいた。
男たるもの、一生に一度は夏の星座にぶら下がって上から花火を見下ろすのだ。さあ、やるぞ! これだ!
やった。これが夏の星座にぶら下がって花火を見下ろす図である。しかし本当にこれでいいのかという気がする。
これがaikoの日常か
やっと実現した。夏の星座にぶら下がって上から花火を見下ろしたのである。歌詞の中では夜空に浮かんだところを想像していたが、実際にやるとしたらこれが限界である。
であるならaikoさんもこの状況を想定して歌っているのかも(私たちが勝手に夜空だと勘違いしてるのかも)しれない。
そうだ。これがaikoさんの視点だ。ご本人は小柄な女性だそうだ。ぶら下がり健康器の位置設定もかなり低くしてあることだろう。
また、本人がドラゴンで焼かれては困るという配慮から線香花火を見ていた線もある。
線香花火を見下ろすと、線香花火をしている女の子と目が合う。その視線はヤンキーのそれであった。
これが夏の星座にぶら下がって上から花火を見下ろす体験か……このコンビニ前にたむろするヤンキーを注意するような視点はなんなんだろうか。やはり男女逆か。
男女を逆にするとたしかにかわいらしさは格段に上がったが……一体この写真の中はどういう設定でこうなったのだ。謎度も上がった
7Aさん一人でぶら下がってもらってようやくこれかもなという気はした
7Aさんを空に飛ばしてみた。私たちが持てる力を全部注ぎ込んでaikoの世界に近づいた結果がこちらだ。私たちに癒やしを与えてくれてありがとうaiko。
夏の星座にぶら下がって上から花火を見下ろした
夏の夜空にaikoが浮かんでいたらいいなと思った。しかし自分がやってみてもなにかが決定的にちがっていた。
今、小1の娘はアイドルを目指すアニメにハマっている。彼女自身TVの前で一生懸命踊っている。いずれ本物のアイドルにも興味を持つことだろうと思う。
しかし彼女もまたあの人たちとちがうのだと知るときがやってくるのだろう。
娘よ、教えてやろう。私たちとaikoさんやアイドルたちは決定的にちがうのだ。私は今思い知った。それは夜空に浮かんでいいかどうかであり、文字通りスターであるかどうかというのはそういうことなのだ。
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