特集 2016年9月16日

ハキリアリが栽培したキノコを強奪して食べる

葉っぱを蓄えてキノコを栽培するハキリアリ。今回はそのわけまえをちょっといただく。
葉っぱを蓄えてキノコを栽培するハキリアリ。今回はそのわけまえをちょっといただく。
南米に生息する「ハキリアリ」というアリをご存じだろうか。
その名の通り葉っぱを切って集める習性を持つのだが、その使い道がすごいのだ。
そのまま餌として食べるのではなく、なんと集めた葉っぱを培地、そして肥料にしてキノコを栽培するのである。そう。なんと農耕を行うのだ。アリのくせに。いっちょまえに。
1985年生まれ。生物を五感で楽しむことが生きがい。好きな芸能人は城島茂。

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ハキリアリ。キノコを栽培するために葉っぱを切り取って巣へ運ぶ。NHKのドキュメンタリーなんかで見たことがある人もいるのでは?
ハキリアリ。キノコを栽培するために葉っぱを切り取って巣へ運ぶ。NHKのドキュメンタリーなんかで見たことがある人もいるのでは?

キノコを奪いにブラジルはサンパウロへ

驚くべき生態だが、それに関してとても気になることがある。
アリが栽培したキノコとは一体どんなものなのか。そして人間が食べても問題無いのだろうか。そして味は?

確かめるためにブラジルへ行ってきた。
向かったのはアマゾンのジャングル!
向かったのはアマゾンのジャングル!
…ではなく、大都会サンパウロのど真ん中。
…ではなく、大都会サンパウロのど真ん中。
自然系のドキュメンタリーではアマゾンのジャングルに生息する生物として紹介されることが多いハキリアリだが、実は街中にも普通にいる。多少の緑さえあれば。
というわけで、やってきたのは南米最大の都市・サンパウロだ。
ビカビカに光る高層ビル群がものすごいアーバン感を出しているが、自然はわずかながら残っているのだ。
川は濁り、水面には大量のゴミと油が浮く。硫黄のような悪臭も。
川は濁り、水面には大量のゴミと油が浮く。硫黄のような悪臭も。
だが、そんな臭くて汚い川沿いにもカピバラさんが棲んでいたりする。
だが、そんな臭くて汚い川沿いにもカピバラさんが棲んでいたりする。
その証拠にサンパウロにはカピバラだっている。さすがブラジル。
地球の裏側で温泉に浸かるカピバラもいれば、原産地でドブを泳ぐ同胞もいるのだ。
地球の裏側で温泉に浸かるカピバラもいれば、原産地でドブを泳ぐ同胞もいるのだ。
というわけで、ハキリアリを追い求めて訪れたのはハイウェイと一般道の脇に開けた小さな空き地。
ハイウェイそばの…
ハイウェイそばの…
小さな芝生地帯。
小さな芝生地帯。
街路樹も生えておる。トロピカルなやつが。
街路樹も生えておる。トロピカルなやつが。
街路樹の根元に目を落とすと、チラチラと緑色の小さな欠片が行進している。
おおう、これぞ。
切った葉っぱをせっせと運ぶアリたち。これぞハキリアリ!ブラジルではまったく珍しい存在ではないようだ。
切った葉っぱをせっせと運ぶアリたち。これぞハキリアリ!ブラジルではまったく珍しい存在ではないようだ。
ハキリアリだ!テレビや本でよく見るやつだ!
わりとどこにでもいるとは聞いていたが、それにしても簡単に見つかってしまったな。
葉を運ぶハキリアリ。よく見るとボディーはトゲトゲ。仕事は農業だが、ファッションは意外とヘビメタ調である。
葉を運ぶハキリアリ。よく見るとボディーはトゲトゲ。仕事は農業だが、ファッションは意外とヘビメタ調である。
大荷物を背負っている割に動きが速い!行進を撮影するのも一苦労。葉だけでなく花びらを運んでいるものもいる。
大荷物を背負っている割に動きが速い!行進を撮影するのも一苦労。葉だけでなく花びらを運んでいるものもいる。
アリたちを観察しつつ、追いかける。
彼らが運んでいるのは薄い木の葉の縁、下草のさきっぽ、花びらなどやわらかくてみずみずしい植物片ばかり。そういうものでないと、アリたちの小さなアゴでは切り取れないのだろう。
また、枯れているものは見当たらない。キノコを育てるには鮮度が重要らしい。
ハキリアリたちが毎日通る道はある程度決まっているようで
ハキリアリたちが毎日通る道はある程度決まっているようで
芝生を切り拓いたように綺麗な「道路」になっている。
芝生を切り拓いたように綺麗な「道路」になっている。
ハキリアリの行列をたどっていくと、芝生のど真ん中にこんもりとそびえる小山に行きついた。
いくつものアリ専用道路の行きつく先には、明らかに不自然な土の山が。
いくつものアリ専用道路の行きつく先には、明らかに不自然な土の山が。
ハキリアリの巣、いわゆるアリ塚だ。デカい。高さは数十センチ、直径は3メートルくらいある。
これがハキリアリの巣(兼キノコ農場)だ!アリ塚というやつか。…立派だ。
これがハキリアリの巣(兼キノコ農場)だ!アリ塚というやつか。…立派だ。
アリ塚の表面は枯れた草で覆われている。断熱材としての役割を果たしているのだろうか。
よほど栄養条件がいいのか、外側には雑草が茂っている。しかし、案の定というか軟らかい先端部は軒並み刈り取られている。間借りの家賃は体で払わないといけないらしい。
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