特集 2016年9月15日

この駅の注意書きが細かくていい2016

機械に一度に入る小銭の枚数は決まっています!!
機械に一度に入る小銭の枚数は決まっています!!
東京に出てきて電車で通勤するようになって5年半になった。
駅の構内はただ通り過ぎるだけの存在だったが、ふと立ち止まって辺りを眺めてみると発見があった。

注意書きがたくさん貼ってあるのだ。
鉄道会社と駅員さんたちの工夫と執念を感じたので、たくさん集めた。是非とも紹介したい。紹介させてください。
1987年兵庫生まれ。会社員のかたわら、むだなものを作る活動をしています。難しい名字のせいで、家族が偽名で飲食店の予約をするのが悩みです。(動画インタビュー

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呼びかけのレベルが高いは数に比例する

駅の光景を眺めてみると、思った以上に文字にあふれていることがわかる。
画像を文字が埋め尽くしている(日暮里駅)。
画像を文字が埋め尽くしている(日暮里駅)。
乗り場の案内、行き先の案内、そして「京成線のりかえ専用口・出口ではありません」という注意書き。
この注意書きにすごく惹かれてしまうのだ。
ちょっと引いて撮ると出口ではなく乗り換え口であることを懸命に訴えている。(マウスオーバーで画像が切り替わります)
ここでまず言いたいのは、「呼びかけたいレベルが高いほど注意書きの数が増える」という法則である。
そういう意味でこの日暮里駅の京成線乗り換え口はぴったりだ。
乗り換え口・JRの出口ではないという表記が上の画像だけで5回も出てくるのだ。

とにかく回数で勝負だという心意気は、他の駅でも多く見られる。
かけこみ乗車の危険性を訴えたい(池袋駅)。(マウスオーバーで画像が切り替わります)(マウスオーバーで画像が切り替わります)
上りは階段の右側ですよという注意書き。テンションアゲアゲ↑な印象もある(柏駅)。(マウスオーバーで画像が切り替わります)
天井からの漏水を柱の両面から注意喚起している。そんなに漏水するのだろうか(西日暮里駅)。(マウスオーバーで画像が切り替わります)
これは単に出口を案内しているように見えるが…。(マウスオーバーで画像が切り替わります)
裏に回ると右側通行を猛アピールしている(高田馬場駅)。(マウスオーバーで画像が切り替わります)

右側通行か左側通行かは多くの駅で見られる注意書きだ。
困っている度合いが強いほど何枚も並べて貼られたり、1メートルおきに貼られたりする。

内容がかぶっても貼る!

元々ある案内サインと同じ内容の紙を貼るパターンもある。
新幹線・特急券・定期券を購入出来ることを二段構えでアピール(秋葉原駅)。
新幹線・特急券・定期券を購入出来ることを二段構えでアピール(秋葉原駅)。
こういう写真のようなパターンのことだ。
きっと券売機に人がたくさん並んでしまうと元々のサインが見えなくなるため、あとからすぐ上に足したのではないだろうか。

このパターンが多く見られるのが精算機である。
精算機があることを4台に渡って掲示するだけでなく、両端にも貼る念の入れよう(松戸駅)。
精算機があることを4台に渡って掲示するだけでなく、両端にも貼る念の入れよう(松戸駅)。
精算機の場所を示す注意書きが多くの駅で見られた。
問い合わせが多いのだろう。うっかりスイカの残金が足りない!という場面に出くわすことも意外とあるし、そういうときは大体焦ってしまうので気持ちはわかる。
精算機ではチャージが出来ます!ということを大きくアピールしがちであることも精算機案内の特徴(新宿駅)。
精算機ではチャージが出来ます!ということを大きくアピールしがちであることも精算機案内の特徴(新宿駅)。

ついつい貼りたくなってしまう

複数貼る・同じ内容であっても貼る…これらのパターンを先ほどご紹介したが、ここではたと気がついた。
もしかして空いてるスペースがあったら貼りたくなってしまっているんじゃないか?
そういうパターンも見つけたのでご紹介したい。
「運賃表がある」ということを説明している(高田馬場駅)。
「運賃表がある」ということを説明している(高田馬場駅)。
すぐ右に目を移せば気づくだろうに!という気持ちになる。
スペースが余ったから貼りたくなってしまったのではないだろうか。貼り紙ハイだ。
注意書きではないが行き先をたくさん貼ってしまうパターンもある(大門駅)。
注意書きではないが行き先をたくさん貼ってしまうパターンもある(大門駅)。
大門駅は京急に乗り入れている都営浅草線と、都営大江戸線に乗り換え出来るので、ここを起点に移動出来る範囲が広い。
問い合わせが多いから行き先を貼って教えてあげよう、という親切心から出た配慮だと思うが、探すのが大変なのではと心配になってしまう。

ちなみに大門駅は貼り紙ハイの傾向が強く、スタンプコーナーの案内も過剰にされていた。
これでスタンプがあることを見逃さない。
これでスタンプがあることを見逃さない。

問い合わせが来る前に空いたスペースへの注意書きで解決してもらおうという施策は、駅員のいる窓口でも見られる。
入り口の前で解決してほしいという願望が伺える(浦和駅)。
入り口の前で解決してほしいという願望が伺える(浦和駅)。
乗り換え案内・ロッカーの案内・精算機でチャージ出来ることの周知と盛りだくさんだ。
何度も同じ問い合わせが来るんだろうな・・・と駅員さんに思いを巡らせてしまう。

券売機も空いたスペースを活用して注意書きが書かれる場合もあった。
1000円しか使えません!ということが4箇所も書いてある(池袋駅)。
1000円しか使えません!ということが4箇所も書いてある(池袋駅)。
セブンイレブンのコーヒーメーカーに説明書きのテプラが大量に貼られるのと同じ現象だ。
西武線の佐藤可士和もこんなはずではと思っているかもしれない。

雑多に紹介していく。

ここからは皆さんに見ていただきたい画像たちの紹介である。
「あっ!あぶない!!(=線路への転落など列車に接触するおそれがある場合)と思ったら」(大江戸線各駅)。
「あっ!あぶない!!(=線路への転落など列車に接触するおそれがある場合)と思ったら」(大江戸線各駅)。
とにかくこの1枚のポスターの中にある文章の量がすごい。
注意したい事柄のトッピングを全部載せである。ラーメンなら胸焼けするレベルだ。

細かく説明してしまうパターンとして、仕様を教えてくれるものもある。
たくさん小銭を入れちゃった人がいたんだろうな、と思わされる(赤羽駅)。
たくさん小銭を入れちゃった人がいたんだろうな、と思わされる(赤羽駅)。
これ、ぱっと見でどういうことかわかるだろうか。僕はわからない(浅草駅)。
これ、ぱっと見でどういうことかわかるだろうか。僕はわからない(浅草駅)。
この銀座線浅草駅の補足説明は全くわからない。
「列車の遅れ等がない場合、発車30秒前に表示が変わります」はどういうことなんだろうか。
表示が変わっていたらもうすぐ発車してしまうから急げばいいのか、諦めて次の電車に乗ればいいのか。神様教えてください。

なぜこんな情報が…?と不思議に思うものもある。
「きっぷは目的地まで正しく買いましょう!」それはそうである(柏駅)。
「きっぷは目的地まで正しく買いましょう!」それはそうである(柏駅)。
どういう経緯で貼られているのかが気になるが、聞けない類の注意書きだ。
手作り感も相まって非常に良さがある。

大江戸線六本木駅はホームがものすごい深いところにある。そのため、階段の段数を教えてくれる張り紙があるのだ。
改札まで166段もある。こういう感じのお寺ありますよね(六本木駅)。
改札まで166段もある。こういう感じのお寺ありますよね(六本木駅)。
フォントと色使いがグッとくる。トリビア張り紙である。
しかし、階段情報を貼り出している駅が他にも存在した。階段マニアがいるのだろうか。
それもえらく細かく教えてくれる(赤羽駅)。
それもえらく細かく教えてくれる(赤羽駅)。

文字で埋め尽くすのは文化なのか

注意書きを集めてみると、思いの外集まった。
眺めていると、注意書きが貼られた背景を想像してしまって、駅員さんは大変だ…と思った。
だがそこから生まれた注意書きは工夫に溢れていて愛でたくなる。

今回調べたのは首都圏だけだったが、地方でも同じように注意書きで溢れているのか、海外はどうなのか。気になることばかりだ。
駅員向けの注意書きがかっこいい。背筋がしゃんとする。
駅員向けの注意書きがかっこいい。背筋がしゃんとする。
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