突然怪力になったりする動画を褒めるイベント
デイリーポータルZ内の動画コーナー・プープーテレビが一年でベストの動画を決めるイベント、それがプカデミー賞である。
ちなみに前年のプカデミー賞は突然怪力になる動画に与えられた。お前はいったいなにを言ってるのだ、とお思いだろうが突然怪力になるんだから仕方ない。
前年度のプカデミー賞は突然怪力になる動画。突然怪力になると言われてもなと思いながらも再生するとなるほどと笑ってしまう。
こんなイベントでもゲストがいる
今年のゲストはバンドAwesome City Clubのatagiさん。プープーテレビを見ていることが判明しすぐ呼んだ。見ていることを公表してもいいのかは事務所に確認をとった。
Awesome City Clubのatagiさんは歌を歌ってる人。服屋で歌いながら服を着倒すというこれぞバンド! そんなことバンドしかやってはいけない! というMV。
会場は秋葉原クラブグッドマンというライブハウス。満員の客がダメな芸に対してのあたたかい赦しの声が飛ぶ。
そしてプカデミーが決まった!
プープーテレビの制作者一人に一つずつ高評価数の多い動画をえらんで会場で流し、そして審査員長のatagiさんが今年もプカデミーを決めた。
今年のプカデミー賞はむかない安藤! 君はむかない安藤を知っているか? ものをむかずに食べる動画を発表しつづけてもう5年目である。
あなたたちがむかない安藤を知らなかった間にもう独自の発展をとげている。最近ではむかない安藤ははまぐりを殻ごと食べられるようになった。
そんな独自の進化をとげたむかない安藤についに栄冠が与えられた。インターネットのガラパゴス諸島はここだ。
今年プスカー像を獲得したのはむかない安藤。
むかずにものを食べるプープーテレビ名物のむかない安藤。バナップルの皮がうますぎて感動するという動画がエントリー。今年から10秒の動画が1分に再編集されたゴールデン版が登場し好評を博す。
むかない安藤で他に高評価が多かったのはにんにく。基本的には「むかずに食べるのがかっこいい」という出発点だったのだが、近年では生食による苦しみで、逆説的に人類の進歩の偉大さを訴えてくるようになった。
プカデミー賞ではそんなむかない安藤による「クイズ! むくでしょうかむかないでしょうか!?」が出題された。正解は全部「むかない」であり、最終的に安藤はピスタチオをむかずにボリボリ食べて会場をわかせていた。
次ページからおもしろ動画ラッシュを
もちろんむかない安藤以外の候補もすばらしい動画ばかりだ。次ページからはそんなおもしろ動画の珠玉の傑作選である。
プープーテレビ制作者一同。Youtubeで高評価だったものを一人一本ずつ見ていく
全体の高評価数では1位の動画であった動画はこちら。聖人にあるあるネタを言わす動画である。この動画の前にはずっとブッダにあるある言わせていたのだが、次なる一手がキリストに及んだ
高評価数2位はiPhoneの音声応答機能Siriに英語で話しかけたら漫才になっていたという動画。素直に日本語でしゃべりかければいいものを…
高評価数第3位は桃太郎のパロディをやってるべつやくさんから。Amazonで送られてくる桃太郎、Amazonたろうがエントリー。人情もへったくりもないがシステマティックに配送されるたろうがただただ便利である。
プカデミー賞ではLIVEでべつやくさんによる紙芝居が行われたのだがサイリウム振りかざしている人がいるのにお気づきだろうか。このイベント、お客さんがむちゃくちゃに登壇者を応援するという類まれなやさしいシステムで行われてるのである
ぼんくらバンドマン、トリプルファイヤー吉田と盟友の左右花池によるともだち探そうというシリーズから。ひまわり祭でともだちを探そうとニコニコ笑ってたら子供が泣き叫ぶという事件が起きる。「吉田ひまわりのような笑顔事件」である。
プカデミー賞では「くしゃくしゃにしたサランラップをきれいに戻す」という全く価値のない芸を披露してくれた二人
そんなスカムな芸を熱狂的に応援する観客席。やさしさとあわれみに満ちた素晴らしいイベントだった
前年度のプスカーを得たヨーロッパ企画からまたも名作が。スピードが速くなるといっても「そっちか」と全員同時にひざを打った動画が。スピードが速くなった者はつまらぬ世界が待っている。
今年から登場したのがなんでもレンジでする二人である。レンジは中から熱くなるため、いけるんじゃないかという気がしてたべてはよく熱がっている。
プカデミーでは煙があがるほど盛大にチンしてスタッフをあわてさせたレンチン会
ミュージカルにならなさそうな題材を歌って踊ろうというコンセプトで作られている日常ミュージカル。40歳になろうという独身男性が気ままに買い物している日常を歌って踊った動画である。知らんがなという他ない。
今回のプカデミーはそんな日常ミュージカルをLIVEとして再現させるためにライブハウスで行われた。ハーモニカや打楽器でサポートするのは前年度ゲストの小説家の道尾秀介さん。客もスタッフも全力でこのどうでもいいミュージカルを盛り上げた。すると宮城さんは来月も同じLIVEをするそうである。味をしめた!
放送作家のヒロエトオルが最近おもしろかったテレビをプレゼンするシリーズ。『プロフェッショナル』は「役立たねー!」と突っ込みながらみるとおもしろいらしい。その視点はなかった
名作シリーズを多く抱える藤原浩一からは自宅のDVDをならべて思いつきで撮ったであろう単発ものがランクイン。なんなんだこれ
本能寺の変などをダンスで解説するYouTube文化に便乗して歴史をダンスで表現しはじめた藤原浩一。ペストの流行など我々に身近でない歴史であったが、会場はなんでも熱狂した。
ラッパーでもなんでもない地主くんがラッパーの日常を想像したものがこちら。ヒップホップ文化への大きな誤解があるが、彼がわかっていないだけなのでどうか誰も傷つかないでいてほしい。
林雄司作から出たのはWindowsアップデートのメッセージを改変してなれなれしくしたもの。もともとうれしくないWindowsアップデートだがよりイライラさせるものになった
1分まとめシリーズで有名な北村ヂンさんからは『あさが来た』のモデルを。映像で使用してるのはフリー素材のためいろんなところがおかしくなっている。
映像の合成に適している緑の野菜はなんなんだ?と岩沢さんが探ってきた動画がこちら。「葉物野菜を買えばどうにかなる」という結論に。
歯列矯正中の岩沢さんはプカデミーで「柔らかいものをおそるおそる噛むショー」を行い、ソフトせんべいをかみきった瞬間会場は底が抜けたようにわいた。こんなどうでもいいLIVEとそれを応援するお客さんという形の幸せさに感動した
ちないに再生回数でえらぶと10分どん兵衛が話題になったときに北村さんがすぐ10時間に挑んだものが1位だった。「そこそこいける」という結論ながら冷め切っていたせいで低評価がすごい。
ここにしかない動画がある
今年こそは動画が来るといわれ、またどうせ来ないんだろうなと思ったらちゃんとレシピやメイクの動画が流行ったりしている。YouTuberの動画も相変わらず人気がある。
ようやく動画が来た。私たちもものをむかずに食べてはまぐりを殻ごと食べられるようになった。私たちだけこれでよかったのかどうかという気はしている。
もはやインターネットのガラパゴス諸島を名乗ってもいいのではないだろうか。そこにいる動物たちは物珍しさだけは満ち溢れている。それを甘やかし保護するお客さんもいる。
もう少しすれば私たちはウニやカサゴも食べていることだろう。一年に一回といわず、毎日様子を見て自然保護活動にはげんでいただきたい。
デイリーのライターの二人が気合を入れまくって宮城さんのコスプレで来てくれたのだが、肝心の宮城さんがその衣装を外してくるという天性の間の悪さ