そうだ 弁当、パフェにしよう。
スイーツでパフェなら、おつまみだってパフェにしたい。
そこまではお分かりいただけると思う。で、なんで弁当なんだという話である。
実はすでにおつまみのパフェ化には大成功しているのだ。その名も「しょっパフェ」。
投稿企画として実施し、たくさんの方がおつまみのパフェ化に挑んでくれた。
しょっパフェ!
このしょっパフェ、そもそもの名づけ親はライターのパリッコさん。氏とそしてもう1人のしょっパフェメンバーであるライターの玉置豊さんと共にしょっパフェ大成功の祝杯をあげつつ新たなる地平をパフェへぶつけられないかと相談する上で、
そうだ 弁当、パフェにしよう。
とあいなったわけである。人は急にはっと思い立ち京都へ行くように、急にはっと思い立ち弁当をパフェにするものなのだろう。
左からパリッコさん、玉置さん
というわけで、スナックにきました…?
さて、上の写真がすでにそうなのだが、弁当をパフェにするにあたりスナックにやってきた。
……?
なぜ弁当でパフェなのかという分かりにくい部分を説明したかと思ったら今度は「スナックで撮影」。追加要素を謎に盛ってしまったことは素直に謝りたい。
スナックのムーディーなあかりでスーパーの買い物袋(右)が輝いている
どうしてスナックなのか。そう、僕たちはやっぱり酒を飲む気が満々なんだ。
弁当を、しょっパフェとしてあくまでにおつまみとして楽しみたいというのがわれわれの本丸なのだ。弁当をパフェにすることによりおつまみにしたいというねじまがった愛のかたちである。どうか、どうかこの気持ち君に届け。
もちろん全員、酒のつまみにしたいお弁当(と酒)を持ち寄っている。
お互いにどんなお弁当をパフェ化させるか興味深いところ。さっそく見ていこう。
スナックでムーディーに弁当を食べる、そのためのパフェ化…!
以下、一つずつ紹介していきますね
アテにすることがあらかじめ許されている弁当
ではではまずは私から。
弁当で酒といってまず思いつく種類の弁当があるだろう。あらかじめ酒のアテにされることが大いに許されている(どんな弁当で飲むのかはそもそも大人の自由だが)弁当だ。
駅弁である。
酒飲みから絶大なる信頼を集めていると聞く駅弁である「品川貝づくし弁当」と、これを果たして駅弁といっていいかどうか自信のないところでもあるが崎陽軒の「シウマイ弁当」を投入したい。
品川貝づくし、品川駅では新幹線の改札内でないと買えなかった! 実売980円だが入場料140円分が乗っかるレアリティに期待が荒ぶる
まずは「シウマイ弁当」。
足つきのグラスに小さなシウマイ弁当を再現する方向でいこう。
横浜を中心に東京でもおなじみのこのお弁当。シウマイと、あと甘く炊いた筍煮も特徴的
かまぼこのアールはぜひグラスに合わせたい
登頂部には当然シウマイを
これ、全部の具がスター選手というシウマイ弁当の良さが発揮できてしまったのでは…!?
ざん!
思ったよりも上手くいってしまった。
お弁当というのは普通のお膳と違い、ご飯とおかずが弁当箱に隙間なく詰められている様式だ。ぎゅっと詰めるなかで盛り付けの美しさが問われるという意味ではパフェにかなり近いのだと作業する手を通じて感じた。
弁当とパフェはそもそも兄弟なのだ。
弁当のパフェ化…(今さらですが)いける…。
この勢いをとめぬまま行こう、「品川貝づくし」!
酒飲みのマストバイ弁当
細かい貝がかなりみっちりと入っている。パフェグラスの中に層を作る意味でかなりしょっパフェの向きの駅弁だ
断面とお弁当に残る具の量を確かめながら慎重にいく
貝でご飯と層を作る使命にかられ黙々と作業した。
黙って作業をする上で感じたのは、ひとつひとつの具の重要性である。
どこにどのように配置するかを考える上でより深くその具の力量が見えてくる。いわばこれはこれは人事なのだ。弁当箱は会社、具は社員、パフェグラスが部署である。
すみません、ちょっと突っ走ったこと言いました
できた!
ハマグリ、アサリ、しじみ、貝柱、焼きホタテといった貝勢はもちろん、茶飯までしっかりした味で炊かれておりつまみになる。全身でおつまみのパフェができた。
お肉屋のとんかつ弁当を調べてるんです
続いてはパリッコさん。持ってきたのはとんかつ弁当だ。
うはー
「酒のあて」という意味では一気に駅弁と地平が変わった感がある。
つまみかメシかというと断然メシ側の弁当だ。
ここはぜひパフェ化することでおつまみサイドに引き寄せたい。
聞けばパリッコさん、趣味でいま精肉店のとんかつ弁当について調査中なのだそうだ。お肉屋のお惣菜といえばラードで揚げるコロッケのイメージが強いが、頼めばとんかつを揚げてくれる店は多い。
ただ、ご飯やおかずを詰めてお弁当にまでする店はかなり少ないようでそこをいま食べ歩き調査している最中なんだそうだ。単純に最高な調査である。
ビジョンは固まっていたようで迷いなく盛り付けている、というシーンなのだがなんだろうという写真が撮れた
あ、なるほど…!! 高級フルーツ店のメロンパフェ的なあれだ
弁当が、弁当が立った!
豪華さでいったら宝塚レベルに
作業を終え「パフェにすることによって、一つ一つの具との語らいがありますね」とパリッコさん。
「お弁当の具として、パフェの材料として。短時間に2回出会う。人と知り合う上で短時間に2回会うと印象に残るらしいんですよ。その効果がしょっパフェ弁当にはあるような気がします」
達成感からか叙情がこもってきた。
弁当、189円
最後は玉置さん。
持ってきた弁当は埼玉の誇るディスカウントショップチェーン、ロヂャースの189円弁当である。安っ!
安さにも迫力は十分
オープンと同時に入店したところまだ出来上がっておらず、店員さんが「なんでもいいならすぐ作るよ!」といって出てきたのがソーストンカツ弁当だったそう。なんて頼もしい店員さんだ。
精肉店のとんかつ弁当のあとでは分が悪いかと思いきや、こういうチープをめでるのがつまみのよき趣でもある。
カツは分厚いのも萌えだし、薄いのもまた萌えなのだ
グラスにキューブ状にして転がるように入れていくという、パフェの世界にドリンクの概念を持ち込むその発想はなかった盛り付け
すり身のフライがタンブラの口にジャストフィットし会場がここ一番の盛り上がり
余すことなく盛りついた
とんかつ弁当も十分に立体的だったが、グラスの中ですでに立体というのは新しい。パフェ界のボトルシップだ。
縦位置のムードもどうぞ
考えてみれば弁当というのは食べ物にもかかわらず妙に2Dである。パフェ化するということは弁当を2次元から過度に3次元に戻すという作業なのかもしれない。
全4パフェ、できました!
わくわく相乗効果
パフェグラスのまぶしさはこれまでのしょっパフェ活動を通じて痛いほど身にしみてきたわれわれだが、さあお弁当をパフェにしましたよとなるとそのスペシャリティやなかなかのものだった。
完全にもくろみどおりだ。
お弁当のわくわくにパフェのわくわくをかけて酒を飲むというわれわれの、かんぜんにもくろみどおりだったのだ(興奮したので2回言わせていただきました)。
パフェなの? 弁当なの? つまみなの? 全部なの! 笑えてくるんですこれが
さきほどパリッコさんが「お弁当の具として、パフェの材料として」2回具と出会うといっていたがそれだけではなかった。「食べる」を通じて3度出会うのよ私たち。
こんなの恋がはじまらないわけないだろう。
箸をつかうもおかし
「酒」という要素はお弁当のパフェ化にとっては単に個人の(私たち3人の)趣味であることにお気づきになるかもしれない。お酒を飲まない人でもお弁当のパフェ化は楽しいしうれしいだろう。
ただやはり「しょっパフェ」という酒飲み活動の一環としても今回の弁当のパフェ化は大成功であった。弁当をちびちび食べるという楽しみをパフェが増幅させてくれたのだ。今後も定期活動に組み入れるべきであるという思いは一同ひとつであった。
これからの酒飲みの正義の話ができたという手ごたえにふるえた。
味の話を忘れていました!
お弁当を、パフェにする。形をかえることによる興奮をお伝えするのでいっぱいでそれぞれの味わいについてはもう安牌として言及しなかった。
サクッと書くとこんな感じだ。
・シウマイ弁当
味はもちろんどう考えても安定。弁当として彩りがきれいなため美しくパフェに移行するのがかなり簡単で、パフェとして違和感がなく食べられた。
・品川貝づくし
貝も全部おいしいのだけど、茶飯とあとちりばめられた山椒が最高金賞。大人のために本気で作ってくれたお弁当という感じ。
・とんかつ弁当
人類は弁当を通じとんかつがいかに冷めてもおいしいかをダイレクトに知るのだと思う。肉厚で幸せである。パフェ化によるダイナミズムも存分に楽しめた。
・ソーストンカツ弁当
酒のみの正義はいつもチープさにある。平べったいカツ、ハンバーグは幸せの象徴でしかない。
ありがとうお弁当、ありがとうパフェという様式。
お弁当をパフェにしてしまったいま、しょっパフェはどこへ行ったらいいのだろう。なにか燃え尽きたようにも思いながら次回をみすえたい。
ご飯があまりがちだった!(ふつうに弁当箱から食べました、お弁当のご飯の妙なうまさよ)