アポロニウスの円?
スカイツリー、634メートル。東京タワー、333メートル。この二つの塔がほぼ同じ高さで、かつ並んで見える場所。
この条件に合う場所は「アポロニウスの円」という数学の定理(公式?)を使えば割り出せるらしいが、ぼくにはさっぱりわからない計算式だったので、自分で計算することはさっさとあきらめた。
ネットでいろいろと調べてみたところ、数学が得意な優しい人が、世田谷区の自由が丘駅と田園調布駅のちょうど真ん中のある地点がその地点らしいと言っているのをみつけた。
「スカイツリーと東京タワーがほぼ同じ高さに見える場所」ということであれば、お台場周辺や、新宿御苑などもその条件に当てはまるらしいのだが、さらに「並んで見える場所」となると、建物が邪魔になったり、目線が低すぎたりなどの悪条件が重なるため、場所がかなりしぼられる。
高級住宅街の中にある贅沢なビューポイント
というわけで、自由が丘駅にやってきた。
自由が丘が微妙に似合わない男
ここから、線路沿いに歩いて10分ほど。小学校の前あたりまで向かう。
この坂を登り切ったら見えますよ。
まわりは住宅がみっちり建っているため、スカイツリーや東京タワーの欠片も見えそうにない。
デイリーポータルZ編集部の安藤さんに撮影係でついてきてもらったのだが、「同じ高さに見えるんです」と、ぼくがいくら説明しても「ほう」と、ピンときてない上に「ほんとに見えるんですか?」と半信半疑の様子。
ほんとに見えるんですか? と信じない安藤さん
歩道橋からもみえるけど……。
小学校前の歩道橋にやってきた。
八幡小歩道橋
この歩道橋からもいちおう、スカイツリーと東京タワーを見ることはできる。
ほら、ここの隙間からみえるんです
アンテナじゃまだけど見えるでしょう?
「あー! ほんとだー!」と、絶叫する安藤さん。でしょでしょ、みえるでしょう?
カメラに望遠レンズを装着して撮影すると、よくわかる。
ほらー。手前のアンテナがちょっとじゃまだけど
スカイツリーと東京タワーがほぼ同じ高さに見え、しかも並んで建っているのはよく見えると思う。この写真からだと、スカイツリーが東京タワーの2倍近い高さがあるとは思えない。
しかしこの歩道橋、人の背より高い柵に、目隠しするようにパネルが貼ってあるため、はっきり言って見づらい。
じつはもう少し坂を登ったカーブミラーのあるあたりの丁字路まで行くとよく見える場所があるのだ。
このあたり
ほら、ならんで見えるでしょうがー
初夏の曇り空であまりきれいに見えないけれど、さっきの歩道橋よりも障害物がないので、並んでる様子がよくわかると思う。
新旧二大東京電波塔
ふたつの塔の間にある台形のビルは愛宕グリーンヒルズ? だろうか。ずいぶん低い気もするが。
並んで撮影しよう
さて、スカイツリー、東京タワーが同じ高さならば、ぜひ西村さんも横に並んで同じ高さで記念写真を撮りましょう! と、安藤さんが言い出した。
ほら、遠近法でいけますよ!
こういう感じで写真とりましょう(安藤)
え、こうですか?
そう、そのへんで立っててください!
しばらく試行錯誤してみるものの、さすがにこの位置でスカイツリー、東京タワー、フリーライター。のならびで同じ大きさに撮影するのは無理だった。
あげくのはて「線路のむこうにある変電所の屋上にのぼってたってもらえれば撮れそうなんですけどね」と、むちゃくちゃなことを言い出す安藤さん。
向かいの白い建物。東急電鉄の変電所です
たしかに変電所の屋上、登る用のハシゴついてるから、登れないことはないでしょうけど。許可がないから無理ですわ。勝手に登ったら、めちゃめちゃ怒られるやつですわ。
さわやかな写真がとれた!
いやー、ぴったりですな。顔が
スカイツリーと東京タワーと同じ大きさの顔のフリーライター。なんなんだこれは一体。
スカイツリーと東京タワーと同じ大きさの顔のWEB編集者
しずかな興奮がくる
以上、スカイツリーと東京タワーが同じ高さにみえる場所にいってみた。
当初、半信半疑だった安藤さんも最終的には「なんというか、しずかな興奮がわきあがってくるような、そんな面白さがある」というほど面白がっていた。
建物は、近づいてみるよりも、遠くからながめるのもまたおつなものだ。