デパ地下の攻防
何かを買う時は、いろいろと吟味する。値段が高ければ、その吟味の時間は長くなるだろう。でも、違うのだ。問答無用で言うのだ。「この店で一番高いものをくれ」と。吟味しない。一番高い物以外は欲していないのだ。
ということで、デパ地下に来ました!
卵が先か、鶏が先か、みたいなことで、金持ちだから、「この店で一番高いものをくれ」というのではなく、「この店で一番高いものをくれ」という人が金持ちになれるのかもしれない。だから、私は金持ちではないけれど、「この店で一番高いものをくれ」と言うのである。言ってみたいし。
でも、マジで高いね!
高い物を買う
デパ地下を物色しては、店員さんに「この店で一番高いものをください」と言って回った。中には、果物一つが数万円するものもあり、「なんてね」と、冗談ぽくお店を後にすることもあった。だって高いのだ。手持ちがないから買えないのだ。
キットカットのお店に来ました!
「キットカット」のスイーツ専門店「キットカット ショコラトリー」に来た。ここなら高くても大丈夫なはず。だってキットカットだ。自信たっぷりに「この店で一番高いものをください」と言った。澄み渡る綺麗な声で言えたと思う。
高いけど安いね!
一番高いのは「キットカット ショコラトリー モレゾン」。540円で1日限定50本というものだった。キットカットが540円と思うと高いけれど、その店で一番高いものと言われると安い気がした。
向かって左の「モレゾン」1本と、普通のキットカット5本が大体同じ値段!
次はチーズ屋を訪れた。少し慣れてきたので店員さんにプラダを着た悪魔のような笑顔で、「この店で一番高いものをください」と言い放った。欲しいのだ、一番高い物が。いつだって私は一番になりたい。高くないとダメなのだ。
あ、これマジの高いやつだね!
一番高いのは「エポワス シャランセ」という、デザイナーズマンションの名前みたいなチーズだった。熟成中にブランデーと塩水で、何度も洗うことで、強い風味になるチーズだそうだ。このサイズのチーズとしてこの店に限らず、高い部類に入るチーズである。
買いました!
震えた。チーズは好きだけれど、6Pチーズで満足する私には「4191円」は高かった。でも、高いと美味しいのだ。そういうことなのだ。店員さんも「美味しいですよ」と言っていた。この値段で不味かったら暴動が起きる。4191円、そんな値段だ。
次はBBQのお店に来ました!
最後はBBQのお店にやってきた。もう怖いもの知らず。「この店で一番高いものをください」と、元気なお嬢様大学の3回生みたいなテンションで聞いた。高いのは肉だった。「ポイントバックリブ ブリスケ」というもので、100グラムで1620円。
これです!
100グラムでこの値段ということに驚く。唯一の救いは100グラムから買えることだ。自信を持って「100グラムだけください」と言った。ただ隣で編集部・安藤さんが、「このお店で一番美味しいのください」と言っていた。ブレるからやめて欲しいけど、いい質問だ。
これが100グムラ1620円で、
これが安藤さんの聞いた質問の答えのチキン540円
高いを食べる
ということで、3つのお店で一番高い物を買った。麻痺しそうだった。いつもは半額シールで喜んでいるのに、その逆で倍額シールを求めている感じだ。では、高いものは美味しいのだろうか。
これで6341円!
3つだけで一週間分の食費くらいある。食べる会場には編集部の古賀さんと安藤さんと、私がいるのだけれど、全員のテンションが高い。値段が高いと人をハイになるのだ。人はわかりやすい。値段に比例する。
すごいテンションが上がっている!
まずは540円のキットカット
美味いね!
キットカットの上にブツブツが乗っている。クランベリーらしい。チョコの甘さにクランベリーの甘酸っぱさが合う。チョコ、クランベリー、540円という3つが、最高の美味しさにしてくれるのだ。贅沢な時間だ。
次は4191円のチーズ
これです!
いい顔です!
匂いの強いチーズ。これが4191円の匂いだ。値段に匂いはないと思っていたけれど、あった。芳しい香りだ。味も密度が濃い。隙間がないのだ。チーズの濃厚さが詰まっている。これが脳みそならば、かなり賢いと思う。値段以上の美味しさだった。やはり食べ物は高級品に限る。
最後は100グラム1620円の肉です!
美味しいね!
最後に肉を食べた。これ一切れいくらなんだろう、と考えるあたりが金持ちではない。ちなみに250円くらいする。食べると分かる。美味しいのだ。肉の旨みが濃い。どうやら値段が高いと密度が高くなるらしい。幸せすぎた。幸せは値段に比例する。
これも美味しかったけどね!
値段だ!
憧れだった「この店で一番高いものをくれ」と叶えることができた。値段通り、いや、値段以上に美味しかった気がする。夢も叶えられて、さらに美味しい。最高ではないだろうか。常日頃からこれをできるように、頑張って稼いでいこうと思う。幸せは値段に比例するのだ。世の中、金なのだ。