よくわからないところは省くとして、人によって押しが違うのも面白いらしい。二人で押そう。
「ごめん大北くんの話全然わからないや」編集部安藤40歳。子供は二人。ライフワークはものをむかずに食べること。ウニはムリ。パイナップルでギリ。※むかない安藤Youtube再生リストは
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わかってない人を誘って松を押す
ちぷたそさんの話によると人によって押すのが違ったりするらしい。ならもう一人いた方がいいなとデイリーポータルZ編集部の安藤さんを呼び出した。
「大北くんの言ってることがさっぱりわからない」と安藤さんはいうが、わからないのはこちらも同じである。
もう春だ。わからなさの雪がとけてあたりは豊穣な海となっている。街に裸の人がいたらそれはぼくらと同じわからなさの春の海に飛び込みに行く人だ。
ためしに街路樹を押してみる安藤「ゆっさゆっさしておもしろいよ」というこれか
しかし動かないタイプのものはおもしろさがわかりにくい
植物園に来てみた。松を押しに来た人々。ふむふむ、思ったよりおじいちゃんたちに流行ってるな。
松林にたどり着くまでに巨木を見つけてはふらふら近寄っていく安藤
「安藤さん、それは松じゃないので全然流行ってないやつですよ!」
松を押す人々でにぎわう植物園
「安藤さん! それ松じゃないですよ!」巨木を見かけると安藤が駆けよって押しに行く。
平日の昼間だが小石川植物園はにぎわっていた。
大きなカメラを首にかけたおばあさんたち。スケッチをするおじいさん。これらすべて松を押しに来たのか。思ったより年齢層が高い。
「おれ、老後はこういうところで働きたいんだよ」と木を押す安藤さんは言う。
それはむしのいい話だと諭したが「シダだ!」と今度は安藤さんはシダ植物を見つけて飛んでいった。近寄ると「このシダ、絶滅するんだってよ!」と興奮している。
春の植物園は日常のいやなことを忘れられる何かがある。
ニュートンのリンゴの一部を押して感動する安藤。たしかに歴史に感動しニュートンに感銘を受けたあとは押すくらいしか楽しみ方はないかもしれない
精子発見のイチョウ押し。植物にも精子があるという日本人の偉大な発見、それをそっと押すという静かな興奮。これが女子校なら今授業になってないだろう
そしていよいよ松林に。こちらはクロマツである。かつてないゴワゴワ感
押せ、押せ、安藤。これが今若い女性の間で流行っているのだ
ちぷたそさんにまた聞いてみる。松の個性が豊からしい
なら今度はアカマツを。体操着に着替えて本気で押す。
樹皮が痛い。とっつきにくい。クロマツに比べて赤い。なるほどこれが個性か
松をさわるとカタい
いよいよ松を押してみる。アカマツである。さきほどのクロマツにくらべて樹皮が赤い。なるほど個性が豊かだ。
そっと肩をあててみる。ゴワ。あっ、なんということだろう。今松の声が聞こえた気がしたのだ。そんなことはないだろうともう一度肩をあててみる。ゴワ。まただ。また松の声が聞こえた。
この松は「ゴワ」と言っている。そしてその声の通り樹皮がいやになるほどゴワゴワである。
しかしこうして全力で押していてふっと力を抜いて上を見上げると…
自然の偉大さを感じることができる。これか、これがおもしろいのか!
自然の雄大さを感じる
ゴワゴワの樹皮に肩をあてて力を込める。ふくらはぎがヒクついている。肩が痛い。持病の腰に響く。だが松は少しも動かない。ただ反作用の力を正確にかえしているだけだ。
疲れてあきらめて松を見上げるとでかい。松がでかい。そりゃムリだろうというでかさである。人間なんて松1mmも動かせないのだ。とすると笑いがこみ上げてくる。
ああ、これだ、これだな。松を押すっていうのはこういう自然の偉大さを感じているのだな。
わかりましたよ、安藤さん。さあ、松をもう一度押してみてください!
安藤さんにも体験してもらう。全力で押したあとの…
見上げ「なるほど、これはいいかもしれない」生命の母に抱かれているような感覚
識者に確認しよう
ごわついた樹皮は人を拒み、押したとしてもびくともしない。疲れきって降参したときに見上げれば松。私たちは許されたような気持ちになる。
見上げれば松、これだな。
松によって個性が全然ちがうというのもわかる。クロマツとアカマツでは色味が全然ちがう……しかしストローブマツではどうかといわれればむずかしい。
ストローブマツの特徴とはなんだ?
この辺りをもう一度ちぷたそさんに投げ返してみたい。
ストローブマツを知らないちぷたそさん。安藤さんと二人で松を押すことの答え合わせをする
松に感動している安藤。ストローブマツがお気に入りだそうだ
おや? ちぷたそさんの言動がおかしい
これはもしかして…
おそ松さんというアニメが流行っているらしい。またしても無駄骨に終わったか。そして私たちがやっていたのはリアル松というものなのか。
母なる大地に抱かれた安藤。いつでも嬉ションをしてもいいように下は大人用のオムツをはいていたのが功を奏した
おそ松さんを推せ
麻雀は儲かると聞いて、なんのルールも知らない人が夜通し麻雀牌をかき混ぜて「おかしいな、なかなか儲かりませんな」と言う。そんな漫画があったらしい。
お前はいつもそうだ。最後のところでの詰めが甘いんだと安藤さんは肩を気にしながら怒っている。本気で押しすぎて体のバランスが狂ったようだ。
しかし本当に怒ってるかといえばそうでもないようだ。しきりに今度は家族でここに来るんだと言っていた。
松を押すんだなと思った。安藤さんは妻子をひきつれて一家で松を押すのだと思う。おべんともって松を押すんだなと思う。
押し松。それは自然との対話だ。偶然の発見ではあったが、こういう流行があってもいいのかもしれない。この週末は松を押してみてはいかがだろうか。
「これ全部シダだ!!」とシダなめのシダ囲まれの一枚。一方、巷ではおそ松さんを推すのが流行っていた。
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