特集 2016年3月15日

豆腐とチーズ、8つのメニューで入れ替えてみよう

左はチーズで右が豆腐、まちがってない。
左はチーズで右が豆腐、まちがってない。
ものすごくざっくりと言ってしまえば、豆腐とチーズは似ているとおもう。

似てねえよ……って人はどうぞ、白くて四角い豆腐と、白くて四角いチーズに種類をしぼって想像してみてほしい。

このふたつ、相互を行き来することもわりと頻繁な気がする。チーズ料理をもっとヘルシーにしたいとなると材料に豆腐があらわれたり、豆腐料理をもっとこってりさせたくなると材料にチーズがあらわれたりしている上に「チーズみたいな豆腐」っていう既製品も存在しているのだ。

そんな姿をみているうちにふとおもった。
豆腐とチーズ、入れ替えてみたい。
1981年群馬県生まれ。ライター兼イラストレーター。飲食物全般がだいたい好きだという、ざっくりとした見解で生きています。とくに好きなのはカレー。(動画インタビュー)

前の記事:それ、迷ってるなら2個たのんでみよう

> 個人サイト たぶん日記

豆腐はチーズに、チーズは豆腐になりたがっていないか

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……というようなやりとりが、あったかどうかは定かではないのだけども(たぶんない)、近所のコンビニでこんなものを見かけた。
チーズになりたい系豆腐のデザート
チーズになりたい系豆腐のデザート
夜遅いコンビニでの誘惑の嵐の中で「豆腐なら肥えにくそう」と、なんとなく手に取ってみていたのが出会いだ。
まあ、豆類の香りがするよね(※右うしろにある人形は、うっかり写り込んだギガヘボコンの残骸ですすみません)
まあ、豆類の香りがするよね(※右うしろにある人形は、うっかり写り込んだギガヘボコンの残骸ですすみません)
おいしいけど、あんたやっぱり豆腐じゃん……?
おいしいけど、あんたやっぱり豆腐じゃん……?
と、最初はおもった。けど、回を重ねるごとに「あれ、これってけっこうチーズっぽいんじゃないか……!」と、感想がひるがえりはじめてきた。

これは。


おもっていた以上に、豆腐とチーズの境界線は曖昧なんだろうか。なら、豆腐とチーズの立場をごっそりと入れ替えてみたらどうなるのだろう?

ためしてみよう。
豆腐にいちばん似ているチーズはモッツァレラな気がするので、実験にはこちらを使う
豆腐にいちばん似ているチーズはモッツァレラな気がするので、実験にはこちらを使う
豆腐は絹
豆腐は絹
1 チーズを冷奴にする

これはすでに、雪印のホームページにも類似のレシピがある。乳製品のメーカーが直々に推しているとなると、はじめる前から「まちがいなさそう」って安堵してしまうのがちょっとくやしい。でも食べてみよう。
ものまね上手すぎるんじゃないだろうかという出来映えにびびる
ものまね上手すぎるんじゃないだろうかという出来映えにびびる
食べてみたら、ますますびびった。薬味としょうゆがチーズに合うのに加えて、豆腐にもっと弾力と歯ごたえと密度を求めていた人(わたし)には特に、ど真ん中にきてしまうやつだ。やるなこいつ。
豆腐メンタルじゃない豆腐って、きっとこういうかんじ……?
豆腐メンタルじゃない豆腐って、きっとこういうかんじ……?
おすすめ度 ★★★★★
2 チーズを豆腐がわりにみそ汁にいれる

熱い液体の中にチーズを放り込んだらどうなるのかはわたしも知ってる。溶けるだけだ。でも、消えてなくなるわけでもなし、開き直って小さく四角に切ったチーズをみそ味の海に放り投げてみたい。
チーズ入れた瞬間の絵面ったら、ふつうに豆腐のみそ汁に見える
チーズ入れた瞬間の絵面ったら、ふつうに豆腐のみそ汁に見える
よそったら、沈んだよねチーズ
よそったら、沈んだよねチーズ
美味しいか不味いかでいえば美味しい。だけど違和感が圧倒的だ。一口、口に含んだ瞬間の「乳っぽさ」がまずすごい。見た目よりも味で異常事態が察知される仕組みで、しかもやけに伸びる。
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朝、なにも知らずにいきなり口にしたら、びっくりして目も覚めるんじゃないだろうか。コーヒーのかわりになってみてほしい。
おすすめ度 ★★★★
3 豆腐をピザにのせるチーズにする

さて、ここでいったん選手を交代して、豆腐をチーズのかわりにつかっていこうとおもう。
実験用にちょうどいいサイズの生地が売ってた。餃子の皮みたいだ
実験用にちょうどいいサイズの生地が売ってた。餃子の皮みたいだ
てっぺんには、なんとなくバジルをちらす
てっぺんには、なんとなくバジルをちらす
ピザの持つゴージャスな印象からははるか遠い、夜食によさそうな優しい味わいが響いた。いいとおもう。ピザだとおもわなければ。
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おすすめ度 ★★★
4 豆腐(高野豆腐の粉)をパスタにかける粉チーズにする

ところで、粉チーズの原型を見たことはあるだろうか。
 ものすごくざっくりというとこれにちょっと似てる気がするんだけども
ものすごくざっくりというとこれにちょっと似てる気がするんだけども
いや、ざっくりと言い過ぎたかもしれない。でも、色に関してはわりと似ている気がするのだ、高野豆腐とパルメザンチーズ。
けずってみよう
けずってみよう
載せる。あれ、違和感はどこへ
載せる。あれ、違和感はどこへ
ない。違和感、行方不明になったな
ない。違和感、行方不明になったな
!
これ、だまされるわ。

見た目だけじゃない。食べていても、粉チーズ特有の「におい」がしないなぁとおもう程度で、味に大きな異変を感じないままだ。いや、味が見えない。ソースに吸収合併してしまい、味も行方不明になっているみたいだ。
比較してみたくなってほんものかけてみたが、におい以外の違いがよくわからずでさらにびびる。……え?
比較してみたくなってほんものかけてみたが、におい以外の違いがよくわからずでさらにびびる。……え?
おすすめ度 ★★★
わたしの味覚だいじょうぶなのか?という不安もよぎり始めたのだけど、次つづけますね。
5 チーズを高野豆腐の煮物のようにあつかう

さっき高野豆腐を粉チーズにしたが、今度はそれをそのまま逆転したい。
粉チーズの原料を、高野豆腐みたいに煮たいのである。

まあ、チーズは溶けるんだけどな……。(2回目)
 固形ではあるけど、細かくカットされてるやつを買った
固形ではあるけど、細かくカットされてるやつを買った
な、なんだこれは
な、なんだこれは
ぼんやりとした見た目とは裏腹にこいつ、舌の上では華麗に躍った。
!
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端的にいうと、残飯みたいなのだ。さっきつくったばっかりなのに。
ああ、これはもしや、おいしさと背徳感をさまよいながら食べるという、一種のアトラクションなんだろうか……。
おすすめ度 ★★★★
(※ひとりでそっと食べるならば)

6 チーズを麻婆豆腐みたいにする

麻婆というやつは、明らかに外しにかかっている食材をぶつけないかぎりは、けっこう広く受け止めるんじゃないだろうか。
チーズがなるべく固形のまま残るように、行程のさいごのさいごで投入してみた
チーズがなるべく固形のまま残るように、行程のさいごのさいごで投入してみた
!
ちなみにこれ、冷凍していたひき肉を解凍する時間のつごう上、夜深い時間に調理をしていた。それは大きな間違いだったとおもわざるをえないような肥の味わいがしたが、美味いものは美味いからもう肥えてもいい……!強くそうおもったことを報告しておきたい。
おすすめ度 ★★★★★
(※山椒好きなら、多めにかけてほしい)

6 豆腐をチーズフォンデュにする

フォンデュといっても、ずっと加熱していられる調理器具を持っていないので、鍋にかけてすぐのあつあつを、あついうちに食べ切る方式で乗り切りたい。
フォンデュのレシピにならって、白ワイン・にんにく・片栗粉を混入して煮た
フォンデュのレシピにならって、白ワイン・にんにく・片栗粉を混入して煮た
パンにごそっとつける
パンにごそっとつける
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偶然を必然って呼び始めたあたりからがそのレシピへの恋のはじまりなんだとすると、まだ恋には落ちていない。なんか惜しい。
おすすめ度 ★★
8 豆腐を、ハンバーグの上のチーズのかわりにのせる

勢いでハンバーグだけをごっそりと皿の真ん中に置いたら、肉肉しさに拍車がかかってしまった。
ペースト状にしてあたためておいた豆腐をのせる
ペースト状にしてあたためておいた豆腐をのせる
右上方とかに、緑の野菜がほしい
右上方とかに、緑の野菜がほしい
!
味は美味い。あと、ハンバーグの肉肉しさを豆腐が払拭しているような錯覚を覚えるので、食べていて「やせそう!」っていう気持ちになる気がする。

豆腐ハンバーグの、豆腐を水切りして肉とまぜあわせる行程がめんどくさい!っていう人にもおすすめしたい調理法だ。
おすすめ度 ★★★★

レパートリーが増えたということでいいだろうか

わかりやすく区別をするために★の数を厳しめにつけているので、★2個でもふつうに食べられるレベルだとおもう。豆腐とチーズの許容範囲ひろい。

特段、大きな悲しみ(「不味い!」というフレーズとの遭遇)がなかったということは、今回試したものはすべて、新たなレパートリーとして採用してもいいんじゃないかとおもう。

採用します。
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