特集 2016年2月23日

JR両国駅の駅階段を使ったひな人形設置作業に密着してきた

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3月3日は女子のすこやかな成長を祈る年中行事であるひな祭りだ。そんなひな祭りに合わせて、JR両国駅では駅内の階段を使って、ひな人形を毎年飾っているという。

駅階段にひな人形……? ちょっと2つの繋がりが謎だが2年前に初めて自分の目で見ることができた時、異質なものふたつの組み合わせに本当に感動したことを覚えている。

無機質な駅階段に華やかなひな人形、という非日常感だけで白米が3杯はぺろりといけそうだとすら思った。

今回そんなひな人形を設置する作業を取材させてもらえることになり、期待に胸を膨らませながら両国駅へ向かった。
1986年生。大人げない大人を目指し、日夜くだらないことを考えています。ちぷたそ名義でも活動しています。(動画インタビュー

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JR両国駅へ

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JR両国駅というと、今年で開業112年を迎える歴史のある駅だ。

JR両国駅ホーム階段へのひな人形設置作業は、昨年については夜中に雪が降り、その対応のために駅員を待機させていた時間を利用して作業にあたったのだという。今年は非番と日勤の社員により、午前中の時間で設置作業にあたるというので取材させてもらうことに。

設置作業は今年で8年目だが年々注目が集まっているという。今年はケーブルテレビの取材も来ていた。
現在ステーションギャラリーとして開放している駅通路。
現在ステーションギャラリーとして開放している駅通路。

ひな人形を設置している駅階段へ

そして件の階段に到着。若手社員中心で既に設置作業が始まっていた。屋根があるとはいえ寒風吹きすさぶ中の作業、自分たちはコートを着込んでいるが作業にあたる駅員さんたちはコート無しで作業にあたっていた。さ、寒い……!
この時点で、既に小さい頃友達の家で見たひな人形の段を超えているんだな……!
この時点で、既に小さい頃友達の家で見たひな人形の段を超えているんだな……!
こちらの階段、年間約70本の臨時列車を発着させるための3番線ホームに向かう階段であり、臨時列車が無い際は使われていない場所だ。

ちなみに、今年に関してはひな人形設置期間内、こちらの3番線ホームに電車が停車する予定はないというが、おひな様が飾られている中こちらのホームを使った前例が過去にあるという。

ひな祭り期間にこの階段が使われた前例がある

写真を見ながら細かいパーツを設置する。初めて設置にあたる駅員さんや3年目のベテラン駅員さんも
写真を見ながら細かいパーツを設置する。初めて設置にあたる駅員さんや3年目のベテラン駅員さんも
おひな様が飾られているのに、この階段を使うとなるとどうするんだろう……?

JR東日本広報 佐藤さん「みなさん、おひな様の両脇の階段を通っていただきました」

――うわー! それは知らずに降りられた方、驚いたでしょうね!

JR東日本広報 佐藤さん「その時は……喜んでいただけたようです(笑)」

そんなシチュエーション、自分なら興奮するしかない。しかし、おひな様の両脇を通るというシチュエーションは蹴ってしまわないようにと気を付けるあまり緊張しそう。足元のおぼつかない酔っ払いがいなくて本当に良かったですね……。

作業は続く

なるほどアルファベットと数字でたくさんの人形を管理しているのね
なるほどアルファベットと数字でたくさんの人形を管理しているのね
おひな様の設置作業だが、過去飾った時の写真を見比べながら一個一個のパーツを丁寧に設置していく。

設置作業は終始和やかな雰囲気だった。私は普段業務にあたっている時のピリピリした雰囲気の駅員さんしか知らなかったから驚いたが、お客さまの命を預かる業務だから普段の緊張感は当たり前なんだと言っていて納得した。
なかなかこんな角度からのひな人形は見られないぞ。しかも駅階段。
なかなかこんな角度からのひな人形は見られないぞ。しかも駅階段。
駅員さんもただ言われたから設置しているというわけではなく、「両国駅を利用してくださるお客さまへのおもてなし」という意味を込めて作業にあたっている。

自分が関わったものをお客さまが喜んでくだされば社員のモチベーションもあがる。そんな想いで今後も継続していくべきだという認識で行っているようだ。かっこいいなぁ。

かつうらビッグひな祭りも同様に楽しんでほしい

画像は2016かつうらビッグひな祭りパンフレットより
画像は2016かつうらビッグひな祭りパンフレットより
なお、こちらのひな人形を階段に設置するという作業、千葉県勝浦市で毎年ひな祭り期間に開催されている「かつうら ビッグひな祭り」というイベントをプチ体験できるようなものになっている。このイベントでは市内各所に約3万体ものひな人形が飾られるという。

ちなみに「かつうら ビッグひな祭り」イベント内では遠見岬(とみさき)神社の60段の石段に1500体のひな人形飾るのだが、こちらは雨の日には全て仕舞っていると聞いて衝撃を受けた。なんという大変な作業なんだ。両国駅内のひな人形は屋根があるので、雨の日でも仕舞うことはないのでご安心ください。

長い歴史を感じさせる両国駅

おひな様の設置作業は続く。

駅員さんたちは作業にあたっているがここで国鉄時代から112年もの歴史を持つ両国駅の駅内を見ていただこう。
! これはよく見ると……!
! これはよく見ると……!
注目すべきはホームの……支柱?

これ、レールなのだ! 昔使われてたレール!!

3番ホームへ通じる通路のステーションギャラリーと同様、駅ホーム内もレトロな雰囲気に生まれ変わっていて必見だ。
両国駅はおすもうさんだらけ
両国駅はおすもうさんだらけ
また、両国駅は両国国技館の最寄駅というだけあって相撲だらけだ。駅内を見ているだけでも楽しむことができる。

ひな人形の設置完了

そうこうしている間にひな人形の設置が終わった
そうこうしている間にひな人形の設置が終わった
装飾の仕上げとして、両側にパネルが設置されていく。
直々に指示を飛ばす駅長
直々に指示を飛ばす駅長
どんどん華やかさを増していく駅階段
どんどん華やかさを増していく駅階段
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2時間弱の作業により、遂に駅階段を使った巨大ひな人形が完成した。
立てひざのおじいさん人形が気になった
立てひざのおじいさん人形が気になった
姿勢の悪いおじいさん人形が気になったがこれは後で調べたところ仕丁(しちょう)という3人組の従者の人形なんだそうだ。
牛だ! 動物もいるんだ
牛だ! 動物もいるんだ
最上段は屏風が華やか
最上段は屏風が華やか
それにしても、箪笥(たんす)とか長持(ながもち)といった嫁入り道具揃、そして牛車(ぎっしゃ)や重箱(じゅうばこ)といった煌びやかな御輿入れ道具(おこしいれどうぐ)の揃うおひな様を私は初めて見た。というよりも、見てはいたが正直細かいところまで覚えていなかっただけなのかもしれないが。

おひな様は、大名の婚礼行列というひとつの物語を封じ込めた奥の深い年中行事だったのだ。
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作業にあたった駅員さんたちと圧巻のひな人形! お疲れ様でした。

作業で大変だったところを駅員さんたちに伺ってみたところ、「パーツが細かくバラバラなので、写真を見ながら再現するのが大変だった」と話していた。

余談だが、写真撮影のために帽子をきちんとかぶった駅員さんは、それまでの和やかな雰囲気からぴしっとした雰囲気に変わり驚いた。帽子は駅員さんたちにとって、オンオフ切り替える道具でもあるらしい……。

JR東日本では、階段にひな人形ギャラリーを作る両国駅だけではなく、各駅がお客さまに喜んでもらうために個性豊かな販促活動に取り組んでいるということだった。両国駅を含めた各駅がこれからどんな取り組みをするのか、楽しみに待っていようと思う。

実家のひな人形、元気かな……
実家のひな人形、元気かな……
私が大人になってからはほとんど出番のなくなってしまったひな人形に思いを馳せた一日だった。

ひな人形と言えば小さい頃、自宅では市松人形とひな人形をひな祭りの季節飾っていたが、ある時人形を出す作業を手伝っていて市松人形を落として顔に傷をつけてしまったことがあった。
私は泣きながら市松人形に手紙を書いた。「人形は顔が命なのにごめんね」という内容だったと記憶してる。

小学生の人形への謝罪文にコピーが登場する人形メーカーってすごいなと今思い出して思った。
ちなみにその手紙、多分今も市松人形と一緒にしまってある。
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