食パンのロゴを数える
自分の名前をアピールしていた食パンはこちらである。
超熟。
くるっと回しても『超熟』と書いてあるし、
パタンと倒しても『超熟』と書いてある。
何より上のふさふさしたところにおびただしい数の『超熟』がいる。
数えたら超熟1斤に15個『超熟』というロゴがあった。
1斤に15個である。
あのお手軽な立方体の中に、超熟超熟超熟超熟超熟超熟超熟超熟超熟超熟超熟超熟超熟超熟超熟と書いてあるのである。
なんだか、人知を超えたものを感じる。
ロゴを商品の「顔」と捉えると、もはや『超熟十五面観音』と言っても差し支えないのではないか。
あれである。お顔が3つで、頭が長くて、その頭にまたお顔がたくさんある仏さまである。
とにかく、超熟の袋の、自身をアピールしようという意欲はすごい。他の食パンはどうなのだろうか。
食パンの自己顕示欲調べ
超熟の他に4種類、食パンを買ってきてその自己顕示欲を観察してみた。
フジパンの本仕込。
やはり側面にも底面にも『本仕込』と書いてあるし、
上のふさふさにもたくさん『本仕込』と書いてある。仕込みまくりである。
袋をテーブルに長時間置くとインクが転写するかも、という注意書きが。リスクを負ってまで底面に『本仕込』と書きたい。
ロゴの数は18個であった。
いきなり超熟の15個を上回る自己顕示っぷりであるが、ロゴが比較的すらっとした印象なので、超熟ほどの存在感はないように感じた。
色々な情報がある中、隙間をぬって「本仕込!」と入れてきている感じ。
ひな壇芸人のガヤのようだ。
「民話が電話で聞けるョ!」とのこと。電話をかけたらドラが鳴って、おばあさんが民話を語り出した。不思議な時間であった。
超芳醇
超芳醇である。高級感のある佇まい。
上のふさふさには、ローマ字で「CHOHOJUN」とあった。これもカウントしましょう。
ローマ字表記を合わせてカウントしても、超芳醇のロゴは8個であった。 高級感からくる余裕だろうか。
底面なんかはもう、何もなかった。
今までロゴがプリントされているのが当たり前だったので、ここにきてこんなに無防備だととてもどきどきする。
人のおしりを無遠慮に眺めているような、嬉しいような恥ずかしいような気持ちになった。
超芳醇にも食パンのキャラクターがいた。インターネットを示す真顔のパソコンもかわいい。
匠の逸品、ふんわり
見所が似ていたので、ふたついっぺんに紹介。
何って上のふさふさ部分である。
ふんわりふんわりふんわりふんわりふんわりふんわりふんわりふんわりと、『ふんわり』が8回書いてある。
怒涛のふんわり。
そんなにふんわりふんわり言われると、脳がとろんとしてくる。
匠の逸品のふさふさには、なんと16個も『匠の逸品』と書かれている。
すごいアピール力、自己顕示欲である。
匠ってもっと物静かなものだと思っていたが、こうして自分の名前をしっかり売っていくことも大事なのだ。
ロゴの数一位は『匠の逸品』でした
今までの5種類の食パンで、自己顕示欲(ロゴの数)を比べるとこのようになる。
1位はふさふさでのアピールがものすごかった『匠の逸品』、2 位は確実に数を稼いだ『本仕込』、『超熟』は3位となった。
しかし、数えておいてなんだが、ロゴの数と自己顕示欲とは必ずしも比例の関係にはないようである。
僕はやはり『超熟』の、このインパクトに勝る食パンは今までなかったような気がするのだ。
この堂々とした佇まいである。
超熟は、はっきりと自信を持って、自分はここにいるのだと訴えかけている。
自分というものにしっかりとした軸があるのだ。
ライフスタイルが多様化し、複雑に情報が飛び交う昨今、この自己顕示の力には見習うべきものがある。
見習おう
見習うには、真似ることからはじめればよい。
「学ぶ」ことは「真似ぶ」ことからだと、誰かからも聞いた覚えがある。
食パンの自己顕示の方法を真似れば良いのだ。
つまりこうなればよい。
塩ビ板とビニールでできた
塩ビ板で立方体を作って、
食パンっぽくビニールをかぶせて、
超熟っぽいパーツを作って貼ったらできた。
試行錯誤すると思ったら、あっさりできてしまった。
超熟っぽいのではないだろうか。
思いのほかいいものを作ってしまった。
かぶる。中で笑っている。うすら怖い。
超熟と並んで撮ってみた。この写真、誰に見せても「怖い」という感想しかない。
横。
そして後ろもそれっぽくなるように作った。
ちなみに、もとの食パンはこうで(ビニールだけですみません)、
作ったのはこうである。
右上の表は、本当は栄養成分表示だが、僕が言う一言と、それに伴うであろうカロリーの消費量を書いている。
右下にある表は、本当はアレルギー物質を含む原材料の表をのせるスペースだが、代わりに僕が思いつきにくいだろうなあと思った魚編の漢字を書いている。
表面はこれが、
こうである(顔が入っていてすみません)。
「6slice」と書いてあったところを「2足歩行」としたのが気に入っています。
「Pasco」と書いてあったところは「Ningen(人間)」としました。
自己顕示をしてみる
道具はできた。 街へ出て、超熟のように自己顕示をしてみよう。
商店街に来ました。
商店街に来ましたよー。
信号待ち。
お店のポスターを見たり、
橋でのんびりしたりしました。
超熟には、視界がほぼない。
感覚が研ぎ澄まされて街の色々な音がクリアに聞こえてくる。
体に通った細い芯の、足先と頭頂の部分をつままれてぎゅーっと引っ張られているようであった。
これが、自己顕示の次のステージなのである。
これが超熟の視界。
超熟のように自分をしっかりアピールできたかどうかは分からないが、いいものを作って一通りはしゃくことができたので楽しかったです。
ありがとうございました。
超熟のかぶりものはシンプルな立方体なので、手で支えていないと箱がまっすぐになってくれないのだが、外で撮影しているうちに、手を使わずともバランスをとって箱の位置をまっすぐにできるようになっていった。
記事を書きながら撮った写真を見直してみると、両手から片手、片手から支えなし、と時間が経つにつれて超熟をかぶるのが上手くなっている。
大変誇らしい気持ちである。
最後に、食パンの情報になります。銘柄によって梱包時の袋の折りたたまれ方が違うようです。