キーボード内の空き地活用
「キーボードの空き地」って、いきなり何言ってんだと思われるかもしれないが、でも、気になったことない人はいないか?
いま写真撮りながらすでに「あ、空いてる」と思ったぐらいに気になる。
もちろん、常時気になる!というほどでは無いが、キーボード打ってると1日に1回ぐらい目に入って「あ、無駄な空き地だ」と感じる。それぐらい。
どこのことを言ってるのかというと、ここだ。
なんだこの無駄な空間。
CapsLock押すと光る辺りとか、カーソルキーの上とか、あの辺だ。
カーソルキーの上なんか、コの字型というか凹型に空いているせいで「変形地で利用しにくいから土地の買い手がいないのかな」とか妙な勘ぐりを入れてしまう。
本来キーボードって、四角いキーがみちっと詰まって並んでいるものだろう。
なのに、この空き具合。無駄でなくてなんだと言うのか。
ちゃんと使ってやろう、キーボードの空き地。
キーボードの空き地にジオラマを作る
とはいえ面積で言うと、カーソル上の空き地が約24平方センチ。せいぜい、官製はがきの1/6程度しかない。
まぁ、狭いなら狭いで、逆に広々と空間を使えるような工夫をしてやろう。
例えば、鉄道模型用の小さいフィギュアとか置いてジオラマを作れば、広く見えるんじゃないか。
この空き地に広大な風景を展開してやるぞ。
まずは、キーボード自体が壊れたら困るので、外装だけはずすことに。
ネジさえ外せば分解できるだろうと思ったのだが、うまくいかない。ところどころでバキッバキッと嫌な音がしたが、まぁ最終的にネジどめし直せば大丈夫だろう。
土を撒いてるだけなのに、もうすごい楽しい。
次に、ベースとなるキーボードの外装に模型用の接着剤を筆で塗り、その上にパラパラと模型用の目の細かいパウダー土をふりかける。
それが乾いた頃合いで、今度は水で薄めた接着剤を染み込ますように、土の上から塗り直す。
そうすることで土がベース上にうまく固まってくれるという寸法だ。
うわー、さっきまでメールとか打ってた俺のキーボード、もう土だ。
ジオラマ作業が始まったばかりで恐縮だが、この時点でもう作業が非常に楽しい。
なんせ、ふだん使ってるキーボードがどんどん土になるのだ。
日常的に、自分の使ってるプラとか金属のものが土になるって、ないだろう。
このプリミティブさはものすごく楽しい。
あまりの楽しさに、空き地部分だけ改造するつもりが、気付けばキーボード全部が土になってた。
細かいふわふわの草。つまんでる感触も気持ちいい。
さっきまで土だったキーボードが、今度は一転してどんどん草地に。楽しい。
続いては、草だ。
土と同じく、非常に細かい繊維の模型用草を、接着剤で貼り付ける。
土の上から接着剤を塗って、草をパラパラと撒く、を繰り返す。
最後に再び水で薄めた接着剤を染み込ませて固めれば、草地の出来上がりだ。
これを指でつまんでむしって
良い感じに貼り付ければOK。春っぽくて、これまた楽しい。
ついでに、模型用の花もあったのでそれも貼っておく。
粘着シートの上にくっついてる花をむしって、同じく接着剤を塗った上に乗せるだけ。
土だけのベースに漂う「迷い込んだら死ぬ荒野」っぽさが、草や花を乗せることで一気に「公園」になる。
ここなら、たぶんうっかり足を踏み入れても死なない。
草と花のある安心感、すごいな。
これまた楽しくないわけがない、フィギュアの配置。
最後に模型用のフィギュアの足の裏あたりに粘着材(乾くとねばねばになる糊。乾燥して固まる接着剤とは違う)を塗って、土や草の上に立てる。
粘着材なら、後から剥がして配置する場所を微調整するのもやりやすい。
これで、キーボード空き地再開発ジオラマの完成である。
俺の土地、良い感じに開発できたよ!
やってみると、自分で思っていた以上に「あの乾いたプラスチックの空き地が、いま緑の大地に」という感動がある。
ライター大山さんが観察している
マンションポエムって、もしかしたらこういう土地開発の感動に身を任せて歌い上げちゃったものなのかもしれない。気持ち、分かるぞ。
キーボードに広がる無限の大地
いや、「無限の」は完成したテンションに任せて言い過ぎたが、それでもあの狭小空間がそれなりに広がりのある土地になったような気はする。
制作工程では書いてなかったが、後から模型用の木も生やしてみた。
最も空きが気になっていた広い空き地ことカーソルキー上は、このようなことに。
大相撲キーボード場所。
なんで鉄道模型用のフィギュアにこんなのがあるのかよく分からないが、力士セットを見つけたので購入。
で、むき出しの土を活かして土俵を表現してみた。
リターンキーを強く叩くことで倒れた力士。
僕はわりとリターンキーを「ターン!」と強く叩くクセがあるので、その振動を利用したトントン相撲的なイメージである。
逆に、空き地として認識すらしていなかった超狭小空間にもせっかくなのでフィギュアを配置してみた。
酔っぱらい、倒れてdeleteキー押したら原稿消えるからな。気をつけろよ。倒れるなよ。
deleteキーとFnキーの間の細いしきりに土と草を乗せたら、心細さ満点のあぜ道ができた。
ここに最適な人形は…と探していたら、『歓楽街の人々』という、酔っぱらいと水商売の女性ばかりを集めたフィギュアセットを発見。
これが見事なまでに重心の傾いた人形ばかりなで、細い不安定な道にいい感じにはまった。
撮り鉄フィギュア、楽しい
あと、今回探してきたフィギュアでわりと気に入って、意味もなくあちこちに配置したのが、『撮る人々』というシリーズ。
いろいろなポーズでカメラを構える人フィギュアのセットである。
スペースキー前で農作業するフィギュアと、それを撮影する人フィギュア。
F2キーを背後に座る二人のフィギュアと、それを後ろから撮る人々フィギュア。
これがどう配置しても品良くまとまらないというか、風景が自動的に馬鹿っぽくなって面白い。
撮影終わったロケ撮影スタッフフィギュアと、宿泊先の旅館の女将フィギュア。
本来は鉄道模型のジオラマに撮り鉄の人として配置するためのものだろうが、人間を撮らせても面白い。
あまりにも気に入ったので、さらにもっと配置するためにもう1セット余分に購入したいぐらいだ。
capslockが光る
カーソルキー上と並んで大きな空き地であったキーボード右上には、capslockキーが有効になってるのを表すLEDライトがついている。
何か見つけた男子小学生フィギュア。
せっかくなので、ここはLEDを土で埋めずにちゃんと点灯するように残しておいた。
capslock、オン。光る水たまりを覗き込む男子小学生。
このキーボードはLEDが青色なので、草むらの中で光らせるとちょっと謎の水溜まりっぽい雰囲気になる。
なにか冒険が始まりそうな雰囲気なので、capslockオンになるたびに「ヒュゥゥゥゥゥン」とかワープしそうな効果音がなるように改造したい。
で、ある日ふと気付くとこの男子小学生フィギュアが消えてたりするとかっこいい。
もちろん使いづらくはなった
これだけたっぷりと隙間の土地を有効活用したので、ひとまず「無駄な空き地があるなー」と気になることはなくなった。
その代わりと言っては何だが、当然のようにキーは押しにくくなった。
ファンクションキーを押そうとして、フィギュアの頭に指が当たる。
テンキーは木を回り込んで打つしかない。正直、邪魔だ。
空き地に気を取られなくなる事とのトレードオフだと考えればまぁしょうがないような気もする。それと、仕事場の殺風景さがかなり緩和されているように思う。
仕事場に緑のある生活。上質だ。
キーの押しにくさで仕事の効率は下がったかもしれないが、QOL(Quality of Life。生活の質)は上がるだろう。
キーボードをジオラマ化することによって得られる、上質な生活である。
取り返しのつくジオラマづくり
前ページラストで「上質な生活だ」とうそぶいてみたものの、あれはちょっとやり過ぎだったように思う。
たまに気がつくと机の上に土とか草がパラパラ落ちてるし。
なにより、本格的にキーが押しにくい上に、一度あのジオラマ仕様にしてしまったキーボードは元に戻せない。
もう少し取り返しが付くような方法で、キーボードジオラマが作れないか検討したい。
さすがにあれでは仕事ができないので、予備のキーボードを出してきた。
さて、この予備キーボードにもやはり空き地があることに気がついただろうか。
これも家を建てるには不向きな、細長い空き地。
なんと、ファンクションキーの上がまるまる空いているのだ。
ここはきちんと利用しないと、もったいないのではないか。
簡単にジオラマが作れるマット。
しかし、接着剤を塗って土と草を撒いて…というやり方では、何かあった時の復旧ができない。何かって、具体的にはキーボードが打ちにくいとか、そういうことだけど。
両面テープで貼るだけの草地。接着剤の乾燥とか待たなくいいからラク。
ということで、今回は敷くだけで草原になるジオラママットを貼り付ける方法に。
両面テープで貼り付けただけなら、あとでマットを剥がすだけでジオラマを撤去できるだろう。
残念ながら土や草を撒く楽しさはないが、簡単なのはありがたい。
今回のフィギュア。主に牛とか。
ベースができたら、もうフィギュアを配置するだけ。
今回は土むきだしの地面が無くて草地だけなので、牧場っぽいイメージにしよう。
牛の足に粘着剤(ことわざっぽいけど、単に見たまま)。
フィギュアは再配置しやすいように、接着じゃなく粘着で貼る。
すぐ剥がして元に戻せるし、なにより鉄道模型用のフィギュアは意外と高価なのだ。接着してしまったら再利用ができない。
キーボードジオラマ、お手軽版
前バージョンは土や草の乾燥時間を含めて2日にわたる作業だったが、今回はそういう手間ゼロ。
作業を始めて2時間ほどでもう完成である。
タイトルは『象の怒り』。
空いていたのが横長の狭小地ということで、それを活かしたパノラマ的な感じにしてみた。
危機に気付かず草を食む牛たちと、のんびりした酪農家の人フィギュア。
向かって左側は、「とある牧場の平凡な一日」みたいな風景である。
で、対して右側からは、牧場に乱入してくる象の一群。
たぶん、一番手前の牛が何かやらかした。
「何があったかは分からないけど、すごい怒ってるからはやく謝っといた方が良いよ」と言いたくなるようなジオラマになった。
端っこの象など、怒りのあまりディスクイジェクトボタンを踏みつけにしている。
うちのiMacはDVDドライブが付いてないので、このボタンは踏まれててもいい。
あと、ジオラママットがかなり余ったので、スペースキーにも貼ってみた。
ついでにここにも牛を一頭配置してみたのだが、これは「遠くから事態の成り行きを見て、ただ震えてるだけのかわいそうな牛」というポジション。
一頭だけスペースキーに取り残され、ただ象に襲われる仲間を見守るしかない牛。
牛はかわいそうだが、このスペースキーがかなり草ふさふさで指触りが良い。
触れてるだけで気持ちいいし、つい強めに打鍵してしまった時も草が適度に衝撃を吸収してくれる。
ふさふさ。いま世界で一番気持ち良いスペースキー。
スペースキーの向こう側にあるキーも、打つのにさほど牛が邪魔にならない。
これなら充分に仕事ができて、キーボードの空き地も気にならない。
快適である。
キーボードの空き地問題はこれで解決されたが、今度はまた別の空き地が気になるようになってしまった。
例えば、トイレのこことか。無駄に空いてるし。
次はここを有効利用する方法を考えたい。