まずは図解します!
と、いきなり何が何やらな問いかけかもしれないのだけど、つまり、つまり。こういうことなんである。
きっかけは
デイリーポータルZ友の会の会員さんからの
「好きな食べ物を、乗り物で例えてください」という、友の会のメルマガ用に寄せられた質問だった。
乗り物、乗り物……のりもので好きなものを?
ちょうど乗っていた銀座線。リングマークもそうだけど、車体もカレー屋(ココイチとかゴーゴーカレーとか)ぽく見えた
「カレー。さっき乗っていておもったんですが、銀座線ぽい気がします。」
寝ぼけた頭と空腹の合わせ技が生んだ回答だったかもしれない。
しかし、その後ふと新しい疑惑にも気がついてしまう!
しまった。銀座線よりもっとカレーっぽいのが、あるじゃないか!
どう見ても王道を歩いているカレーの色だ。
これはもう、カレーで実写化をせねばという気持ちが沸き立ってくる。
っていうか、やろうとおもえばこれ、全部カレーに……できないかな?
現世はもはや、茶色いカレーだけがカレーという世界じゃない。今思いつくだけでも、グリーンカレーにレッドカレー、スライムカレーというのもある。
おし。せっかくならばもう、全線やってしまうつもりでいこう!
安定の副都心線からいこう
副都心線の茶色さは、いわゆる「おうちカレー」で再現できるんじゃないだろうか。
自炊のすごい味方でもある
副都心!っておもいながらルーを割り入れると妙に感慨深いものがあるなー
銀座線の色も、最初「カレー!」とおもったくらいだ。
ちょっと手を加えれば再現できるんじゃないだろうか。
副都心線と差別化したいのでかぼちゃをつかう
トマトや玉ねぎと炒め、カレー粉で味をととのえてく
丸い皿の4~5分目くらいまで、カレーを入れて
ごはんをスフレ皿にぎっしり詰めてぱかっと出し、カレーの上にのっける
忘年会の帰り道に視界にはいってきたこれ(ココイチのメニュー)に感化されたので
英字記号の部分は、揚げ茄子をつかう
おお! なす、良い仕事している感
これはぜひとも、家から持ち出して実物と照らし合わせてみたい
柱の前でそそっとカレーの皿を出して確認する行為、はじめて体験する類いの恥ずかしさと気づく
銀座線も。人が多かったのでおそるおそる
お腹すいてたから駅の近くのベンチでしれっと食べた
うむ。ちょっと銀座線カレー(かぼちゃ)はスパイスが足りない気もするんだけど、わりと順調な滑り出しだ!
ビーツの威力がすごい
さて、ここからがちょっと悩ましくなりはじめる。
千代田線、どうだろうか。
てきとうに買ったほうれん草がよく見たら同郷だった(野菜に妙にシンパシー感じるあるある)
2パックごっそり、少なめのお湯でゆでる
健康によさそうな色、ってまさにこれだ
でも彩度が低い! 同じ光があたってるとは信じたくないくらいに暗い!
赤は、丸ノ内線はどうだろうか。
今度はトマトに頼ってみたいとおもう。
真冬なのにちゃんとぷりっとしていてえらいな
ごろごろ煮込む。液状化するころには赤くなっててほしい
が、わたしの目の前に現れたのは、どう見ても赤にはほど遠いオレンジ
どうしよ。ここで絵の具の作用に注目をしたい。赤にするために、オレンジに赤紫を注入するのだ!
赤紫のこの野菜はビーツだ。「赤紫 カレー」でググっているうちにたどり着いた。
おおおお、赤く、赤くなったぞー!
これはまさに、絵の具をチューブから「このくらいかなぁ?」とおそるおそる出し混ぜたら、ばっちり思い通りの色をつくれたときの達成感みたいなやつだ。カレーが絵の具に見えてこなくもない。いいのか? いや、いいのだたぶん。
赤すぎたかもしれないくらい、しっかり赤いじゃないか!
と。ビーツ単体でもあれができるんじゃないだろうか。
大江戸線だ。
あらためて。剥いたビーツ。どす赤紫具合には狂気すら感じる
魔女が愛好していそうな色だし
うわ、手が、なにか悪いこと起きたみたいな様相になってる
犯人は野菜汁、わたしじゃない (物騒ですみません)
煮れば煮るほど赤がしたたっていくのが、もう誰にも止められない状態
先人はよくぞ食べようとしたなこの野菜を。という衝撃がはしる。
にしても、これ、どうカレーっぽくしようか。カレー粉をわさっと入れてはみたものの、いまいちスープだ。いや、スープカレーということで、カレーの仲間にぎりぎりいれてもらえないだろうか。
しかも、ちょっと濃すぎたらしい
半蔵門線は浅草線になった
ところで、さらに青よりのむさらきといったら、半蔵門線である。
こちらは紅芋を用意してみた。
良いかたちの芋だ。なんせでかい
内側も鮮烈だなー
トマト入れようよ、トマト!という心の声が聞こえたのでトマト入れた
そしたら、すごい赤紫になった……。で、急きょ浅草線に変更
複数を同時進行でためしてると、こうやってあっさりと代替えがきくのがいい。
ところで、青はどうなんだろうか。
青い食べ物は食べたことがないのだけど、あの、「
青くする実験」で大塚さんは、青は「食欲が減退する」と言ってた。
食欲の減退が避けられないのならば、せめてなるべくふだんよりも美味しいカレーを…… そうだ、自分でつくるのはあきらめて、美味しそうなカレーを……買おうじゃないか!
で、お取り寄せした流氷カリー。インド料理屋さん監修!
青(海)と白(流氷)が別々にパッケージされてる
青(海)の部分だけだと都営三田線!
青(海)と白(流氷)をまぜると、東西線!
味はたしかにカレーだった。というか、わたしがつくったやつよりも明らかに美味い味がしていた。お取り寄せは偉大だった次第です。
あとは一気にいきます
もう、そろそろおなかいっぱいだ。わたしのお腹もそうだけど、皆さんもそろそろ見飽きてきた頃なんじゃないだろうか。
13種類は多い。あとはもう、ダイジェストでさささっとおおくりしようとおもう。
白いカレーにイカスミを混ぜた
白いカレーとふつうのカレーを混ぜた
千代田線に、タイのグリーンカレーと白いカレーを混ぜた
浅草線と三田線を混ぜた
千代田線と三田線に、タイのグリーンカレーを混ぜた。……えっと。どうしたら再現できるんだこの色
ちなみに、さっきからちょこちょこ出てきた「白いカレー」っていうのは、これのことです。クリーミーで美味い
東京に14線めの地下鉄が産まれるならば、どうぞどうぞ、カレーに再現しやすい色をリクエストしたい。南北線は参考にしないでほしい。
スパイスに明るい人だったら、もっと再現できるのかも!
ところで、わたしの料理の腕なのだけども、特段くわしくも上手くもないが、それなりに食べられるものをつくれるくらいじゃないかとおもう。
そんな人間がどうにか13種類をたたきだせた(ややムリヤリだけど!)ということは、料理が上手い、もしくはスパイスに明るい人ならばもっと再現は可能なんじゃないだろうか。もし、誰かがもっと高度なものをつくってくれる未来があるなら、ぜひ食べてみたいなぁとおもう。